前立腺がんのステージは、がんがどの程度進行しているかを表す指標です。
前立腺がんのステージは通常、以下のように分類されます。
1.ステージI
がんが前立腺内に限局しており、小さく、他の組織や臓器への拡がりが見られない段階です。
2.ステージII
がんは前立腺内に限局していますが、ステージIよりも大きくなっています。
3.ステージIII
がんは前立腺から周囲の組織に広がっていますが、近くのリンパ節にしか広がっていない段階です。
4.ステージIV
がんは前立腺から遠く離れた部位に広がっています。
一般的に、ステージIVは他の臓器や骨に転移している場合を指します。
このステージでは、治療がより難しくなります。
※前立腺がんのステージは、がんの進行度合いだけでなく、治療法や予後にも影響を与えます。
治療法は、ステージに応じて手術、放射線療法、ホルモン療法、化学療法などが検討されます。
医師はステージを評価し、最適な治療計画を立てるのに役立ちます。
前立腺がん 生存率
前立腺がんの生存率は、様々な要因によって異なります。
これらの要因には、がんのステージ、患者の年齢、がんの細胞の特性、および治療法の選択などが含まれます。
一般的に言えば、前立腺がんの生存率は比較的高いとされています。
多くの場合、前立腺がんは早期に発見され、適切な治療を受けることで管理できます。
1.ステージ別5年生存率
ステージ I から IIIの患者さんでは、5年生存率は 90%です。
ステージ IVの患者さんでは、5年生存率は 65.9%です。
2.ステージ IVの平均余命:
ステージ IVは、前立腺がんが別の臓器(隣接した膀胱、直腸など)に転移した状態を指します。
生存期間の中央値は約 50ヶ月 です。
つまり、ステージ IVの患者さんが100人いた場合、そのうちの半数は50ヶ月までに亡くなる可能性があります。
3.転移部位による平均余命の違い
ステージ IVの前立腺がんの方の平均余命は、転移した部位によって異なります。
リンパ節転移のみで他の臓器への転移がない場合、生存期間の中央値は最も長く約32ヶ月 です。
最も短い結果は肝転移で約14ヶ月、骨転移と肺転移はそれぞれ約21ヶ月と19ヶ月 です。
※前立腺がんの治療成績は進歩しており、早期発見と適切な治療が重要です。
ご自身の状態に合った治療プランを専門医と相談されることをおすすめします。
前立腺がん ステージⅣの治療
前立腺がんのステージIVは、がんが前立腺から他の部位や臓器に広がっている段階です。
この段階では、一般的には転移性前立腺がんと呼ばれます。
トリプレット療法は、ステージⅣの前立腺がんに対して推奨される治療法の一つです。
以下に詳細を説明します。
1.トリプレット療法の構成
トリプレット療法は、3つの薬剤を併用する治療です。
以下の3つの薬剤を組み合わせて使用します。
・ゴナックス (Degarelix): ホルモン剤で、前立腺がんの成長を抑制します。
・ニュクベオ (Enzalutamide): ホルモン剤で、前立腺がんの成長を阻害します。
・ドセタキセル (Docetaxel): 抗がん剤で、がん細胞を攻撃します。
この3剤併用療法は、ステージⅣの前立腺がんに対して保険適用されています。
2.生存期間の延長
トリプレット療法は、骨転移があるステージⅣの前立腺がん患者さんに対して、10年以上の生存期間を実現することがあります。
この治療法は、前立腺がんの進行を遅らせ、生活の質を改善することを目指しています。
3.主な副作用
抗がん剤ドセタキセルによる副作用が考えられます。
他の2剤はホルモン剤なので、それほど大きな副作用は少ないでしょう。
抗がん剤の副作用で最も心配されるのは、白血球が少なくなったときに感染症を起こすことです。
年齢が50代と若い場合、感染症が起きても回復しやすいでしょう。
高齢の患者さんだと体が弱ることを心配されることもありますが、抗がん剤は6コース(3週間間隔)で終わり、その後は新規ホルモン剤などの2剤を続けるため、髪も再び生えてくることが期待されます。
※個々の患者の状況や健康状態に応じて、医師が最適な治療計画を決定します。
患者と医師の協力のもと、最良の治療法が選択されることが重要です。