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卵巣腫瘍 初期症状

卵巣腫瘍の初期症状は非常に非特異的なものが多く、症状が現れてもなかなか卵巣腫瘍と気づかれにくいのが特徴です。

主な初期症状としては以下のようなものがあげられます。

・腹部膨満感や腹痛
腫瘍が徐々に大きくなることで腹部に違和感や痛みが出現します。

・食欲不振
腫瘍による圧迫で胃が圧迫されることがあり、食欲低下を引き起こします。

・便秘や下痢
腸管への圧迫により排便障害が生じることがあります。

・頻尿
腫瘍が膀胱を圧迫すると頻尿になる可能性があります。

・不正性器出血
稀に不正出血を起こすこともあります。

・体重減少
進行すると栄養障害から体重減少を来します。

このように初期症状は非特異的ですが、腹部の違和感が続く場合は要注意です。

定期的な産婦人科検診で早期発見につなげることが大切です。

自覚症状があれば早めに医師に相談することをおすすめします。

卵巣腫瘍 原因 基礎疾患
卵巣腫瘍の原因や基礎となる疾患については、完全には解明されていない部分もありますが、いくつかのリスク因子が知られています。

1.遺伝的要因
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の原因となる BRCA1/BRCA2遺伝子変異を有する場合、卵巣がんのリスクが高まります。

また、家族性の卵巣がんの既往もリスクとなります。

2.生殖関連要因
未婚、不妊、早発閉経後の卵胞刺激ホルモン補充療法など、卵巣の刺激が長期にわたると腫瘍化のリスクが高くなるとされています。

3.肥満
肥満は卵巣がん発症のリスクを高める可能性があります。

4.内分泌撹乱物質の曝露
環境中の内分泌かく乱物質への曝露が、発がんリスクを高める可能性が指摘されています。

5.基礎疾患
卵巣過剰刺激症候群や、子宮内膜症が、稀に卵巣がんの引き金となることがあります。

このように、遺伝的素因や生活習慣、基礎疾患などが複合的に関与して発症に至ると考えられていますが、発症機序の完全な解明には至っていません。

定期的な検診が重要視されている理由です。

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卵巣腫瘍 治療戦略

卵巣腫瘍の治療戦略は、腫瘍の種類、進行度、患者さんの年齢や全身状態などを総合的に勘案して決定されます。

主な治療法と適用される場合は以下の通りです。

【手術療法】
初期段階の卵巣腫瘍に対しては、腫瘍と卵巣を切除する手術が第一選択肢となります。

進行がん、再発がんの場合も、可能な限り腫瘍を切除する姑息的な手術が行われます。

姑息的治療は、疾患の根治を目的とするのではなく、症状の軽減や苦痛の緩和などを目的として行われる治療です。

【抗がん剤治療】
進行がん、再発がんの場合、手術単独では根治が難しいため、抗がん剤による化学療法を併用します。

プラチナ製剤を中心とした複数の抗がん剤を組み合わせた治療が一般的です。

プラチナ製剤とは、白金を含む抗がん剤の総称です。

卵巣がんの化学療法で最も広く使われている主要な抗がん剤群です。

代表的なプラチナ製剤には以下のようなものがあります。

・シスプラチン
最初に開発されたプラチナ製剤です。

卵巣がん初回治療の標準レジメンの一つです。

・カルボプラチン
シスプラチンよりも副作用が軽いため、高齢者や全身状態が芳しくない患者さんに使われることが多いです。

・ネダプラチン
第3世代のプラチナ製剤で、腎毒性が低いのが特徴です。

プラチナ製剤は DNA鎖を傷害することで、がん細胞の増殖を抑制する作用があります。

特に卵巣がんに対する高い感受性があり、単剤または他の抗がん剤と併用して使用されます。

ただし、消化器症状や腎機能障害など副作用も強いため、患者さんの状態を踏まえた上で、適切な投与量、投与間隔が設定されます。

プラチナ製剤は現在も卵巣がん化学療法の中心的な位置づけにあります。

【分子標的治療】
近年、PARP阻害剤やベバシズマブなどの分子標的治療薬が、卵巣がん治療に導入されています。

効果が期待できる遺伝子変異があれば、これらの薬剤が使用されます。

【放射線療法】
卵巣がん自体への有効性は低いものの、がんの転移部位の緩和を目的に、局所への放射線照射が行われる場合があります。

【緩和ケア】
上記の根治療法と並行して、疼痛コントロールや苦痛のマネジメントを行う緩和ケアが重要視されています。

治療戦略は症例ごとに異なりますが、集学的アプローチで細胞レベルからの根治と、QOLの維持、向上を目指します。

卵巣腫瘍 生存率
卵巣腫瘍の生存率は、腫瘍の種類、進行度、患者さんの年齢などによって大きく異なります。

一般的な傾向として、以下のようなことがいえます。

【進行度別の5年生存率】
・ステージ1(早期癌) : 約90%

・ステージ2 : 約70%

・ステージ3 : 約40%

・ステージ4(末期癌) : 約20%

早期のうちに発見され適切な治療がなされれば、かなり良好な予後が期待できますが、進行すると予後は不良になる傾向にあります。

【組織型別の5年生存率】
・漿液性腺癌: 約45%
(しょうえきせいせんがん)

・粘液性腺癌: 約40%

・未分化癌 : 約25%

・境界悪性腫瘍: 約95%

高度な悪性度を持つ漿液性腺癌や未分化癌は予後不良ですが、境界悪性腫瘍は良好な経過をたどることが多いです。

また、一般に高齢者ほど予後は悪くなる傾向があります。

早期発見が重要な大きな理由となっています。

定期的な検診により早期発見に努め、腫瘍の種類と進行度に応じた最適な治療を組み合わせることで、生存率の向上が期待できます。

しかし根治が難しい症例も多く、新たな治療法の開発が望まれています。