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下肢静脈瘤 初期症状

下肢静脈瘤の初期症状については、以下のようなものが挙げられます。

1.脚の疲労感
長時間の立ち仕事や座り仕事で脚が重くなったり、夕方になると脚がむくんだりすることがあります。

2.痛み
脚の筋肉痛や硬直痛、しびれ感などが起こる場合があります。

痛みは長時間座っていたり、運動後に強くなることがあります。

3.夜間筋痙攣
夜間就寝中に下腿の筋肉が突然けいれんするような痛みが起こります。

痛みは数秒から数分程度続き、ふくらはぎや足底筋が特に痙攣を起こしやすい。

4.浮腫
足首や足の裏、くるぶしに浮腫が出る場合があります。

5.色素沈着
静脈の血液うっ滞が続くと、足の皮膚に茶色や紫色の色素沈着ができることがあります。

6.皮膚の変化
皮膚が乾燥したり、掻痒感が出たりする場合があります。

重症化すると皮膚が肥厚化したり、潰瘍ができたりします。

初期では自覚症状が軽微なこともありますが、放置すると重症化するリスクがあるので、症状が出たら早めに医師に相談することが大切です。

下肢静脈瘤を放置すると、次のような重症化のリスクがあります。

1.疼痛の増強
下肢の重だるさ、疲労感、痛みが徐々に強くなっていきます。

2.浮腫(むくみ)の悪化
足首や下腿部のむくみが持続的になり、夕方にさらに増悪します。

3.色素沈着の進行
静脈瘤周辺の皮膚に茶色や紫色の色素沈着(赤黒色皮膚症)が広がっていきます。

4.皮膚炎、潰瘍の発症
皮膚が炎症を起こしたり、最悪の場合には難治性の慢性潰瘍ができる可能性があります。

5.血栓性静脈炎の発症
静脈瘤内に血栓ができ、炎症を起こす深部静脈血栓症を併発するリスクが高まります。

6.出血のリスク増加
静脈瘤が徐々に拡大し、皮膚が菲薄化するため、軽い打撲でも出血するようになります。

7. 活動制限
症状が進行すると、歩行時の疼痛から活動が制限されるようになります。

このように、下肢静脈瘤は放置すれば徐々に症状が悪化していくため、初期段階から適切な治療を受けることが推奨されています。

下肢静脈瘤 原因 予防
下肢静脈瘤の原因と予防について詳しく説明します。

【原因】
1.遺伝的素因
静脈壁の弾力低下や静脈弁の異常により発症しやすくなる遺伝的要因があります。

2.加齢
年齢とともに静脈壁が弛緩し、静脈弁不全が起こりやすくなります。

3.肥満
体重過多は下半身への静脈圧の負荷を高めます。

4.運動不足
座り仕事が多かったり、運動不足だと下肢の静脈環流が悪化します。

5.妊娠
子宮が大きくなり、骨盤内の静脈に圧迫がかかるためです。

6.立ち仕事
長時間立ち続けると下肢静脈圧が高まります。

【予防】
1.適度な運動
歩行や水泳など下半身を使う運動を心がけ、静脈環流を良くします。

2.休息
長時間同じ姿勢をとり続けないよう、適度に姿勢を変えましょう。

3.足の挙上
就寝時や休息時に足を心臓より高い位置に持ち上げます。

4.着圧ストッキングの着用
着圧ストッキングを着用すると静脈還流が改善します。

5.体重コントロール
肥満は静脈瘤のリスクになるので、適正体重を維持しましょう。

6.禁煙
喫煙は血液を粘稠(ねんちょう)し、静脈瘤の危険因子になります。

・血液粘稠化の促進
タバコの主成分であるニコチンにより、血液中の赤血球が変形しやすくなり、血液の粘稠度が上がります。

粘稠な血液は静脈還流を阻害し、静脈瘤のリスクを高めます。

・血管弾性低下
一酸化炭素などの有害物質が血管内皮細胞を損傷し、血管の弾性低下を引き起こします。

弾性の低下した静脈は拡張しやすく、静脈瘤発症のリスクが高まります。

つまり、喫煙は血液の流れを悪くするだけでなく、静脈自体の機能低下も引き起こすため、静脈瘤のリスクを高める重要な因子なのです。

静脈瘤は生活習慣が大きく影響するので、予防的な対策が重要となります。

初期段階から自覚症状があれば、早期の治療介入も推奨されています。

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下肢静脈瘤 治療薬

下肢静脈瘤の治療には薬物療法と外科的治療があります。

【薬物療法】
薬物療法は症状の改善や増悪予防を目的としています。

主な薬剤は以下の通りです。

1.血管拡張薬
ヘパリン製剤、フラビンアデニンジヌクレオチド製剤など。

静脈壁の収縮力を高め、静脈還流を改善します。

2.抗炎症薬
ステロイド薬や非ステロイド性抗炎症薬が用いられ、浮腫や疼痛を抑えます。

3.血液凝固抑制薬
ワルファリンやヘパリン製剤など。血栓予防や既存血栓の増大を防ぎます。

4.血管保護薬
ビタミンC製剤やナリジクス酸など。

静脈壁の修復や新生を促します。

5.生薬製剤
ウラジロガシ球皮エキスなど。

浮腫改善や血行促進作用があります。

単独では根治は困難ですが、症状改善や増悪予防に有効です。

下肢静脈瘤の治療で使用される薬剤には、副作用のリスクがあるため注意が必要です。

1.血管拡張薬
・ヘッドアップション、動悸、筋肉痛などの副作用がある。

・フラビンアデニンジヌクレオチド製剤は光線過敏症の危険性。

2.抗炎症薬
・ステロイド薬は長期使用で糖尿病、骨粗鬆症などのリスクあり。

・非ステロイド性抗炎症薬は胃腸障害の可能性。

3.血液凝固抑制薬
・出血リスクの増加

・ワルファリンは他の薬剤との相互作用に注意

4.血管保護薬
・ビタミンC製剤は高用量で腹痛や下痢の可能性

・ナリジクス酸は光線過敏症の危険性

5.生薬製剤
・肝機能障害や過敏症状などの副作用リスク

長期に複数の薬剤を併用する場合は特に注意が必要です。

副作用がみられたら速やかに医師に相談し、薬剤の調整を検討する必要があります。

基礎疾患や他の服用薬もあれば、副作用リスクが高まる可能性があります。

適切な薬物治療を行うには、患者個々の状態を見極め、医師と綿密に相談しながら最適な治療薬を選択することが重要になります。

下肢静脈瘤 外科的治療
重症例や難治性潰瘍例では外科的治療が必要になります。

高い根治効果が期待できますが、低侵襲治療から段階的に選択されます。

1.注射硬化療法
硬化剤を注入し、静脈を閉塞させる低侵襲治療です。

2.血管内レーザー焼灼術
レーザー焼灼術は、下肢静脈瘤の低侵襲な外科的治療法の一つです。

具体的な手順は以下の通りです。

・麻酔
患部に局所麻酔を施します。

・プローブ挿入
超音波画像をガイドにして、静脈瘤部位に極細のプローブを挿入します。

・レーザー照射
プローブの先端から高熱のレーザー光を出し、静脈内腔を焼灼していきます。

・静脈閉塞
レーザーの熱で静脈内腔が蒸散、閉塞し、血液の流れが途絶えます。

・プローブ抜去
焼灼が完了したらプローブを抜去します。

この方法のメリットは、以下のようなことが挿げられます。

*皮膚に切開を加えない低侵襲治療

*施術時間が比較的短い(30分程度)

*痛みが少なく、入院の必要がほとんどない

*術後の回復が早い

*再発率が低い

一方で、深在性の太い静脈瘤には適さず、高熱による神経損傷や皮膚熱傷のリスクもあります。

術後は圧迫包帯を数日着用し、歩行運動を促すことで静脈の閉塞を確実にします。

静脈瘤の状態によっては複数回の施術が必要な場合もあります。

全身麻酔が不要で低侵襲な点が大きなメリットですが、患者個々の静脈瘤の状態を良く判断して適切な治療法を選ぶ必要があります。

3.手術的抜去術
顕在化した静脈瘤を直接切除する従来の手術療法です。

状態に応じて薬物療法と外科的治療を適切に組み合わせることが重要とされています。