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原発不明がん 症状

原発不明がんとは、がんの原発巣(がんが最初に発生した場所)が特定できない状態を指します。

主な症状は以下の通りです。

1. 原因不明の体重減少

2. 全身倦怠感や易疲労感

3. 食欲不振

4. 発熱

5. 貧血

6. 腫れ物やしこり

これらの症状が現れた場合、詳しい検査が必要となります。

検査では以下のようなことを行います。

・血液検査

・画像検査(CT、MRI、PET-CTなど)

・内視鏡検査

・組織検査(生検)

検査で転移したがん細胞が見つかれば、原発不明がんと診断されます。

その後は、がんの種類を推定し、抗がん治療を行うことになります。

治療法は推定されたがんの種類に合わせて決められます。

原発不明がんは早期発見が難しく、がんが進行している場合が多いため、一般に予後は良くありません。

症状が出たら、早めに医師に相談し、適切な検査を受けることが大切です。

原発不明がん 原因
原発不明がんの原因は、はっきりとわかっていませんが、複数の要因が関係していると考えられています。

主な原因として考えられているのは、

1.微小転移巣の存在
初期段階で非常に小さな転移巣ができ、検査で見つけられなかったため、原発巣が特定できなくなる可能性があります。

2.原発巣の自然退縮
免疫機能などにより、原発巣が自然に消失してしまい、転移巣だけが残る場合があります。

3.原発巣の検出困難な部位
膵臓や胆管など検査が難しい部位にあり、検出が困難な場合があります。

4.異所性(いつしょせい)発がん
正常組織とは異なる異所性の細胞から発がんする場合、原発巣が不明になりやすいとされています。

5.癌幹細胞由来
癌幹細胞から発生した場合、原発巣が特定しにくいと考えられています。

加えて、高齢者や免疫抑制状態の人に多いことから、加齢や免疫機能の低下も一因とみられています。

原因を特定することは治療に役立つため、今後の研究が期待されています。

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原発不明がん 治療

原発不明がんの治療は、一般的ながんの治療と同様に、手術療法、薬物療法(抗がん剤治療、分子標的治療薬など)、放射線療法を組み合わせて行われます。

ただし、原発巣が不明なため、最適な治療法を選択するのが難しいのが特徴です。

治療の決め手となるのは、病理組織検査で得られたがん細胞の種類の推定結果です。

がん細胞の形態や染色体/遺伝子検査から、腺がん、未分化がん、神経内分泌がん)などに分類されます。

これらの推定がん種から、最も似た既知のがんの標準治療に準じた治療が選択されます。

例えば腺がんの場合は、大腸がんや膵がん、肺がんの標準治療が参考になります。

しかし、原発不明がんは進行した状態で発見されることが多く、単一の治療では効果が期待できないため、手術療法と化学療法、分子標的治療薬、免疫療法などの全身療法を組み合わせた集学的治療が一般的です。

近年、がんゲノム医療の進歩に伴い、分子標的治療薬の適用が広がりつつあり、症例に応じた最適な治療法の選択が可能になってきています。

総じて治療成績は未だ十分とはいえませんが、原因遺伝子の同定と新規治療法の開発が期待されています。

原発不明がん 生存率
原発不明がんの生存率については、一般に予後不良とされています。

しかし、がん細胞の種類や進行度、治療法の選択などによって生存率は大きく異なります。

米国がん統計データ(SEER)によると、原発不明がんの5年生存率は約25%と報告されています。

ただし、この数値にはさまざまな病期やがん種が含まれているため、一概にいえません。

がん種別にみると、比較的予後の良い腺がんでは5年生存率が20~30%程度ですが、未分化がんでは5%以下と極めて不良です。

また、病期が早期であれば生存率は高くなる傾向にあります。

局所に留まる原発不明がんでは5年生存率が30%程度あるのに対し、遠隔転移を有する場合は15%前後と低下します。

近年、分子生物学的手法によりがん種の同定が進み、それに応じた治療法の選択が可能になってきたことで、生存率は徐々に改善しつつあります。

特に、免疫チェックポイント阻害剤などの新規治療の導入により、一部のグループでは2年生存率50%を超えるなど明るい結果が出ています。

原発不明がんに対して使用される主な免疫チェックポイント阻害剤の具体例は以下の通りです。

・PD-1阻害剤
*ペムブロリズマブ(キイトルーダ)

*ニボルマブ(オプジーボ)

・PD-L1阻害剤
*アテゾリズマブ(テセントリク)

*アベルマブ(バベンシオ)

・CTLA-4阻害剤
イピリムマブ(ヤーボイ)

これらの分子標的治療薬は、がん細胞が免疫系から逃れるための体内の制御機構「免疫チェックポイント」を阻害することで、がん細胞を攻撃する免疫細胞の活性化を図る新しい作用機序の薬剤です。

特にPD-1/PD-L1阻害剤は、原発不明がんを含む様々ながん種に対して有効性が確認されており、単剤または既存の化学療法との併用で使われています。

CTLA-4阻害剤は主に他の免疫チェックポイント阻害剤との併用で用いられます。

これらの免疫療法は、従来の化学療法に比べて有害事象が軽微な半面、自己免疫関連の副作用もあるため、慎重な経過観察が必要とされています。

今後さらに新しい分子標的が同定され、層別化治療が進むことで原発不明がんの治療成績向上が期待されています。

しかし全体として見れば、未だ生存率は十分とはいえず、さらなる新規治療法の開発と、原因遺伝子同定による層別化治療が重要な課題と考えられています。