手の震え 本態性振戦

1.本態性振戦について
本態性振戦は、書字や箸の使用など特定の動作を行う際に手が震える病気です。

原因は不明ですが、脳から手の筋肉に送られる異常な電気信号が、意識とは無関係に手の動きを引き起こし、震えを生じさせると考えられています。

2.本態性振戦の診断
診断には一般的に脳神経内科を受診します。

まず、医師が問診で「震えが起きるタイミング」「どの手が震えるか」「家族に同様の症状があるか」などを確認します。

その後、実際の震えを確認するために、文字を書いたり、コップを持ったりする状況を再現して観察します。

また、CT、MRI、血液検査なども行い、異常がなければ本態性振戦と診断されます。

3.本態性振戦の治療
治療には主に「β遮断薬」が用いられます。

これは、脳から手の筋肉に届く異常な信号を遮断し、震えを抑える薬です。

4.本態性振戦の手術治療
薬以外の治療法として、「集束超音波治療(FUS)」があります。

2019年に保険適用となったこの治療法では、多数の超音波を脳の「視床Vim核」という部位に集中して照射し、その機能を抑えます。

視床Vim核は震えの増強に関与しており、その働きを抑えることで震えを止めます。

超音波はピンポイントで照射されるため、脳の周辺部位にダメージを与えにくく、頭蓋骨に穴を開ける必要もありません。

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5.パーキンソン病
パーキンソン病は、脳内のドパミンを生成する神経細胞が減少し、ドパミン分泌量が減ることで運動の調節が難しくなる病気です。

動作がゆっくりになり、手足が震えるなどの症状が現れます。

パーキンソン病による震えは、安静時に生じるのが特徴です。

・パーキンソン病の治療
治療にはドパミンを補う「レボドパ」が用いられますが、病気が進行すると効果の持続時間が短くなる場合があり、他の薬と併用することもあります。

・ウェアリングオフとジスキネジア
治療初期の3~5年は薬によるコントロールがうまくいきますが、その後、次の薬を飲む前に効果が切れる「ウェアリングオフ」が現れる場合があります。

また、薬が効きすぎると「ジスキネジア」という不随意運動が生じることがあります。

これらの症状は、薬の種類や量を調整することで対処します。

・脳深部刺激療法「DBS」
薬が効果を発揮しにくくなった場合、脳に電気刺激を行う「脳深部刺激療法(DBS)」が選択されることがあります。

脳の特定の部位に電極を埋め込み、電気刺激を与えることで、震えなどの症状を改善します。

DBSは、脳内の異常な興奮を抑制し、症状の改善を図ります。