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全身性エリテマトーデス 初期症状

全身性エリテマトーデス(SLE)は、自己免疫疾患の一つで、様々な症状が現れる可能性があります。

初期症状は非常にさまざまですが、主なものは以下のとおりです。

1.倦怠感、易疲労感
SLEの最も一般的な初期症状の1つで、活動量の低下や持続的な疲労を感じます。

また、体をあまり使っていないのに疲れを感じる。

2.発熱
38度前後の発熱が数日から数週間持続することがあります。

3.関節痛・関節炎
手関節、手指、膝関節などに痛みや腫れが出ることがあります。

4.皮疹
赤みを帯びた発疹が、顔、手の甲、前腕など日光露出部位に現れやすいのが特徴です。

5.脱毛
びまん性の抜け毛が起こることがあります。

6.せん妄、意識障害
高次脳機能障害の症状である場合があります。

せん妄は、注意や理解、記憶などの機能が急性に低下し、変動することを特徴とする状態です。

高次脳機能障害は、脳の特定の部位が損傷を受けた結果、認知機能や行動、感情の調整がうまくいかなくなる障害です。

主に以下のような症状が見られます。

・記憶障害:新しい情報を覚えられない、過去の出来事を思い出せない。

・注意障害:集中力が続かない、一つのことに注意を向け続けるのが難しい。

・言語障害:話す、理解する、読む、書く能力の低下。

・実行機能障害:計画を立てたり、問題を解決する能力が低下する。

・感情、行動のコントロールの障害:感情の起伏が激しくなる、衝動的な行動が増える。

7.胸痛、呼吸困難
心膜炎や肺病変による症状の場合があります。

その他、口内炎、下痢、蛋白尿なども初期にみられる症状です。

非常に多彩な症状を呈するのが特徴で、発症初期は診断が難しい疾患です。

症状が続く場合は、早期に医師の診察を受けることが重要です。

全身性エリテマトーデス 原因
全身性エリテマトーデス(SLE)の原因については、完全には解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。

1.遺伝的要因
SLEの発症には遺伝的素因が関与していると考えられています。

特定の遺伝子変異がSLEのリスクを高めることが分かっています。

分子生物学的研究から、以下の遺伝子変異がSLE発症リスクを高めることが分かっています。

・HLA(ヒト白血球抗原)遺伝子
HLAはヒト主要組織適合遺伝子複合体をコードしており、HLA領域の特定の遺伝子変異がSLE感受性を高めます。

特にHLA-DR2、HLA-DR3などの遺伝子型が関連があると報告されています。

・IRF5(インターフェロン制御因子5)遺伝子
IRF5は interferonなどの炎症性サイトカインの産生を制御する転写因子をコードしています。

IRF5の特定の一塩基多型がSLE感受性を高めます。

・STAT4(シグナル伝達物質とトランスデューサー4)遺伝子
STAT4は細胞内シグナル伝達経路で重要な役割を果たす転写因子をコードしています。

STAT4の特定の変異がSLE発症リスクを高めます。

・BLK(B細胞特異的タンパク質キナーゼ)遺伝子
BLKはB細胞の発達や活性化に関与するキナーゼをコードしています。

BLK遺伝子の特定の一塩基多型がSLEリスクを高めることが分かっています。

※このように、免疫系に関わる様々な遺伝子の変異がSLE発症の感受性を高める要因となっていることが明らかになってきました。

ただし、これらの遺伝的要因だけでなく、環境要因との相互作用が大きな役割を果たすと考えられています。

しかし、遺伝要因のみでは発症には至らず、環境要因も関与します。

2.環境要因
紫外線への曝露、喫煙、ウイルス感染、薬剤など、様々な環境要因がSLEの発症に影響を与えると考えられています。

3.ホルモン
女性ホルモンであるエストロゲンが、免疫系に影響を与え、SLEの発症リスクを高める可能性があると指摘されています。

このため、女性の方がSLEになりやすい傾向にあります。

4.免疫系の異常
SLEは自己免疫疾患です。

何らかの理由で自己抗体が産生され、自己の細胞や組織を攻撃するようになることが発症の引き金となります。

免疫系の制御の異常が関与していると考えられています。

5.アポトーシスの異常
アポトーシス(細胞の自然死)が適切に機能しない場合、細胞の死骸が残り、それに対する自己抗体ができてしまうことがSLE発症に関与すると指摘されています。

こうした複数の要因が重なり合うことで、SLEが発症すると考えられていますが、詳細なメカニズムは不明な点が多く残されています。

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全身性エリテマトーデス 最新治療

全身性エリテマトーデス(SLE)は、自己免疫の異常により全身にさまざまな症状を引き起こす病気で、その治療には免疫をコントロールする治療が行われます。

主な治療法としては以下のようなものがあります。

1.ステロイド
炎症を抑える作用があり、全身性エリテマトーデスの治療によく使用されます。

ただし、副作用に注意が必要で、感染症にかかりやすくなる、血糖が上昇する、血圧が上昇する、体重が増加するなどの副作用があります。

2.免疫抑制剤
免疫反応を抑えることで病状をコントロールします。

シクロホスファミドやミコフェノール酸モフェチルなどが使用されます。

3.生物学的製剤
免疫系に作用することで病状を改善します。

ベリムマブ(ベンリスタ)が代表的で、B細胞の活性化・増殖、自己抗体を産生する形質細胞への分化が促進されるBLySという蛋白質に結合し、自己抗体の産生を抑えます。

また、新薬としてアニフロルマブ(サフネロー)が登場しました。

4.免疫グロブリン大量静注療法、血漿交換療法
これらの治療も全身性エリテマトーデスの治療に使用されることがあります。

これらの治療法は、病状や患者さんの体調により、適切に選択・組み合わせて使用されます。

また、新たな薬剤の開発も進んでおり、全身性エリテマトーデスの治療は日々進化しています。

ただし、全身性エリテマトーデスは現在の医療でも完治することが難しい病気であるため、治療は主に症状の管理と病状の進行を遅らせることを目指します。

以上の情報は一般的なものであり、個々の患者さんの状況により治療法は異なります。

具体的な治療法については、主治医との相談をおすすめします。

また、副作用が心配な場合や体調に変化があった場合は、自己判断せずに医師や薬剤師に連絡・相談することが重要です。

全身性エリテマトーデスの治療は、患者さん一人一人の状況に合わせて最適な治療法が選ばれます。

新たな治療法の開発により、全身性エリテマトーデスの治療は日々進化しています。

全身性エリテマトーデス 寿命
全身性エリテマトーデス(SLE)は、適切な治療を継続することで、寿命の延長が期待できる疾患となりました。

しかし、未だ完治することは難しく、症状のコントロールが重要です。

SLEの寿命については、以下のような点が指摘されています。

・1950年代までは5年生存率が50%程度と予後は非常に悪かったが、ステロイド薬やその他の免疫抑制剤の登場により著しく改善しました。

・現在では、5年生存率は90%以上、10年生存率も85~95%程度と報告されています。

・しかし、健康人と比べると平均余命は依然として短く、10~30年程度寿命が短いとされています。

・重症化すると、腎臓、中枢神経、心肺機能が侵され、致死的になる可能性があります。

・若年発症や、合併症がある場合は予後が悪くなる傾向にあります。

・最近の研究では、発症5年以内に死亡するハイリスク群と、10年以上生存できるローリスク群に分かれることが分かってきました。

適切な治療管理を続けることで、病状をコントロールし、重症化を防ぐことができれば、SLE患者の生存率と予後は着実に改善してきています。

しかし、病状次第では健常者より短命になる可能性もあり、定期的な医療機関での経過観察が重要です。

全身性エリテマトーデス 予防
全身性エリテマトーデス(SLE)は自己免疫疾患で、現時点では根本的な予防方法は確立されていません。

しかし、発症リスクを低減したり、再燃を防ぐ上で以下の点に気をつけることが重要とされています。

1.紫外線対策
紫外線はSLEの症状を悪化させる可能性があるため、日焼け止めの使用、帽子や長袖の着用など紫外線対策を徹底する。

2.ストレス管理
ストレスは免疫異常を引き起こす可能性があるため、ストレス管理に努める。適度な運動や休息、メディテーションなども有効。

3.禁煙
喫煙はSLE発症リスクを高める可能性があるため、禁煙する。

4.適度な運動
過度の運動は逆効果だが、適度な有酸素運動は免疫機能を正常化する可能性がある。

5.感染症予防
ウイルス感染などが引き金となり発症する可能性があるため、手洗い、予防接種などの対策を行う。

6.健康的な食事
バランスの良い食事を心がけ、抗酸化物質を多く含む食品を積極的に摂取する。

7.適切な治療
発症後は主治医の指示に従い、薬物治療や生活習慣の改善を行う。

SLEの発症には複雑な要因が関与しているため、予防が難しい病気です。

しかし、上記のような生活習慣の改善で、リスクを低減できる可能性があります。