スポンサーリンク

クッシング病 症状

クッシング病は、副腎で合成、分泌されるコルチゾールの慢性的な過剰な産生が原因で起こる病気です。

一般に、30~50代の女性に多いといわれています。

主な症状は以下の通りです。

1.体重増加、中心性肥満
過剰なコルチゾールにより、体液貯留と脂肪異常分布(体幹部への脂肪沈着)が起こります。

2.満月様顔貌
顔面の肥満と赤味がみられます。

3.皮膚の菲薄化ひはくか)と易出血性
コルチゾールにより皮膚が菲薄化し、出血しやすくなります。

4.筋肉痩せ
蛋白異化作用によって筋肉が菲薄化します。

5.高血糖
インスリン抵抗性が高まり、糖尿病が合併しやすくなります。

6.高血圧
体液貯留と副腎からのアルドステロン過剰分泌が原因です。

7.易感染性
免疫抑制作用により、感染症にかかりやすくなります。

8.精神症状
気分の変化、うつ状態、不眠などが出現することがあります。

9.月経異常
女性ホルモン分泌の抑制により、月経異常をきたします。

症状は緩徐に進行するのが一般的ですが、中には急激に症状が出現する場合もあります。

治療は原因となる腫瘍の外科的切除が第一選択です。

クッシング病 原因
クッシング病の原因は、下垂体または副腎における腫瘍に起因する慢性的なコルチゾール過剰分泌です。

具体的には以下の2つのパターンが存在します。

1.下垂体性クッシング病
下垂体に良性の腫瘍(プロラクチン産生腺腫)ができ、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の過剰分泌が起こります。

ACTHが副腎に作用してコルチゾールの産生が亢進するため、クッシング病を引き起こします。

下垂体性は全体の約8割を占めます。

2.副腎性クッシング病
副腎腫瘍(良性または悪性)から直接コルチゾールが過剰に産生されるタイプです。

片側性の場合が多く、両側性は稀です。

全体の約2割が副腎性です。

まれに、がん終末期の患者でエクトピック(異所性)ACTH産生腫瘍によりクッシング症候群を呈する場合もあります。

発症原因は不明な部分が多いものの、肥満や糖尿病、高血圧症などのリスク因子が指摘されています。

遺伝的要因も一部関与していると考えられています。

早期発見と適切な治療が重要で、原因となる腫瘍の外科的切除が第一選択とされています。

スポンサーリンク

クッシング病 治療

クッシング病の治療は、原因となる腫瘍の外科的切除が第一選択となります。

具体的な治療法は以下の通りです。

1. 外科的治療
・下垂体性クッシング病の場合
経蝶形骨洞手術により下垂体腺腫を摘出します。

腫瘍の大きさや位置によっては開頭手術が必要な場合もあります。

・副腎性クッシング病の場合
副腎腫瘍を含む副腎の一部または全摘出手術を行います。

両側性の場合は両側副腎を摘出する必要があります。

2. 薬物療法
・手術が困難な場合や、手術後に残存腫瘍による再発で薬物療法が選択されます。

・ステロイド合成酵素阻害剤、副腎抑制剤などが使用されます。

・根治は困難ですが、一時的にコルチゾール過剰分泌を抑制できます。

3. 放射線治療
・下垂体腺腫に対して定位放射線治療が行われる場合があります。

・手術後の残存腫瘍や再発腫瘍に対して補助的に行われます。

4. 副作用への対症療法
・高血糖、高血圧、骨粗鬆症などの合併症に対する治療が並行して行われます。

いずれの治療法でも再発のリスクが高いため、長期的な経過観察が重要となります。

根治が難しい場合は、症状を可能な限りコントロールすることが目標となります。

クッシング病 致死率
クッシング病の致死率については、以下のような点が指摘されています。

・適切な治療を受けられない場合の致死率は高く、5年生存率は50%未満と報告されています。

これは、コルチゾール過剰が長期にわたり持続すると、糖尿病、感染症、血栓症、心血管合併症などのリスクが高くなるためです。

・一方で、原因となる腫瘍が適切に外科的に切除されれば、ほとんどの症例で症状は改善し、予後は良好となります。

早期発見と適切な治療介入が重要です。

・下垂体腺腫による下垂体性クッシング病の場合、外科手術で約70~90%の症例で寛解が得られますが、10~20%は再発するリスクがあります。

定期的な経過観察が必須です。

・副腎腫瘍による副腎性の場合、片側副腎摘出で90%以上の症例で寛解が得られますが、悪性腫瘍の場合は予後不良となります。

・高齢者や合併症を有する症例では、治療関連の合併症リスクも高くなるため、慎重な管理が求められます。

総じて、未治療の場合は予後不良ですが、早期発見と適切な外科治療により、大多数の症例で良好な予後が期待できる病態といえます。

クッシング病 予防
クッシング病自体を予防することは難しいのが実情です。

しかし、発症リスクを下げたり、早期発見につながる対策はあります。

1.肥満、糖尿病、高血圧症などの生活習慣病の予防
これらの疾患がクッシング病の危険因子と指摘されているため、食事、運動、禁煙などの生活習慣の改善が重要です。

2.定期的な健康診断の受診
健診での血液検査(コルチゾール値の測定)や身体所見のチェックにより、早期発見につながる可能性があります。

3.クッシング病に典型的な体型や症状の自己チェック
中心性肥満、満月様顔貌、皮膚の菲薄化、筋力低下などの自覚症状があれば、早めに医療機関を受診することが推奨されます。

4.ストレス対策
慢性的なストレスがコルチゾール分泌を高める可能性があるため、適度な運動や休養、瞑想などでストレス解消に努めましょう。

5.他の内分泌疾患の適切な管理
クッシング病と関連の深い疾患、プロラクチノーマ、甲状腺機能異常等を適切に治療管理することも重要です。

プロラクチノーマは、乳汁分泌作用のあるホルモンであるプロラクチンが過剰に産生される下垂体腫瘍です。

高プロラクチン血症により月経異常や不妊症となり、妊娠・出産していないのに乳汁漏出がみられます。

発症メカニズムが完全には解明されていないため、確実な予防法はありませんが、生活習慣の是正と自己チェック、定期健診が発症リスクの低減と早期発見に寄与すると考えられています。