劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、通常は溶血性レンサ球菌によって引き起こされる重篤な感染症です。
以下に、劇症型溶血性レンサ球菌感染症の症状について詳しく説明します。
1.高熱
通常、急速かつ高度の発熱が特徴です。体温が急激に上昇し、40度以上に達することがあります。
2.皮膚症状
紅斑や細かい皮疹が現れることがあります。
皮膚が赤く腫れたり、著しく炎症したりすることがあります。
3.全身症状
体のあらゆる部位にわたって激しい痛みや不快感が生じることがあります。
関節痛や筋肉痛、全身倦怠感が現れることもあります。
4.呼吸器症状
喉の痛みや咳、呼吸困難などの呼吸器症状が現れることがあります。
呼吸が苦しくなる場合もあります。
5.循環器症状
心臓や血管に関連する症状が現れることがあります。
心拍数が増加し、血圧が低下する場合もあります。
6.神経症状
意識障害や神経学的症状が現れることがあります。
意識が混濁したり、行動が乱れたりすることがあります。
※劇症型溶血性レンサ球菌感染症は重篤な状態であり、早期の診断と適切な治療が必要です。
症状が現れた場合は、直ちに医療機関を受診することが重要です。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症 原因
劇症型溶血性レンサ球菌感染症の原因は、主に溶血性レンサ球菌という細菌によるものです。
この細菌は、通常はのどの痛みや喉の感染症などを引き起こすことがありますが、劇症型の場合は特に重篤な状態になります。
以下に、劇症型溶血性レンサ球菌感染症の原因に関する詳細を説明します。
1.感染経路
溶血性レンサ球菌は、通常は空気中の飛沫感染や接触感染によって広まります。
感染源となる患者の咳やくしゃみから放出された飛沫を吸い込むことで感染が広がることがあります。
また、感染した物品や表面を触った後に口や鼻を触ることで感染することもあります。
2.免疫不全
免疫不全の状態にある人や、免疫機能が低下している人が感染しやすいとされています。
例えば、HIV感染者やがん治療を受けている人、免疫抑制剤を服用している人などがリスクにさらされることがあります。
3.傷口や創傷
皮膚の傷口や創傷がある場合、それを介して溶血性レンサ球菌が侵入し感染を引き起こすことがあります。
特に患者が清潔な状態を保たない場合や、適切な処置を行わない場合に感染リスクが高まります。
4.健康状態
健康な人でも感染する可能性はありますが、一般的には免疫が正常に機能している場合には劇症型の感染症に至ることは比較的少ないとされています。
※劇症型溶血性レンサ球菌感染症は重篤な状態であるため、感染の予防と早期の適切な治療が重要です。
感染リスクを減らすためには、適切な手洗いや感染予防対策を行うことが重要です。
また、傷口や創傷がある場合には適切な処置を行い、清潔な状態を保つことも大切です。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症 致死率
「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」は、主に「A群溶血性レンサ球菌」によって引き起こされる感染症で、急激で劇的な病状の進行が特徴です。
初期症状は咽頭痛、発熱、吐き気、倦怠感などで、発病から数十時間以内に呼吸不全や多臓器不全を起こすことがあります。
この感染症の致死率は、報告により異なりますが、一般的には約30%とされています。
しかし、一部の報告では、致死率が30%～70%と非常に高いとされています。
また、2012～2014年の死亡例では、全体の76%が発病から3日以内に死亡し、41%が発病日当日もしくは翌日に死亡しています。
感染力の強い株が国内でも確認され、2023年には過去最多の941人の患者が報告されました。
厚生労働省は手の消毒やマスク着用など基本的な感染対策の徹底を呼びかけています。
なお、この感染症は50歳未満を中心に報告数が増加しているとのことです。
そのため、特に30歳以上の大人の方が高い致死率となっています。
感染症の予防としては、手洗い、手指消毒、マスクの着用などが有効とされています。
また、早期受診が重要で、急速に広がる皮膚の赤みや熱感・腫れ、痛みの程度が強い、意識がはっきりしないなどの症状がある場合は、速やかに医療機関へ行くことが推奨されています。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症 治療
「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の治療については、以下のような方法が一般的に推奨されています。
1.抗菌薬による治療
ペニシリン系の抗菌薬の高用量投与とクリンダマイシンの併用が推奨されています。
これらの薬は、感染している細菌を殺すか、その成長を抑制することで感染を治療します。
2.全身管理
重症化して壊死に陥った軟部組織はできるだけ広範囲に切除し、感染の拡大を防ぎます。
また、多臓器不全を防ぐための全身管理も重要です。
3.早期受診
劇症型をはじめとした重症のA群溶血性連鎖球菌感染症は、短時間で急激に悪化するため、早期の受診が必要です。
急速に広がる皮膚の赤みや熱感・腫れ、痛みの程度が強い、または意識がはっきりしない場合は、速やかに医療機関を受診してください。
※感染者数が増加したはっきりとした原因はわかりませんが、新型コロナウイルス感染症の流行期間中の2020-2022年には、劇症型溶血性連鎖球菌感染症の報告数は減少していました。
しかし、2023年の夏以降、50歳未満を中心として急増しました。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症 予防
劇症型溶血性レンサ球菌感染症を予防するためには、以下の対策が重要です。
1.手洗いと衛生
溶血性レンサ球菌感染症は、空気感染や接触感染によって広がることがあります。
定期的かつ適切な手洗いを行い、ウイルスや細菌の拡散を防ぐことが重要です。
特に公共の場や感染リスクが高い場所に出掛けた後は、手洗いを行うことが推奨されます。
2.感染源の避ける
感染が疑われる人との接触を避けることも予防策の一つです。
特に咳やくしゃみをする人からの距離を保つこと、感染が疑われる人の使用した物品を共有しないことが重要です。
3.免疫力の維持
免疫力を高めるためには、バランスの取れた食事や適切な運動、十分な睡眠を確保することが重要です。
また、喫煙や過度の飲酒を避けることも免疫力を維持するために有効です。
4.傷口や創傷の処置
皮膚の傷口や創傷がある場合は、適切な処置を行い清潔な状態を保つことが大切です。
皮膚感染を防ぐために傷口を清潔に保ち、適切な絆創膏や包帯を使用することが推奨されます。
5.予防接種
特定の予防接種が劇症型溶血性レンサ球菌感染症を予防することができます。
例えば、溶血性レンサ球菌感染症の一部を予防するワクチンが存在します。
医師と相談して適切な予防接種を受けることが重要です。
現在、日本国内で承認されているワクチンは、2種類あります。
1つは、莢膜多糖ワクチン（Mタンパク質を標的としたワクチン）であり、もう1つは、タンパク質ワクチン（SpyCEPタンパク質を標的としたワクチン）です
※以上の予防策を遵守することで、劇症型溶血性レンサ球菌感染症のリスクを低減することができます。
特に免疫力の維持や予防接種などは重要な対策となりますので、定期的な健康管理と医師との相談が大切です。
