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先天性食道閉鎖症 症状

先天性食道閉鎖症とは、生まれつき食道と胃がつながっていない病気です。

食道が途切れているか、気管とつながっているか、胃の位置が異常な場合があります。

この病気は、妊娠中の超音波検査や出生後のエックス線検査で診断されます。

先天性食道閉鎖症の症状は、以下のようなものがあります。

・出生前に羊水が多い(羊水過多)ことがあります。

これは胎児が羊水を飲み込めないためです。

・出生後は、口から唾液が溢れてくることが多い。

これは食道が途切れているためです。

・哺乳をすると嘔吐(泡沫状)やチアノーゼ(青白い顔色)を起こすことがあります。

これは気管食道瘻がある場合に、母乳やミルクが気管に入ってしまうためです。

・咳や痰や呼吸回数の増加などの呼吸器症状を示すことがあります。

これは気管食道瘻や誤嚥による肺炎のためと考えられています。

・胃液が逆流して食道や気管に刺激を与えることがあります。

これは胃食道逆流症のためです。

先天性食道閉鎖症は、重篤な病気であり、早期に診断されることが重要です。

先天性食道閉鎖症 原因
先天性食道閉鎖症の原因はまだ完全には解明されていませんが、複数の要因が組み合わさって発生すると考えられています。

以下は、可能性のある原因や関連する要因についての情報です。

1.胎児の発育異常
胎児の食道が正常に形成されないことが原因の一つとされています。

これにより、食道が通常の大きさや形状でなくなり、閉鎖症が生じる可能性があります。

2.遺伝的要因
先天的な疾患は時折、家族に遺伝することがあります。

遺伝子の変異や遺伝的な傾向が、先天性食道閉鎖症の発生に寄与する可能性があります。

3.環境因子
妊娠中に特定の環境因子が影響を与えることがあります。

母体が特定の薬物や物質に曝露された場合、これが胎児の発育に悪影響を与え、先天性異常が生じる可能性があります。

4.多嚢胞性腎症との関連
先天性食道閉鎖症は時折、多嚢胞性腎症と結びついて発生することがあります。

これは、腎臓に液体で満たされた嚢胞が形成される疾患で、この症状と一緒に存在することが報告されています。

5.染色体異常
染色体の異常が先天性食道閉鎖症の原因となることがあります。

例えば、トリソミーなどの染色体異常が関与していることが報告されています。

これらの要因が組み合わさって、胎児の食道が正常に発育しない場合、先天性食道閉鎖症が生じる可能性があります。

ただし、具体的な原因は個々のケースによって異なるため、詳細な診断と治療は医師の専門的な判断が必要です。

先天性食道閉鎖症 治療
先天性食道閉鎖症の治療は、基本的には手術です。手術の方法やタイミングは、食道の状態や合併症の有無によって異なりますが、一般的には以下のような手順で行われます。

1.まず、気管食道瘻(食道と気管がつながっている場合)を切除して閉じます。

これにより、食物や唾液が気管に入って肺炎を起こすのを防ぎます。

2.次に、上下の食道をつなげます。

食道の長さが足りない場合は、食道を伸ばす手術を行います。

食道をつなげることで、食物が胃に達するようになります。

3.最後に、胃瘻(お腹から胃にチューブを入れること)を閉じます。

胃瘻は、手術前に栄養を与えるために作られることがあります。

手術は、胸を切開して行うことが多いですが、最近では胸腔鏡(小さなカメラと器具を胸に挿入する方法)や腋下切開法(脇の下から手術する方法)を用いて行うこともあります。

これらの方法は、傷跡が小さくなったり、腕の動きが良くなったりするという利点があります。

手術後は、食道のつながりや気管食道瘻の再発などの合併症に注意が必要です。

また、胃食道逆流症(胃の内容物が食道に逆流する病気)や食道狭窄(食道が狭くなること)などの後遺症にも対処する必要があります。

詳しくは、医師にご相談ください。

先天性食道閉鎖症 合併症
先天性食道閉鎖症の合併症は、以下のようなものがあります。

・術後早期には、吻合部(食道をつないだ部分)の縫合不全や狭窄、気管食道瘻(食道と気管が再びつながること)などが起こることがあります。

これらは再手術や内視鏡的治療が必要になることがあります。

・術後遅期には、気管軟化症(気管が柔らかくなって呼吸困難になること)、胃食道逆流症(胃の内容物が食道に逆流すること)、摂食障害(食べることに抵抗感や嫌悪感があること)などが起こることがあります。

これらは薬物療法やリハビリテーション、場合によっては再手術が必要になることがあります。

・他の先天異常との合併も多く、心臓病や腎臓病、骨格異常、染色体異常などが見られることがあります。

これらはそれぞれの専門医による診断や治療が必要になることがあります。

先天性食道閉鎖症は、重篤な病気であり、長期的なフォローアップが必要です。詳しくは、医師にご相談ください。

先天性食道閉鎖症 予防
先天性食道閉鎖症の予防については、残念ながら確実な方法はありません。

この病気は、胎児期に気管と食道の分離過程で何らかの異常が起きることで発症すると考えられていますが、その原因ははっきりしていません。

遺伝的な要因や母体の感染症、薬剤の影響などが関係する可能性がありますが、それらを避けることで予防できるという証拠はありません。

ただし、先天性食道閉鎖症は、他の先天異常と合併することが多いため、妊娠中の定期的な健診や超音波検査を受けることが重要です。

出生前に診断されることで、新生児外科治療の可能な施設での分娩や緊急搬送の準備をすることができます。

また、出生後に症状が現れた場合は、早期に医師に相談してください。

先天性食道閉鎖症は、重篤な病気であり、早期に診断されることが治療の成功につながります。