急性硬膜下血腫は、頭部外傷や血管の破裂などが原因で硬膜下(脳と頭蓋骨の間の膜の下)に血液がたまる状態を指します。
症状は以下のようなものがありますが、症状の出方や程度は個人によって異なります。
1.頭痛
突然の激しい頭痛が一般的です。
特に頭部外傷の後に発生する場合があります。
2.意識障害
意識レベルが低下することがあります。
軽度のものでは混乱や眠気、重度のものでは昏睡状態に至ることもあります。
3.嘔吐
頭部外傷後に嘔吐が起こることがあります。
嘔吐が持続する場合や突然の嘔吐が繰り返される場合は要注意です。
4.意識の変化
意識がボンヤリしたり、混乱したりすることがあります。
物事に集中できない、正確な判断ができない、あるいは話し言葉が理解しづらいなどの症状も見られることがあります。
5.片麻痺
血腫が脳の一部に圧迫をかけることで、片側の手足の麻痺や筋力低下が現れることがあります。
6.てんかん発作
一部の患者ではてんかん発作が起こることがあります。
7.頭部腫脹頭部の腫れや膨らみが見られることがあります。
※これらの症状が頭部外傷の後に出現した場合、特に注意が必要です。
急性硬膜下血腫は重篤な状態であり、速やかな医療処置が必要となります。
症状が見られる場合は、直ちに医療機関を受診し、専門医による適切な治療を受けることが重要です。
急性硬膜下血腫 原因
急性硬膜下血腫の主な原因は、頭部外傷や血管の破裂などによる出血です。
以下に、それぞれの原因について詳しく説明します。
1.頭部外傷
急性硬膜下血腫の最も一般的な原因は、頭部外傷によるものです。
頭部が強く打撃を受けたり、事故やスポーツ中の落下などによって、硬膜下の血管が破れることがあります。
その結果、血液が硬膜下にたまり、圧迫を引き起こして脳に影響を及ぼします。
2.血管の破裂
頭部外傷以外の原因としては、高血圧や動脈瘤、血管の異常などによって血管が破れることが挙げられます。
これにより、脳内の血管が破れて血液が硬膜下に漏れ出し、血腫を形成する可能性があります。
3.血液凝固障害
血液凝固障害(例:血友病や抗凝固療法を受けている患者)を持つ人々は、急性硬膜下血腫に罹患するリスクが高くなる可能性があります。
血液凝固障害がある場合、出血が止まりにくくなり、頭部外傷などの軽微な損傷でも血腫が形成される可能性があります。
4.特定の医療処置
稀に、脳手術や脳梗塞の治療に伴う合併症として、硬膜下に血腫が形成されることがあります。
※急性硬膜下血腫は、これらの原因によって起こるため、予防策としては特に頭部外傷を予防することが重要です。
安全なスポーツや運動の実践、適切な車両の安全装備の使用、そして危険な活動中の頭部保護を含む予防措置が重要です。
また、既存の血液凝固障害を持っている場合は、定期的な医師の診察や適切な治療を受けることも重要です。
急性硬膜下血腫 治療
急性硬膜下血腫の治療は、症状の重篤さや進行具合によって異なりますが、一般的には以下のような方法が用いられます。
1.手術
急性硬膜下血腫が進行している場合や症状が重篤な場合、手術が必要となることがあります。
手術は血腫の除去と圧迫を受けている脳組織の解放を目的とします。
一般的には、硬膜を開いて血腫を摘出する開頭手術(クラニオトミー)が行われます。
また、場合によっては脳内の圧迫を軽減するために脳室にドレナージを行うこともあります。
ただし、血腫のサイズがそれほど大きくない場合や、手術までの時間的猶予が少ないと判断される場合などには、開頭するのではなく、カテーテルを挿入して血腫を取り除くこともあります。
また、受診時に意識が清明であるか、あるいは意識障害が軽度でかつCTにて血腫による影響が少ないと判断される場合には、注意深い観察のもと、保存的な経過対応となることもあります。
2.観察と経過観察
症状が軽度で手術が不要な場合や、手術後の経過観察のためには、入院が必要となります。
医師は患者の状態を密に監視し、血腫が自然に吸収されるのを待つ場合もあります。
これには、定期的な神経学的評価や画像検査が含まれます。
3.薬物療法
血管を拡張させる薬や抗てんかん薬、抗凝固薬などが、症状の管理や予防に使用される場合があります。
ただし、これらの薬物療法は一般的には補助的な役割を果たすものであり、手術が必要な場合には手術と併用されることがあります。
4.リハビリテーション
血腫や手術による脳の損傷によって生じた身体的または認知的な障害を改善するために、リハビリテーションプログラムが必要となる場合があります。
これには、理学療法、作業療法、言語療法などが含まれます。
※急性硬膜下血腫の治療は、早期に適切な医療機関で診断され、適切な治療が行われることが重要です。
治療の遅れや不適切な治療は、重篤な後遺症や死亡のリスクを増加させる可能性があるため、症状が現れた場合は速やかに医療専門家の診察を受けることが重要です。
急性硬膜下血腫 後遺症
急性硬膜下血腫が適切に治療されなかったり、治療が遅れたりすると、後遺症が残る可能性があります。
後遺症は、脳の圧迫や損傷によって生じる様々な問題や障害を指します。
以下に、急性硬膜下血腫の後遺症の一般的な例をいくつか挙げます。
1.神経学的後遺症
血腫の圧迫によって生じる神経学的な後遺症は、感覚や運動の障害を含みます。
例えば、片麻痺や感覚障害、視覚障害、平衡感覚の喪失などがあります。
2.認知機能の障害
脳の損傷により、認知機能の障害が残る場合があります。
これには、記憶障害、注意力や集中力の低下、情報処理能力の低下、言語障害などが含まれます。
これらの障害は、日常生活や社会的機能に大きな影響を及ぼす可能性があります。
3.精神的影響
急性硬膜下血腫の経験は、患者の精神的健康にも影響を与える場合があります。
これには、うつ症状、不安、ストレス、自己イメージの変化などが含まれます。
これらの影響は、社会的関係や職業生活にも影響を及ぼす可能性があります。
4.てんかん発作
急性硬膜下血腫が治癒した後でも、一部の患者ではてんかん発作が後遺症として残る場合があります。
これらの発作は、日常生活において制限や困難を引き起こすことがあります。
5.運動機能の障害
血腫や手術による脳の損傷により、運動機能の障害が残ることがあります。
これには、筋肉の弱点や運動の制限、協調性の低下などが含まれます。
※これらの後遺症は、個々の症例によって異なります。
また、適切な治療やリハビリテーションプログラムの実施により、後遺症の症状を軽減することができる場合もあります。
急性硬膜下血腫の後遺症に関しては、個々の患者に適した医療チームとの協力が重要です。
急性硬膜下血腫 生存率
急性硬膜下血腫は、頭部に強い外力が加わった結果、脳の表面に存在する血管が損傷し、硬膜と脳の間に出血が広がる病気です。
この病気は高齢者に多く見られ、治療技術が進歩した現在でも、死亡率は60%以上と非常に高いとされています。
具体的には、手術を行った場合の死亡率は65%と高く、その一方で、社会復帰できる人は18%と報告されています。
これは、急性硬膜下血腫の予後(発症後の見通し)が意識障害の程度と関係しているためです。
これらの数値はあくまで一般的なものであり、個々の患者さんの状態や治療の進行具合により、生存率や社会復帰率は変動します。
また、これらの数値はあくまで参考の一つであり、具体的な治療法や予後については医師との相談の上で決定されます。
最新の情報を得るためには専門医との相談が必要です。


