声帯萎縮症は、声帯の組織や筋肉が萎縮して機能が低下する状態です。
その症状は次のようなものがあります。
1.声のかすれや低音化
声がかすれや低音化することがあります。
これは声帯の筋肉や組織が萎縮することによって起こります。
2.声の出しにくさ
声を出す際に力が必要であり、声の出しにくさを感じることがあります。
声帯の機能低下によって声を出すのが困難になることがあります。
3.声の音域の制限
声の音域が制限されることがあります。
高音や一部の音域を出しにくく感じることがあります。
4.息切れや声の疲れ
声を出すときに息切れを感じたり、声が疲れやすくなったりすることがあります。
声帯の筋肉が弱まるために起こります。
5.声の安定性の低下
声の安定性が低下し、声が揺れやすくなることがあります。
これは声帯の筋肉が萎縮して安定性が失われるためです。
6.発声のコントロールの難しさ
発声のコントロールが難しくなることがあります。
声帯の筋肉が正確に動かせなくなるため、音の調整が難しくなります。
※これらの症状が声帯萎縮症に見られる一般的なものですが、個人によって症状の程度や現れ方は異なる場合があります。
診断や治療には医師の診断と指導が必要です。
声帯萎縮症 原因
声帯萎縮症の原因は、様々な要因によって引き起こされる可能性があります。
一般的な原因としては以下のようなものが挙げられます。
1.加齢
加齢によって、声帯の組織や筋肉が徐々に衰えていくことがあります。
これによって声帯の機能が低下し、声帯萎縮症が引き起こされることがあります。
2.過度の声の使用
長時間または過度に声を使うことがあると、声帯に負担がかかります。
特に声を使う職業や趣味を持つ人は、声帯萎縮症のリスクが高くなることがあります。
3.喫煙
喫煙は声帯に悪影響を与えることが知られています。
タバコに含まれる有害物質が声帯組織にダメージを与え、声帯萎縮症を引き起こす可能性があります。
4.喉頭手術
喉頭手術や放射線療法などの治療を受けた場合、声帯に影響が出ることがあります。
手術や治療によって声帯組織が損傷し、声帯萎縮症が発症することがあります。
5.神経障害
中枢神経系や末梢神経系の障害が声帯の機能に影響を与えることがあります。
神経の制御がうまくいかない場合、声帯の筋肉が正常に動作せず、声帯萎縮症が発生する可能性があります。
6.急激な体重減少
急激な体重減少は、声帯の筋肉や粘膜に影響を与え、声帯萎縮症を引き起こす可能性があります。
7.ホルモンの影響
ホルモンのバランスが崩れると、声帯の筋肉や粘膜に影響を与え、声帯萎縮症を引き起こす可能性があります。
※これらは一般的な声帯萎縮症の原因の一部ですが、他にも遺伝的要因や特定の疾患によっても引き起こされることがあります。
声帯萎縮症の原因は個人によって異なるため、詳細な原因を特定するには医師の診断が必要です。
声帯萎縮症 治療
声帯萎縮症の治療は、症状の程度や原因によって異なります。
一般的には以下のような治療が行われることがあります。
1.声帯リハビリテーション
声帯は主に筋肉でできています。
足腰の筋肉と同様、年とともに衰え使わないとやせてしまいます。
声を積極的に使うことで改善が見込めますが、それなりに負荷のかかるトレーニングが必要です。
声帯筋にとってジムでの筋トレや運動に相当するものは、発声練習や歌を歌うことです。
言語聴覚士やリハビリテーション専門家と共に行われることが多く、声帯を正しく使うトレーニングやエクササイズが含まれます。
2.言語療法
声の使い方や発声技術を改善するための言語療法が行われることがあります。
正しい発声や呼吸法を学ぶことで、声の質や安定性を向上させることができます。
3.基礎疾患の治療
声帯萎縮症の原因となる基礎疾患がある場合、その疾患の治療が行われることが重要です。
例えば、喫煙や喉頭手術によるダメージが原因の場合は、禁煙や適切な喉頭ケアが必要です。
4.音声補助機器の利用
一部の患者には、音声補助機器や音声生成装置を利用することで声の質や量を改善することができます。
これは、声帯の機能が十分に回復しない場合に役立ちます。
※治療計画は患者の症状や状態に合わせてカスタマイズされるため、医師やリハビリテーション専門家との相談が重要です。
早期の治療が声帯萎縮症の管理や改善に役立つ場合がありますので、適切な治療を受けることが重要です。
声帯萎縮症 手術
・声帯内注入術
やせた声帯にヒアルロン酸などの物質を注入することで声帯を膨らませます。
欠点は効果の持続が2-6か月と短いことですが、日帰り表面麻酔で短時間での手術が可能です。
・甲状軟骨形成術1型
喉頭の軟骨に穴を開け、そこから声帯に人工物質をつめこみふくらませる方法です。
頚部の外切開が必要ですが、局所麻酔で行うため患者様の声を聞きながら、もっとも良い声の出る位置で調節することができます。
手術は1時間半程度で日帰りでも可能です。
効果は永続的です。
声帯内注入術や甲状軟骨形成術1型の費用は以下の通りです。
1.声帯内注入術
この手術の費用は約\30,000（保険3割負担）です。
ただし、別途お薬・音声検査費用として約\3,000（保険3割負担）がかかります。
2.甲状軟骨形成術1型
この手術の費用は約\550,000です。
ただし、諸費用等を含めると、入院・手術総額で約\715,000となります。
※これらの費用はあくまで一例であり、医療機関によって異なる場合があります。
具体的な費用については、手術を行う医療機関に直接ご確認ください。
また、これらの手術は医師の診断と指導のもとで行われるべきです。
手術を検討されている方は、必ず専門医にご相談ください。
また、これらの治療以外にも、自己訓練法や飲み込みの習慣など、日常生活での注意点もあります。
具体的な方法や注意点については、専門医にご相談ください。
声帯萎縮症 予防
声帯萎縮症の予防については以下のような方法があります。
1.声の衛生
声帯の劣化予防のためには、声帯を傷める素因を除く必要があります。
禁煙は当然であり、最近の加熱式タバコも注意が必要です。
また、加齢による胃酸逆流による逆流性咽喉頭炎の予防も重要で、ライフスタイルや食生活の注意が有用です。
喉頭アレルギーや花粉症に代表される上気道のアレルギー性炎症の予防も声の維持に重要です。
2.声を出すこと
声帯萎縮症の治療は、「声を出すこと」が一番です。
よくないのは「声が出にくくなってきたので黙っています」という人です。
どんどん声を出すことが大事です。
適度におしゃべりやカラオケに行くことは良いことです。
一人暮らしで喋ることがないという方にも、新聞のコラムを声に出して読んでみる、一日一曲歌の練習をする、般若心経を唱えてみる、など工夫をするとできることもあります。
3.音声自己訓練法
声帯萎縮や声帯溝症に対して自分で行なえる音声体操があります。
一言ずつ区切って数字（1～10まで30秒かけて）をカウントし、毎回息を吸ってから発声してください。
カレンダーに毎日訓練したらチェックし、感想をなど記録すると、より効果的なようです。
ただし、必ず、かかりつけの医師や耳鼻咽喉科の医師に相談してから実行してください。
4.飲み込みの習慣
誤嚥（ごえん）を防ぐ飲み込みの習慣や注意事項もあります。
※これらの予防方法は、声帯萎縮症の発症を遅らせるか、または症状を軽減する可能性があります。
しかし、これらの方法が全ての人に効果的であるわけではないため、具体的な方法や注意点については、専門医にご相談ください。
