前立腺がんの症状は初期段階ではほとんど現れないことがあり、進行すると特定の症状が現れることがあります。
以下に、前立腺がんの一般的な症状をいくつか挙げてみます。
1.尿の問題
排尿の困難や遅延
頻尿や尿意の強さ
夜間の頻尿
2.排尿時の痛みや不快感
尿道や膀胱の痛みや刺激感
3.尿の変化
血尿や血精液の混じった尿
尿の色やにおいの変化
4.勃起障害や射精の困難
勃起に関する問題や痛み
射精時の痛みや不快感
5.腰や骨盤の痛み
腰や骨盤の痛みや圧迫感
6.体重減少や倦怠感
進行した場合、体重減少や全身の倦怠感が現れることがあります。
※これらの症状が現れても、必ずしも前立腺がんであるとは限りません。
他の膀胱や尿路の問題、前立腺の良性腫瘍（前立腺肥大症）なども同様の症状を引き起こす可能性があります。
しかし、これらの症状が現れた場合、早期に医師に相談し、適切な検査を受けることが重要です。
前立腺がんは初期段階では症状がほとんどないことがあるため、特に40歳以上の男性は定期的な健康診断を受け、前立腺がんの早期発見に努めることが推奨されています。
前立腺がん 原因
前立腺がんの具体的な原因は明確にはわかっていませんが、いくつかのリスク要因が関連しています。以下は、前立腺がんの可能性の高まる要因です：
1.年齢
前立腺がんのリスクは年齢とともに増加します。
特に50歳以上の男性で増加傾向が見られます。
2.家族歴
家族に前立腺がんの患者がいる場合、そのリスクは一般的に高まります。
特に父親や兄弟が前立腺がんである場合、リスクが増加することが知られています。
3.遺伝子
特定の遺伝子変異が前立腺がんの発症リスクを増加させる可能性があります。
BRCA1およびBRCA2遺伝子の変異は、前立腺がんのリスクを増加させる可能性があります。
4.人種と民族
アフリカ系アメリカ人の男性は、白人やアジア系の男性よりも前立腺がんの発生率が高いとされています。
また、カリブ海出身のアフリカ系男性も高いリスクが報告されています。
5.食事の影響
高脂肪な食事や、特に飽和脂肪酸が多い食事が前立腺がんのリスクを増加させる可能性があります。
一方で、果物、野菜、トマト製品などの食物繊維や抗酸化物質を含む食事は、リスクを低減すると考えられています。
6.ホルモンの影響
男性ホルモンでテストステロンと前立腺がんの関係については、これまでの研究では明確な結論が出ていません。
テストステロンは前立腺の発育に必要なホルモンですが、前立腺がんの危険因子となるかどうかは人種や体格、食生活などによっても異なる可能性があります。
日本人においては、テストステロンやその結合タンパク質であるSHBG（性ホルモン結合グロブリン）の血中濃度と前立腺がんのリスクとの間には関連が見られないという研究結果があります1。
しかし、テストステロンの代謝物や代謝酵素については、まだ十分に解明されていないため、今後もさらなる研究が必要です。
また、テストステロンの高い人は、前立腺がんの細胞に傷がついても、その修復機能がうまく働くという説もあります。
テストステロンと前立腺がんの関係は、複雑で一概にはいえないようです。
※これらの要因は単独で前立腺がんを引き起こすものではなく、複数の要因が組み合わさることが影響を与えると考えられています。
ただし、前立腺がんの正確な原因についてはまだ多くの研究が進行中であり、疾患の理解が進むにつれて新しい知見が得られる可能性があります。
前立腺がん 治療
前立腺がんの治療は、患者の状態やがんの進行度によって異なります。一般的な治療法には以下のようなものがあります：
1.観察（経過観察）
初期段階で進行が緩慢である場合や高齢の患者では、医師はがんが進行するまで治療を行わず、患者の状態を定期的にモニタリングすることを選択することがあります。
これは「アクティブ・モニタリング」とも呼ばれます。
2.手術:
前立腺摘出術（プロスタテクトミー）は、前立腺がんの治療に一般的に使用される手術の一つです。
この手術では前立腺を取り除くことでがんの制御を試みます。
3.放射線療法
外部からの放射線療法や、前立腺内に挿入された種々の放射線源による内部照射（ブラキセラピー）が行われることがあります。
これはがん細胞を破壊するために放射線を使用する治療法です。
4.ホルモン療法
ホルモン療法では、男性ホルモンであるテストステロンの生産を抑制し、がん細胞の成長を抑えることを目指します。
これは主に進行がんや手術や放射線療法の後にがんが戻る可能性がある場合に選択されます。
5.化学療法
化学療法は、がん細胞を殺すために薬物を使用する治療法です。
前立腺がんに対する化学療法は通常、進行がんに対して行われます。
6.標的治療
特定の分子や細胞に対して直接的に作用する標的治療薬も、一部の前立腺がんの治療に使用されています。
※治療の選択は患者の健康状態、がんの進行度、および患者の個々の状況に基づいて決定されます。
治療計画は通常、専門のがん治療チームによって検討され、患者との共有意思決定のプロセスが重要です。
患者は医師と十分なコミュニケーションを取り、治療に関する質問や懸念を共有することが重要です。
前立腺がん 予防
前立腺がんの予防には、いくつかの健康的な生活習慣や注意すべき要因がありますが、特定の予防法は確定していません。
以下は、前立腺がんの予防に関連するいくつかのアプローチです。
1.健康な生活習慣
バランスの取れた食事、適切な運動、喫煙の避け、適度なアルコール摂取など、一般的な健康的な生活習慣は全体的ながんのリスクを低減することにつながります。
2.食事の注意
フルーツ、野菜、全粒穀物、低脂肪の乳製品、魚などを含むバラエティ豊かな食品を摂取することが、前立腺がんの予防に寄与すると考えられています。
また、抗酸化物質やビタミンDなどが含まれる食品（ブルーベリーやイチゴ、サバやサーモン等）も重要です。
3.脂肪の摂取を制限
高脂肪な食事、特に飽和脂肪酸の多い食事は前立腺がんのリスクを増加させる可能性があるとされています。
脂肪の摂取を制限し、健康な脂肪源を選択することが重要です。
4.適切な体重維持
過体重や肥満は前立腺がんのリスクを増加させる可能性があります。適切な体重を維持することが重要です。
5.定期的な運動
定期的な運動はがんの予防に寄与するとされています。
有酸素運動や筋力トレーニングを含むバランスの取れた運動がおすすめです。
6.定期的な健康診断
定期的な健康診断や検診が前立腺がんの早期発見に役立ちます。
特に50歳以上の男性は、専門医による前立腺特異抗原（PSA）検査やデジタル直腸検査などを検討することが推奨されています。
※これらのアプローチは予防の手段として提案されていますが、特に遺伝的な要因や他のリスク要因が影響する場合、がんの発症を完全に予防することは難しい場合があります。
個々の健康状態に合わせて、医師の助言を受けながら適切な予防策を検討することが重要です。
