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すい臓がん 急増

日本人の「すい臓がん」が急増している主な理由は以下の通りです。

1.食生活の欧米化
近年、日本人の食生活が欧米化し、動物性脂肪の摂取量が増えたことが大きな要因となっています。

肥満や高脂血症は、すい臓がんのリスク要因とされています。

2.喫煙率の高さ
喫煙は確実なすい臓がんの危険因子です。

日本は他の先進国に比べ喫煙率が高い傾向にあり、これがすい臓がんの増加に影響していると考えられています。

3.高齢化の進行
すい臓がんは高齢者にかかりやすい傾向があり、日本の急速な高齢化とも関係が指摘されています。

4.糖尿病患者の増加
2型糖尿病は、すい臓がんの危険因子です。

日本でも糖尿病患者数が増加しており、これがすい臓がん発症のリスクを高めている可能性があります。

5.診断技術の向上
画像診断などの技術進歩により、以前は見落とされていたすい臓がんが発見されるようになった面もあります。

食習慣の改善、禁煙、適度な運動、肥満の予防など、生活習慣の改善が予防につながると考えられています。

また、高リスク群の方への定期検診の重要性も指摘されています。

すい臓がん 動物性脂肪
動物性脂肪の過剰摂取がすい臓がんのリスクを高める可能性があるメカニズムは、主に以下の2点が考えられています。

1.肥満・インスリン抵抗性の促進
動物性脂肪の摂り過ぎは肥満を引き起こしやすく、インスリン抵抗性を高めます。

インスリン抵抗性が高まると、膵臓に負担がかかり、インスリン産生細胞の増殖が促進されます。

その結果、細胞が癌化するリスクが高まると考えられています。

2.炎症の促進
動物性脂肪には飽和脂肪酸が多く含まれています。

飽和脂肪酸は体内で炎症を引き起こしやすく、慢性的な炎症が続くと、DNAが傷つき、細胞ががん化するリスクが高くなります。

膵臓でも同様の現象が起こり、炎症によりすい臓がんが発症しやすくなるといわれています。

つまり、動物性脂肪の過剰摂取は、肥満、インスリン抵抗性と慢性炎症の両面から、膵臓の細胞を癌化させやすい環境を作り出してしまうのです。

適度な動物性脂肪の摂取と、バランスの良い食事が重要になってきます。

動物性脂肪の多い食品
動物性脂肪が多く含まれる主な食品は以下のようなものです。

・肉類
– 牛肉
– 豚肉
– 子羊肉
– 鶏皮つき部分

※子羊は生後1年未満の雄または雌の仔羊のことを指します。

子羊肉は赤身が多く、脂肪分が比較的少ない部類に入りますが、それでも牛肉や豚肉に比べると動物性脂肪の含有量は高めです。

特に脂身の部分には飽和脂肪が多く含まれています。

ですので、子羊肉も動物性脂肪の過剰摂取には注意が必要な食材といえます。

適量を控えめに食べることが肥満やすい臓がんのリスク低減につながるでしょう

・乳製品
– バター
– チーズ
– クリーム
– アイスクリーム

クリームとは、乳製品の一種で、牛乳から分離した乳脂肪分を主成分とするものです。

具体的には以下のようなものが含まれます。

*ホイップクリーム
乳脂肪分が35%以上含まれ、泡立てて使うタイプのクリーム。ケーキやコーヒーなどに使われます。

*生クリーム
無糖のクリームで、乳脂肪分が48%程度含まれています。料理やデザートに使われます。

*クリームチーズ
クリームに発酵種を加えてなめらかにしたチーズの一種。乳脂肪分が30%前後です。

*クリームソース
白ワインやブイヨンなどの液体にクリームを加えた濃厚な味付けソース。

▽このように、クリームには非常に高い割合で動物性脂肪が含まれています。

カロリーが高く、飽和脂肪酸も多いため、過剰摂取には注意が必要です。

すい臓がんのリスク上昇の一因ともなり得ます。

・卵料理
– 卵黄

・加工肉
– ソーセージ
– ベーコン
– ハム

上記のような赤身の肉、脂肪分の多い乳製品、卵黄などに多く動物性脂肪が含まれています。

飽和脂肪酸が特に多いのが特徴です。

一方で、魚介類には動物性脂肪はあまり含まれず、植物性の油脂に比べて飽和脂肪酸の割合が低くなっています。

動物性脂肪を過剰に摂らないためには、赤身肉の量を控えめにし、乳製品も低脂肪のものを選ぶなどの食生活の工夫が必要になります。

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すい臓がん 高リスク群

すい臓がんの高リスク群として、以下のような方々が挙げられます。

1.喫煙者、元喫煙者
喫煙はすい臓がんの確立された危険因子です。

喫煙歴があり、特に多量喫煙者は高リスクです。

2.糖尿病患者
2型糖尿病を患っている方は、健常者に比べすい臓がんのリスクが高いとされています。

3.慢性膵炎の患者
長期的な膵臓の炎症は、がんの原因になる可能性があります。

4.遺伝性膵がん症候群の保因者
BRCA2やPALB2などの一部の遺伝子変異を持つ方は、すい臓がんのリスクが高まります。

5.肥満者
肥満、特に内臓脂肪型肥満はすい臓がんのリスク因子です。

6.高齢者
年齢とともにすい臓がんのリスクは高くなる傾向にあります。

このような高リスク群の方々に対しては、定期的な検診や精密検査が推奨されています。

また生活習慣の改善なども重要視されています。

すい臓がん メッセンジャーRNA
すい臓がんの新しい治療法として、「メッセンジャーRNA(mRNA)」を用いた免疫療法が注目されています。

mRNAは、DNAに書かれた遺伝情報を細胞の中で蛋白質に翻訳する働きをする核酸分子です。

この性質を利用して、がん細胞の特徴的な蛋白質の設計図となるmRNAを体内に投与することで、免疫細胞にそのがん特異的蛋白質を認識させ、がん細胞を攻撃するよう誘導する治療法です。

具体的には、以下のようなステップを経ます。

1.がん細胞特異的な蛋白質をコードするmRNAを合成する。

2.合成したmRNAを脂質ナノ粒子に詰め込む。

3.脂質ナノ粒子を静脈内に投与する。

4.投与されたmRNAが免疫細胞に取り込まれ、蛋白質が産生される。

5.産生されたがん特異的蛋白質を免疫細胞が認識する。

6.免疫細胞がその蛋白質を持つがん細胞を攻撃する。

この治療法の利点は、従来の抗がん剤と比べ副作用が少ないこと、個々のがん細胞の特徴に合わせて治療できることなどが挙げられます。

すでに一部のがん種に対してmRNA治療薬が承認されている他、すい臓がんに対する臨床試験も進行中です。

がんの根治を目指す革新的な治療法として、今後のさらなる研究開発が期待されています。

承認されている mRNA治療薬
現在までに承認されているmRNAを用いたがん治療薬を具体的に紹介します。

・ツムラフ゛ティン (一般名:ecdorevleucel)
2022年に米国FDAが承認した、固形がん治療用のmRNA製剤です。

患者自身の免疫細胞にmRNAを導入し、がん特異的な蛋白質を発現させたものを再投与します。

・スタミナリー (一般名:riltozinameran)
2022年に欧州で承認された、メラノーマ(悪性黒色腫)治療薬です。

メラノーマ関連抗原をコードするmRNAを含む脂質ナノ粒子を投与します。

・クーフ゛ァクト (一般名: ヌフ゛ァーキンフ゛)
2020年10月に米国食品医薬品局(FDA)によってに承認された非小細胞肺がん治療薬。

腫瘍関連抗原のmRNAを含むリポソームを投与し、免疫細胞の活性化を狙います。

このように、mRNAを用いたがん免疫療法薬は、実用化が進んでいる最先端の治療法です。

固形がんを中心に、さまざまながん種への適用拡大が期待されています。

一方で、mRNAの品質管理や投与経路の改善、安全性の確保など、課題も残されています。

更なる研究開発が重要視されています。