前立腺肥大症は、男性の前立腺が年齢とともに拡大し、尿路に圧迫をかける状態です。
初期の症状は以下のようなものがあります：
1.頻尿（夜間頻尿）
尿意を感じる回数が増え、特に夜間にトイレに行く回数が増えることがあります。
これは前立腺の拡大が膀胱を圧迫し、膀胱の容量が減少するためです。
2.残尿感
尿をする後に完全に排尿感が得られない感覚です。
前立腺の圧迫により、尿が完全に排出されていないために生じます。
3.排尿困難
尿の流れが弱くなり、尿をするのに力が必要になることがあります。
また、尿の流れが途中で止まることもあります。
4.尿漏れ
尿を我慢することが難しくなるため、尿が漏れることがあります。
特にくしゃみや咳をするときなどに起こりやすいです。
5.尿路感染症
尿が膀胱内に滞留しやすくなるため、尿路感染症の発症リスクが高まります。
※これらの症状が現れた場合は、早めに医師に相談することが重要です。
前立腺肥大症は進行すると尿路閉塞や膀胱機能障害を引き起こす可能性がありますので、適切な治療が必要です。
前立腺肥大症 原因
前立腺肥大症の原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。
主な原因や関連する要因は以下の通りです。
1.加齢
前立腺肥大症は加齢とともによく見られます。
男性が年を取るにつれて、前立腺が徐々に拡大し始め、その結果、尿路に圧迫をかけることがあります。
2.ホルモンの変化
前立腺の成長と関連するホルモン、特にテストステロンやエストロゲンなどの性ホルモンのバランスの変化が前立腺肥大症の原因とされています。
テストステロンの代謝物であるジヒドロテストステロンが前立腺の細胞の増殖を促進するため、その関与が考えられています。
3.遺伝的要因
前立腺肥大症は家族性の傾向があるとされており、遺伝的な要因が関与している可能性があります。
4.生活習慣や環境要因
肥大した前立腺は、肥満や運動不足などの生活習慣の影響を受けやすいとされています。
また、喫煙や飲酒などの習慣も前立腺肥大症の発症リスクを高める可能性があります。
5.炎症や感染
前立腺に炎症や感染が生じると、その炎症反応が前立腺の組織を刺激し、肥大を引き起こす可能性があります。
※前立腺肥大症の原因は複雑であり、個々の症例に異なる要因が関与することがあります。
前立腺肥大症 治療
前立腺肥大症の治療は、症状の重症度や患者の状態に応じて異なります。
一般的な治療オプションには以下のようなものがあります。
1.観察と経過観察
症状が軽度である場合や、患者がそれに耐えられる場合、医師はまず経過を観察することを選択することがあります。
定期的な検査や症状のモニタリングが行われます。
2.薬物療法
前立腺肥大症の症状を緩和するために、以下のような薬物が処方されることがあります。
・5α-リダクターゼ阻害剤: 前立腺のサイズを減少させ、尿路症状を緩和する効果があります。
・α1-アドレナリン受容体遮断薬: 尿路の平滑筋を弛緩させ、尿の流れを改善します。
・ホルモン補充療法: テストステロンなどのホルモンのバランスを調整するために使用されることがあります。
3.手術
重度の症状や合併症がある場合、手術が必要となることがあります。
手術の種類には以下のものがあります。
・前立腺摘除術（TURP、TUIPなど）: 前立腺の一部またはすべてを摘出する手術です。
・前立腺レーザー手術: レーザーを使用して前立腺の一部を切除する手術です。
・前立腺ステント挿入術: 前立腺内の尿道を開くためにステントを挿入する手術です。
4.その他の治療法上記の方法に加えて、前立腺肥大症の治療には他にもいくつかの選択肢があります。
例えば、前立腺動脈塞栓術（PAE）や高周波焼灼術（TUMT）などの新しい治療法もあります。
これらの治療法は、外科手術に比べて侵襲性が低く、入院期間や回復期間が短いという利点があります。
◎前立腺動脈塞栓術（PAE）
・PAEは前立腺肥大症に対する血管内治療の一種です。
この手術では、前立腺を血液供給している動脈にカテーテルを挿入し、その動脈を塞栓して前立腺の血流を減少させます。
これにより、前立腺のサイズが減少し、尿路症状が改善されることが期待されます。
・PAEは一般的に局所麻酔下で行われ、入院期間は通常1日から2日程度です。
一般的には、手術後すぐに活動を再開できることが特徴です。
◎高周波焼灼術（TUMT）
・TUMTは前立腺の一部を焼灼して前立腺の圧迫を減少させる治療法です。
この手術では、尿道内に導入されたカテーテルによって高周波電気エネルギーが前立腺組織に送られ、前立腺の一部が焼灼されます。
・TUMTは一般的に局所麻酔または軽度の全身麻酔下で行われます。
手術後は通常、1日から数日間の安静が必要ですが、一般的には比較的短い回復期間で済みます。
これらの治療法は外科手術に比べて合併症のリスクが低い傾向がありますが、効果や適応には個人差があります。
したがって、治療法の選択は患者の症状や健康状態によって異なり、医師との相談が重要です。
※治療方法は患者の症状や体質に応じてカスタマイズされるべきであり、医師との相談を通じて最適な治療プランが決定されます。
前立腺肥大症 合併症
前立腺肥大症は、その症状が進行するとさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。
主な合併症には以下のようなものがあります。
1.尿路感染症
前立腺肥大症により尿の排出が困難になると、尿が膀胱内に滞留する可能性が高まります。
このため、細菌が繁殖しやすくなり、尿路感染症が発生するリスクが増大します。
2.尿路結石
前立腺肥大症により尿路が圧迫されると、尿の流れが滞りやすくなります。
このため、尿中の塩分やミネラルが沈殿して尿路結石を形成する可能性が高まります。
3.急性腎不全
尿の流れが阻害されると、腎臓に圧力がかかり、腎機能が低下する可能性があります。
重度の前立腺肥大症によって急性腎不全が引き起こされることがあります。
4.膀胱疾患
前立腺肥大症による尿の滞留は、膀胱の機能に影響を与える可能性があります。
膀胱の壁が変性し、膀胱炎や膀胱機能障害などの疾患が発生するリスクが高まります。
5.尿失禁
尿の流れが弱くなるため、くしゃみや咳、笑いなどの軽い刺激によって尿が漏れる尿失禁が発生する可能性があります。
※これらの合併症は前立腺肥大症の進行や治療の遅れによって悪化する可能性があります。
したがって、早期に症状を診断し、適切な治療を行うことが重要です。
医師の指示に従い、定期的な検査やフォローアップを受けることが、合併症の予防や管理に役立ちます。
