侵襲性歯周炎

1.若い世代でも注意が必要な歯周病
歯周病は通常、40代以上から歯槽骨が溶け始めますが、10代から30代でも急速に歯槽骨が溶けることがあります。

これを侵襲性歯周炎(しんしゅうせいししゅうえん)と呼びます。

この病気は自覚症状がないことが多く、気づかないうちに進行している場合があるため、注意が必要です。

症状がなくても、年に一度は歯周病の検査を受けることが推奨されます。

2.実際にあったケース
鈴木さん(仮名、50代女性)は、33歳の時に左下の奥歯に違和感を覚えました。

虫歯だと思って受診したところ、問題は歯そのものではなく歯槽骨にありました。

歯の根元が露出するほど歯槽骨が減少しており、侵襲性歯周炎と診断されました。

3.侵襲性歯周炎の原因
侵襲性歯周炎は、特定の歯周病菌に感染しているか、歯周病菌の影響を受けやすい体質の場合に発症しやすいとされています。

数多くの歯周病菌の中でも、アグリゲイティバクター・アクチノマイセテムコミタンス(A.a.菌)に感染していると、侵襲性歯周炎が起こりやすいと考えられています。

A.a.菌は強い毒素を出すため、プラークの量が少なくても歯茎に炎症を引き起こしやすく、歯周病が進行しやすいとされています。

4.侵襲性歯周炎の感染経路
歯周病の多くは唾液を介して感染し、A.a.菌も同様です。

家族で食器を共有するなどで感染が広がる可能性があり、侵襲性歯周炎の患者の家族も感染している可能性が高いです。

5.侵襲性歯周炎の検査
A.a.菌に感染しているかは、PCR法という検査で確認します。

PCR法は、細菌のDNAを増殖させて分析し、口腔内の歯周病菌の種類や量を測定します。

30代までにエックス線検査で歯槽骨の溶解が確認された場合、侵襲性歯周炎と診断されます。

6.侵襲性歯周炎の治療
治療の基本は、プラークコントロールやスケーリングでプラークや歯石を除去することです。

侵襲性歯周炎はプラークや歯石が少なくても炎症が起こりやすいため、3か月に一度の定期的な歯科受診と口腔ケアが重要です。

A.a.菌に対する抗菌薬の使用もありますが、耐性ができるため、最近ではあまり積極的に使われていません。

7.歯周組織再生療法
歯槽骨を再生させる治療法もあります。

歯茎を切開し、溜まった歯石を除去し、歯と歯茎の間に特殊な薬を注入します。

6~9か月で再生した歯槽骨が確認でき、1~2年で徐々に再生します。

治療は基本的に1回で済みます。

注入薬には、豚の歯の組織のタンパク質を精製したEMDと、人間の遺伝子を組み換えて作ったタンパク質を主成分とするトラフェルミンの2種類があります。

EMDは自由診療で1本あたり5~20万円、トラフェルミンは保険診療で1本あたり1~2万円(3割負担の場合)です。

治療を受ける際は歯科医師の説明を受けて選択します…