喉頭がん（laryngeal cancer）は、喉頭と呼ばれる器官で発生するがんのことです。
喉頭は声を出すための重要な役割を果たしており、がんが発生すると様々な症状が現れることがあります。
以下は、喉頭がんの一般的な症状ですが、これらの症状が必ずしもがんであることを示すものではありません。
症状が続く場合や気になる場合は、医師に相談することが重要です。
1.声の変化
声がかすれ、低くなることがあります。これは通常、喉頭ががんで影響を受けるためです。
2.のどの痛みや不快感
喉頭がんによって喉の内部が影響を受け、痛みや不快感が生じることがあります。
3.のどの異物感
のどに異物感があると感じることがあります。これは、腫瘍が喉頭内に圧迫をかけている可能性があります。
4.咳や喫煙時の血痰
喉頭がんが進行すると、咳をするか、喫煙するときに血痰が出ることがあります。
5.呼吸困難
喉頭がんが進行すると、呼吸困難が生じることがあります。これは、腫瘍が気道を妨げるためです。
6.体重減少や食欲不振: 喉頭がんによって摂食や嚥下が困難になり、体重減少や食欲不振が生じることがあります。
※これらの症状が他の健康問題によるものか、喉頭がんによるものかを確定するためには、専門の医師による検査が必要です。
喉頭がんの早期発見と治療は成功率を高めるため、症状が現れた場合は迅速に医療専門家に相談することが重要です。
喉頭がん 原因
喉頭がんの原因は複雑で、一因ではなく複数の要因が組み合わさることが考えられています。
以下は、喉頭がんの発症に関連する一般的な要因やリスクファクターです。
1.喫煙とタバコの使用
喫煙は喉頭がんの主要な原因の一つと考えられています。
喫煙によって含まれる有害な化学物質が喉頭組織に影響を与え、がんの発症を促進する可能性があります。
2.アルコール消費
長期間にわたる大量のアルコール摂取は、喉頭がんのリスクを増加させる要因となります。
アルコールと喫煙の組み合わせは、相乗的にがんの発症リスクを高めることが知られています。
3.人間パピローマウイルス（HPV）感染
特定の型の人間パピローマウイルス（HPV）感染も、喉頭がんの原因となる可能性があります。
特にHPV型16と18は、口腔咽頭がんや喉頭がんと関連しています。
4.遺伝的要因
遺伝的な傾向も喉頭がんの発症に影響を与える可能性があります。
家族にがんの歴史がある場合、遺伝的な要因が関与している可能性があります。
5.年齢
一般的に、年齢が上がるにつれてがんの発症リスクも増加します。
喉頭がんも高齢者によく見られます。
※これらの要因は、個々の状況や生活スタイルによって異なります。
例えば、禁煙や適度なアルコール摂取、HPVワクチンの接種など、予防策を取ることが喉頭がんのリスクを低減するのに役立つかもしれません。
定期的な医療検診や健康診断も重要です。
症状が現れた場合は、早期に医師の診断と治療を受けることが重要です。
喉頭がん 治療
喉頭がんの治療の目的は、がんを根治するとともに、喉頭の機能をできるだけ残すことです。
喉頭の機能には、発声、呼吸、嚥下などがあります。
喉頭がんの標準治療は、がんの進行度や部位、体の状態などによって、手術、放射線治療、化学放射線治療、薬物療法などの方法を選択できます。
1.手術
がんを含む喉頭の一部または全部を切除する治療です。
喉頭の機能をできるだけ残すことを目指しますが、声や呼吸、嚥下などに影響が出る可能性があります。
2.放射線治療
放射線をあててがん細胞を破壊する治療です。
手術で喉頭を切除しないため、喉頭の機能を残すことが期待できますが、嗄声（声のかすれ）、口の乾燥、粘膜の炎症、皮膚炎などの副作用が起こる可能性があります。
3.化学放射線治療
放射線治療と抗がん薬を併用する治療です。
放射線治療の効果を高めるとともに、再発や転移を予防することが期待できますが、吐き気、腎機能障害などの副作用が強くなる可能性があります。
4.薬物療法
抗がん薬や免疫チェックポイント阻害剤などの薬を使ってがん細胞を攻撃する治療です。
遠くの臓器に転移したがんに対しても効果が期待できますが、発熱、下痢、肝機能障害などの副作用が起こる可能性があります。
また新しい治療法や治験に参加することもできます。
新しい治療法とは、標準治療よりも効果や安全性が向上する可能性があるが、まだ十分に検証されていない治療です。
喉頭がんの新しい治療法としては、以下のようなものがあります。
・新しい化学放射線治療
シスプラチンの用量を減らして毎週投与する化学放射線治療です。
標準治療と同等の効果があり、副作用がより軽いことが示されています。
・新しい薬物療法
ヒト免疫グロブリンG4（IgG4）を標的とする抗体薬物複合体（ADC）です。
喉頭がん細胞に多く発現するIgG4に結合してがん細胞を殺すことが期待されます。
・新しい放射線治療
強度変調放射線治療（IMRT）です。
正常な細胞への照射を最小限にできるため、放射線をあてる範囲が広い場合でも副作用の軽減が期待できます。
※新しい治療法や治験には、メリットやデメリットがありますので、詳しく説明を受けてから参加するかどうかを決めましょう。
喉頭がん 予防
喉頭がんの予防には、いくつかの健康的なライフスタイルの選択と予防策があります。
以下は、喉頭がんの予防に対する一般的なアプローチです。
1.禁煙
喫煙は喉頭がんの主要なリスク因子の一つです。
タバコに含まれる有害な化学物質は、喉頭の組織に損傷を与え、がんの発症を促進します。
禁煙はがんのリスクを著しく低減させる効果があります。
2.適度なアルコール摂取
長期にわたる大量のアルコール摂取は喉頭がんのリスクを増加させます。
適度な範囲でのアルコール摂取を心がけることが重要です。
一般的なガイドラインでは、1日あたりのアルコールの摂取を制限することがすすめられています。
3.HPVワクチン
特に若い年齢での接種が効果的な場合があります。
HPVワクチンは、特にHPV型16および18に対する感染を予防することが期待されています。
これにより、口腔咽頭がんや喉頭がんのリスクを低減できる可能性があります。
4.バランスの取れた食事
健康的な食事習慣は免疫システムを強化し、がんの発症リスクを低減させる助けになります。
多様な栄養素を含むバランスの取れた食事を心がけましょう。
5.口腔衛生の維持
口腔衛生の悪化は口腔内の問題を引き起こし、口腔咽頭がんのリスクを増加させる可能性があります。
定期的な歯科検診や歯のクリーニングを受け、適切な口腔ケアを行いましょう。
6.定期的な健康診断
定期的な医療検診や健康診断は早期発見と治療のために重要です。
異常が見つかった場合は、早期に専門家の診察を受けるようにしましょう。
※これらの予防策は、喉頭がんのリスクを低減するのに役立ちます。
個々の状況に応じて、適切な予防策を取ることが重要です。
また、特に症状が現れた場合は、早期に医師の診断と治療を受けることが大切です。
