オニコチロマニア(爪強迫症)とは、自分の爪を無意識のうちに噛む習癖のことを指します。
主な症状は以下の通りです。
・爪を噛む癖があり、指先が痛んだり爪が短くなる。
・噛んだ爪の端が唇や口内に刺さり、痛みや出血が起こる。
・噛んだ爪の破片を飲み込んで消化器系の問題が起こる可能性がある。
・噛む行為に気づかず、無意識に噛んでしまう。
・噛まないよう意識的に抑えるが、うまくいかない。
※重症化すると爪が著しく短くなったり、口内炎ができたりと、身体的な問題が生じる可能性があります。
対処法としては、まず習癖に気づくこと、ストレス解消法を見つけること、噛まないよう意識を向上させることが大切です。
場合によっては専門家の助言を求めることも検討したほうがよいでしょう。
習慣をコントロールすることで、オニコチロマニアの症状は改善できます。
オニコチロマニア 原因
オニコチロマニア(爪強迫症)の原因については、以下のようなものが考えられています。
1.不安やストレス
不安神経症や心的ストレスが高まると、無意識のうちにストレス解消の手段として爪を噛む癖がつきやすくなります。
2.注意欠陥多動性障害(ADHD)
ADHDの症状である集中力の低下が原因で、無意識に何かを噛む癖がつく可能性があります。
3.強迫性障害(OCD)
理由もなく行動を繰り返さずにはいられないOCDの一種として、爪を噛む癖が現れることがあります。
4.自傷行為
不安やストレスを爪を噛むことで発散する自傷行為の一種とも考えられています。
5.単なる習癖化
特別な理由はなく、幼少期からの習慣が悪癖としてついてしまった場合もあります。
6.遺伝的素因
家族に同じような癖を持つ人がいると、遺伝的に同様の癖がつきやすいと指摘される場合があります。
※つまり、不安やストレス、注意力の問題などの心理的要因と、習慣化や遺伝的素因などが複雑に関係して、オニコチロマニアが生じると考えられています。
オニコチロマニア 治療
オニコチロマニア(爪強迫症)の治療については、主に以下のようなアプローチがとられます。
1. 行動療法
・自己モニタリング
癖に気づき、記録することで自覚を高める。
・習慣反転法
噛む代わりに他の行動(ボールを握るなど)を取り入れる 。
・強化子
癖ができなかった時に賞賛したり、報酬を与えたりする。
2. 認知行動療法
・自己注目のバイアスを修正する。
常に自分の手を意識せずにすむよう訓練。
・ネガティブな考え方を変える、「噛んだら悪い」という考えを改める。
・ストレス対処法を身につける。
3. 習慣化の訓練
・癖のきっかけとなる状況を特定し、それを避ける。
・癖をしたくなったら違う行動に置き換える訓練。
4. 薬物療法(併用)
・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)
・治療抵抗性の場合は治療用補足薬を使用。
5. 装具やつめ保護剤の使用
・装具で爪を保護し、噛めないようにする。
・苦い味の液を爪にぬり、噛まないようにする。
※いずれも専門家による継続的な支援が重要です。
認知行動療法と行動療法を組み合わせることが一般的で、必要に応じて薬物や装具を使うなど、様々なアプローチを組み合わせる傾向にあります。
オニコチロマニア 合併症
オニコチロマニア(爪強迫症)の合併症について詳しく説明します。
①皮膚疾患
口周囲の皮膚が常に唾液に曝されるため、皮膚炎やえくぼが生じやすい。
爪を短く噛みすぎると爪周囲炎(甘皮炎)が起こりやすい。
②口腔内の問題
爪の破片を飲み込むと口内炎や歯周病が生じる。
爪を噛むことで歯が削れる、歯の神経が露出するリスクがある。
③消化器疾患
爪の破片を飲み込み続けると食道や胃の粘膜が傷つく可能性。
重症化すれば消化管穿孔の危険性もある。
④呼吸器疾患
爪や唾液が誤嚥されれば、気管支炎や肺炎を起こすリスク。
⑤感染症
爪を噛む習癖で手指に常に小さな傷があり、細菌感染のリスクが高まる。
ウイルス性の伝染性口内炎にもかかりやすい。
⑥精神疾患の合併
オニコチロマニアは不安障害や強迫障害を合併しやすい。
爪を噛む行為自体が自傷行為の一種にもなりうる。
※このように重症化すれば、様々な身体的、精神的な合併症が起こりうるため、症状が続く場合は専門家に相談することが重要です。