加齢黄斑変性（かれいおうはんへんせい、Age-related Macular Degeneration、AMD）は、加齢に伴って発症しやすく、視覚に重大な影響を与える眼の疾患の一つです。
黄斑と呼ばれる網膜の一部で、視力の中心を担当する部位が劣化・変性することが特徴です。
症状は、早期段階から進行段階にかけてさまざまです。
1.視覚障害
中心視覚のぼんやり感や歪み、ぼやけ、暗く見えるなどの視覚障害が現れます。
遠くのものや近くのものを見る際に問題が生じます。
2.歪みした視覚
直線が波打ったように見えたり、まっすぐな線が曲がって見えたりすることがあります。
3.視力の低下
徐々に視力が低下することがあり、日常生活に影響を与えることがあります。
4.視野の狭窄
進行すると、視野が狭くなり、周囲が見えにくくなることがあります。
5.色の見え方の変化
色彩の知覚が変わることがあります。
6.暗所適応の低下
暗い場所での視力が低下することがあります。
※AMDは早期発見と早期治療が重要です。
定期的な眼科の受診や視力検査を受け、症状が現れた際には早めの医師の診察を受けることが大切です。
加齢黄斑変性になりやすい人
加齢黄斑変性（AMD）の発症に影響を与えるいくつかのリスク要因が知られています。
ただし、これらの要因が直接AMDを引き起こすのではなく、発症のリスクを増加させる可能性があることを理解することが重要です。
1.加齢
AMDは「加齢」黄斑変性として知られており、加齢とともに発症するリスクが増加します。
特に、65歳以上の高齢者に多く見られます。
2.遺伝的要因
遺伝的な要因がAMDの発症に影響を与える可能性があります。
AMDは家族性の傾向があることが報告されており、家族歴があると発症リスクが高くなる可能性があります。
3.喫煙
喫煙はAMDのリスクを増加させる要因の一つとされています。
喫煙により、眼の血管が収縮するため、黄斑の血流が悪化し、AMDの発症リスクが増加する可能性があります。
4.栄養・食事
栄養不良や特定の栄養素の欠乏（例: 抗酸化物質、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、ルテイン、ゼアキサンチンなど）は、AMDのリスクを増加させる可能性があります。
5.高血圧や心血管疾患
高血圧や心血管疾患の存在はAMDのリスクを増加させる可能性があります。
6.肥満
肥満はAMDのリスクを増加させる要因の一つとされています。
※これらのリスク要因を注意深く管理し、健康的な生活習慣を実践することが、AMDのリスクを低減するのに役立つ可能性があります。
また、定期的なアイチェックや専門医との相談も重要です。
加齢黄斑変性 治療法
加齢黄斑変性（AMD）の治療法は、症状の程度やAMDのタイプ（乾燥型または湿疹型）によって異なります。
治療の目的は、視力を維持または改善し、日常生活の品質を向上させることです。
1.乾燥型AMDの治療
・乾燥型AMDに対して特に効果的な治療法は現時点で存在しませんが、予防的なアプローチが重要です。
・栄養補助食品の摂取
特定のビタミンや抗酸化物質（ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、銅、ルテイン、ゼアキサンチン）を含むサプリメントが、病気の進行を遅らせる可能性があります。
ただし、これらのサプリメントの摂取前には医師に相談することが重要です。
2.湿疹型AMDの治療
湿疹型AMDは、視覚を急速に失う可能性が高いため、早期の治療が重要です。
a. 抗VEGF療法（血管内皮増殖因子阻害剤）
製剤の中には、黄斑に異常な血管成長を抑制する効果がある薬物が含まれています。
これらの薬物は定期的に眼に注射され、網膜の状態を改善する助けをします。
b. 光線療法（フォトダイナミック療法）
特定の光と薬物を組み合わせて、異常な血管を焼灼することで視力を維持または改善する治療法です。
c. レーザー治療
異常な血管を焼灼することで視力を維持または改善する治療法です。
3.視覚リハビリテーション
視力が低下しても日常生活をスムーズに過ごすための技術や戦略を学び、視覚損失に適応するための支援が提供されます。
※治療法は個々の症状や進行具合によって異なるため、専門医の指導のもとで適切な治療計画を立てることが重要です。
また、定期的な眼科医のフォローアップも治療効果の評価と適切な治療の見直しのために重要です。
加齢黄斑変性 予防
加齢黄斑変性（AMD）の予防には、健康的な生活習慣や定期的なアイケアが重要です。
1.バランスの取れた食事
豊富な野菜、果物、全粒穀物、健康的な脂肪（魚、ナッツ、オリーブ油など）、低脂肪乳製品、タンパク質を含むバランスの取れた食事を摂取します。
特に、抗酸化物質やルテイン、ゼアキサンチンが含まれる食品は視覚に良い影響を与える可能性があります。
2.喫煙の避け方
喫煙はAMDのリスクを高める要因の一つです。
禁煙または喫煙を減らすことで、AMDの発症リスクを低減させることができます。
3.規則的な運動
適度な運動は循環を促進し、視力を保つのに役立つ可能性があります。
定期的な運動習慣を確立し、適度な有酸素運動を行いましょう。
4.適切な体重の維持
過体重や肥満はAMDのリスクを高める要因の一つです。
適切な体重を維持するためにバランスの取れた食事と運動を組み合わせましょう。
5.定期的な目の健康チェック
定期的に眼科医の診察を受け、視力や網膜の健康をチェックしましょう。
早期の発見と適切な対応は重要です。
6.サングラスの使用
紫外線から目を保護するために、紫外線カット機能のあるサングラスを利用します。
7.適切な栄養補助食品の摂取
医師の指導のもとで、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質が含まれる栄養補助食品（サプリメント）を摂取することで、AMDのリスクを低減する可能性があります。
8.適度なアルコール摂取:
過剰なアルコール摂取はAMDのリスクを高める可能性があるため、適度な範囲でのアルコール摂取を心掛けましょう。
これらの予防方法を実践することで、AMDのリスクを低減し、視覚の健康を保つのに役立つ可能性があります。
※ただし、何か症状がある場合やリスクが高いと感じる場合には、専門医に相談することをおすすめします。
