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中咽頭がん 症状

中咽頭がんは、咽頭の一部である中咽頭で発生するがんの一種です。

中咽頭は鼻腔と口腔の中間に位置し、咽頭の上部にあります。

中咽頭がんの初期症状は、物を飲み込む時の違和感や喉の異物感・違和感などです。

これらの症状は軽いことが多く、明らかな自覚症状がないこともあります。

中咽頭がんは、扁桃や舌根などの部位に発生することが多く、口を開けて見える位置にがんができることもあります。

しかし、必ずしも見える位置に中咽頭がんができるとは限らず、深い位置にがんができる場合もあるため、医学的知識のない方が見ただけではがんの有無を判断することは難しいといえます。

中咽頭がんを疑った場合は、耳鼻咽喉科を受診することが大切です。

中咽頭がんの症状は個人によって異なりますが、一般的な症状には以下が含まれます。

1.鼻づまりや鼻血
中咽頭がんが進行すると、鼻腔や周辺組織に影響を与え、鼻づまりや頻繁な鼻血が発生することがあります。

2.聴覚の変化
中咽頭がんが内耳や周辺の構造に影響を与えると、聴覚に関連する症状が現れることがあります。

3.嚥下困難
咽頭にできた腫瘍が食道を圧迫することで、嚥下が難しくなることがあります。

4.声の変化
中咽頭がんが声帯や声門に影響を与えると、声のかすれや変化が現れることがあります。

5.耳の痛み
中咽頭がんが耳に近い領域に影響を与えると、耳の痛みが生じることがあります。

6.頸部リンパ節の腫れ
中咽頭がんが進行すると、頸部にあるリンパ節が腫れることがあります。

7.体重減少
食欲不振や嚥下困難により、患者は体重を減少させることがあります。

これらの症状が一つまたは複数同時に現れた場合、早期に医師の診断と治療を受けることが重要です。

中咽頭がんは早期発見が難しいことがあり、進行すると治療が難しくなることがあるため、注意が必要です。

医師の指示に従い、定期的な健康チェックを受けることが予防と早期発見につながります。

中咽頭がん 原因
中咽頭がんの原因には、以下のようなものがあります。

1.飲酒・喫煙
お酒やたばこには発がん性があり、中咽頭は飲食物や空気の通り道であるため、飲酒や喫煙による慢性的な刺激ががんの発生に関与しています。

特に、お酒を飲んで顔が赤くなる人は、アルコールの分解がうまくいかず、発がん性のアセトアルデヒドが体内に蓄積しやすいため、発がんリスクが高まります。

2.ヒトパピローマウイルス(HPV)感染
HPVは、皮膚や粘膜の細胞を介してヒトからヒトへ接触感染するウイルスで、咽頭への感染は主に口腔性交(オーラルセックス)によるものです。

感染しても大抵は症状が出ないまま排除されますが、感染した状態が続くとがんを抑制する遺伝子のはたらきが失われ、これによってがんが発生すると考えられています。

HPVは100を超える種類が存在し、一部の高リスク型(特に16型と18型)が中咽頭がんの発生に関与しているとされています。

3.遺伝的因子
中咽頭がんの発生に遺伝的因子が関与するかどうかは、まだ明らかになっていません。

しかし、一部の研究では、中咽頭がんの患者において、がん遺伝子やがん抑制遺伝子に変異が見られることが報告されています。

例えば、TP53遺伝子やEGFR遺伝子に変異があると、中咽頭がんの発生や進行に影響する可能性があります。

また、HPV関連中咽頭がんでは、p16遺伝子の発現が増加することが知られています。

これらの遺伝子変異は、中咽頭がんの診断や治療に有用な情報を提供するかもしれません。

しかし、これらの遺伝子変異が中咽頭がんの原因となるのか、それとも中咽頭がんの結果として生じるのかは、まだ分かっていません。

したがって、中咽頭がんの発生に遺伝的因子がどの程度関与するかは、今後の研究が必要です。

中咽頭がんの予防策としては、飲酒や喫煙を控えることが有効です。

また、早期発見のためには定期的に人間ドックを受けたり、気になる症状があれば耳鼻咽喉科を受診したりすることが大切です。

中咽頭がん 治療
中咽頭がんの治療には、手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法、緩和ケアがあります。

治療は、がんの進行の程度や組織型、本人の希望や体の状態などによって決められます。

各治療法の概要と特徴を説明します。

1.手術(外科治療)
がんとリンパ節を切除する方法です。

がんの広がりに応じて、舌や喉頭、下咽頭なども同時に切除することがあります。

切除した部位の機能を残すために、体の別の組織を移植する再建手術を行うこともあります。

手術のメリットは、がんを直接取り除くことができることです。

デメリットは、手術後の合併症や後遺症が起こる可能性があることです。

例えば、口の開閉がしにくくなったり、飲み込むことや発声の機能が損なわれたりすることがあります。

2.放射線治療
放射線をあててがん細胞を破壊する方法です。

通常は、体の表面から放射線をあてる外部照射を30~35回(1日1回、週5日の治療を6~7週間)受けます。

放射線治療のメリットは、手術をせずにがんを消滅させたり小さくしたりできることです。

デメリットは、放射線による副作用が起こる可能性があることです。

例えば、口内炎や咽頭痛、皮膚炎、味覚障害などがあります。

陽子線治療
陽子線治療とは、放射線治療法の一種で、水素の原子核である陽子を加速してエネルギーを高めてできる陽子線をがんの病巣に照射する治療法です。

陽子線は、設定した深さに到達したときに最大のエネルギーを放出して停止するという特性を持っているため、がん細胞に高い線量を与えながら、周囲の正常な組織や臓器への影響を最小限に抑えることができます。

陽子線治療は、効果が高く、体への負担や副作用が軽い、QOLを保つことができる治療法として注目されています。

QOLとは、Quality of Life(クオリティ・オブ・ライフ)の略で、生活の質や人生の質を表す言葉です。

QOLは、もともと医療や介護の分野で、病気や障害によって制約を受ける人が、いかに満足して生活を送れるかを問う概念として使われてきました。

QOLは、病気や障害の治療だけでなく、その人らしい生活の実現や生命の尊厳を重視する考え方です。

QOLは、医療や介護の効果や効率を評価する指標としても用いられています。

3.薬物療法
抗がん剤や分子標的薬などの薬を使ってがん細胞を殺したり増殖を抑えたりする方法です。

薬物療法は、放射線治療と併用して行う化学放射線療法として用いられることが多く、放射線治療の効果を高めたり、治療後の再発リスクを下げたりすることが期待されます。

薬物療法のメリットは、全身に広がったがん細胞にも作用することです。

デメリットは、薬による副作用が起こる可能性があることです。

例えば、吐き気や嘔吐、白血球の減少、脱毛などがあります。

4.緩和ケア
がんの治療による副作用や症状を和らげたり、心理的な苦痛を軽減したりするためのケアです。

緩和ケアは、がんの治療と並行して行われることが多く、痛みや吐き気などの薬物療法や、栄養やリハビリテーションなどの支持療法があります。

緩和ケアのメリットは、生活の質を向上させたり、がんの治療の効果を高めたりすることです。

デメリットは、特にありませんが、緩和ケアの専門家や施設が十分に整備されていない場合があることです。

中咽頭がんの治療については、担当医とよく話し合って決めてください。

治療の効果や副作用、合併症や後遺症などについても、詳しく説明を受けてください。

治療の選択や経過に不安や疑問がある場合は、セカンドオピニオンやがん相談支援センターなどの利用も検討してください。

中咽頭がん 生存率
中咽頭がんの生存率は、がんの進行度や治療法、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染の有無などによって異なります。

一般的には、がんの進行度が低いほど、生存率は高くなります。

また、HPV関連の中咽頭がんは、非HPV関連の中咽頭がんよりも生存率が高いとされています。

生存率を示す指標の一つに、5年生存率があります。

これは、がんと診断された人が5年後に生存している割合を示したもので、治療の効果を確認するためなどに使われます。

中咽頭がんの5年生存率は、以下のようなデータがあります。

・国内で1年間に中咽頭がんと診断される人の数は約1,800人で、男性が女性よりも発症頻度が高い傾向にあります。

・国内で2007~2009年に診断を受けた患者のデータでは、中咽頭がんの5年生存率は男性で69.0%、女性で74.6%、全体で70.1%でした。

・進行度別では、限局(病変が発生部位に限られている状態)では86.6%、領域(所属リンパ節まで)では53.5%、遠隔(他の臓器に転移がある場合)13.9%と報告されています。

・HPV関連の中咽頭がんでは、5年生存率はp16陽性群で77%、陰性または不明群は51%となっています。

中咽頭がんの生存率は、これらのデータを参考にすることができますが、個人の状態や治療の経過によっても異なります。

したがって、自分の予後については、担当医とよく話し合って確認することが大切です。