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夏 高血圧 対策

日本国内では、約4300万人の成人が高血圧とされています。

夏は血圧が下がりやすい季節ですが、油断は禁物。

夏特有の生活環境や食生活が血圧に影響を与えるため、注意が必要です。

1.血圧が下がる夏も油断は禁物
高血圧を改善するには、これから訪れる夏が重要です。

血圧は冬に高くなり、夏に低くなる傾向があります。

冬は気温が低く血管が収縮するため血圧が上がり、夏は体内から熱を逃がすために血管が広がり、汗で塩分や水分が排出されやすくなるため血圧が下がります。

10度の気温差により、若い人では上の血圧で3~4mmHg、後期高齢者では10mmHgの差が生じることがあります。

血圧変動が大きい人では20~30mmHgほどの差が出る場合もあります。

しかし、夏の血圧低下に油断してはいけません。

それは夏特有のリスクが存在するからです。

2.高血圧とは
血圧とは血液の流れによって血管の壁にかかる圧力のことで、この圧力が高すぎる状態を高血圧と言います。

病院で測る診察室血圧では、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上で高血圧と診断されます。

自宅で測る家庭血圧の場合、75歳以上では上が135mmHg、下が85mmHg以上で要注意、75歳未満では上が125mmHg、下が75mmHg以上で要注意です。

高血圧は放置すると、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中、腎機能障害など全身にわたる合併症のリスクが高まります。

3.高血圧対策 夏の落とし穴
ある60代男性Aさんの行動を例に、夏の高血圧対策の注意点を紹介します。

彼は10年前に高血圧と診断され、複数の薬を服用しています。

Aさんの行動①
酷暑が続く日本の夏。

営業職で大量の汗をかくAさんは、通勤時や外回り、休日の散歩などで常に塩あめを口に含み、喉が乾いたときは経口補水液で水分と塩分を補給しています。

*専門家の判定:要改善
高血圧の主な原因は塩分の摂り過ぎです。

熱中症対策として塩分補給は大切ですが、高血圧の人は夏も減塩が重要です。

経口補水液を水の代わりに飲むと塩分過多になるため、500mLを1~2時間かけて飲むのが適切です。

通勤や短時間の散歩には普通の水で十分です。

Aさんの行動②
キンキンに冷えたビールが大好きなAさん。

夏の夜は寝酒を欠かせません。

*専門家の判定:絶対NG
アルコールは血圧を上昇させ、利尿作用で脱水状態となり、血管が詰まりやすくなります。

飲酒は睡眠の質を低下させるため、控えることをおすすめします。

Aさんの行動③
冬は家庭血圧が135mmHg、春には120mmHgまで下がったAさん。

夏も薬を続けて血圧を抑え込もうとしています。

*専門家の判定:要改善
Aさんの場合、夏になると血圧が下がり過ぎるリスクがあります。

薬の種類や量を調節する「薬の衣替え」を検討することが重要です。

4.薬の衣替え
夏は、薬の治療と季節変動による血圧低下が重なり、立ちくらみやけん怠感、低ナトリウム血症などのリスクが増します。

薬の種類や量を調節し、夏も適切な血圧を維持することが必要です。

薬の衣替えを適切に行うためには、夏が来るまでに2~3週間、毎日血圧を測定し、医師に報告することが大切です。

血圧の測定は1日2回、朝はトイレを済ませて朝食前、夜は食後や入浴直後を避けて測定します。

※すべての高血圧の人に薬の衣替えが必要ではありません。

薬については必ず医師に相談してください。

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夏 高血圧 減塩

食塩の摂取量が多いと、高血圧に大きな影響を及ぼします。

日本人の1日の食塩摂取量は10グラムを超えていますが、厚生労働省は一般の人の目標を7グラム、日本高血圧学会は高血圧のある人に対して6グラム未満を推奨しています。

体内の塩分濃度を保つため、食塩を多く摂取すると体の水分量が増えて血圧が上がります。

このため、食塩の過剰摂取は高血圧の大きな原因となります。

1.夏の減塩ポイント
夏に減塩を実践するためのポイントは以下の3つです。

①ひんやりグルメ
塩味は料理が冷たいほど強く感じられます。

薄味で作った料理も、冷ましてから食べると味の満足感が増します。

夏野菜を使った煮物も、冷ましてから食べると良いでしょう。

②ダシの活用
塩味を控えた分はダシで補うのがおすすめです。

うま味成分を活用すれば、減塩しても味が濃く感じられます。

うま味は組み合わせると増幅されるので、上手に使いましょう。

③家族の協力
加齢とともに味覚が衰えるため、つい濃い味になりがちです。

家族の協力を得て、味が濃くなりすぎていないか確認することも重要です。

適切に減塩を続けると、早ければ1週間程度で血圧に変化が出始めます。

減塩を継続するうちに薄味にも慣れていきます。

1日4~5gの減塩を続けることで、上の血圧が4~5mmHg低下することが知られています。

これは薬1種類分の効果に相当します。

2.高血圧改善のための食事療法「DASH食」
高血圧改善の食事療法としてアメリカで開発された「DASH食」は、国内でも実践が推奨されています。

DASH食は、減塩だけでなく、野菜・果物・穀物を中心としたメニューに変える食事療法です。

高血圧対策として、日本人に不足しがちなカリウム・マグネシウム・食物繊維を多く摂取することがポイントです。

マグネシウム・食物繊維には血圧を下げる効果があり、カリウムには摂取した食塩の排出を促す効果があります。

DASH食を実践するには、野菜・果物・オートミール・ナッツ類を多く摂取する必要があります。

アメリカでは受け入れられていますが、日本の食文化には合わない部分もあります。

大分県では、DASH食のオリジナルレシピを多数開発し、地元の食材を使ったメニューを次々と考案しています。

特に切り干し大根の煮物は、カリウムや食物繊維が豊富で、DASH食向けの食材です。

マグネシウムを補うために油揚げなどの豆腐製品を加えると、DASH食の重要な要素を満たす一品が完成します。

幼少期の環境も将来の高血圧に影響します。

若年層の高血圧も増えており、若い世代も高血圧予防に取り組むことが重要です。

ただし、腎機能が悪い方はカリウムの過剰摂取につながるため、不安な方は医師に相談の上で取り組むようにしてください。

夏 高血圧 運動&睡眠
高血圧を予防するためには、日常の運動と良質な睡眠が欠かせません。

特に効果的なのが有酸素運動ですが、夏の暑い時期には屋外での運動が危険を伴うため、屋内で手軽に行える運動と、暑さに負けず深い眠りを確保するためのコツを紹介します。

運動は日常的に血圧を下げ、傷ついた血管の修復を助けます。

また、睡眠は血圧の安定に重要な役割を果たします。

特に夏はこれらの習慣を維持するのが難しいですが、工夫次第で効果的に取り組むことが可能です。

1.有酸素運動による血圧低下
高血圧の改善に効果的とされるのは有酸素運動です。

ジョギングやサイクリング、水泳など、息を止めずに続ける運動が該当します。

これらの運動は血管を広げ、血圧を下げる効果があります。

毎日30分、または合計40分程度行うのが理想的です。

適度な強度の運動を習慣化することで、正常な血圧の人では約4mmHg、高血圧の人では約8mmHgの低下が見込まれます。

2.最新研究が示す「脳への刺激」
国立障害者リハビリテーションセンターの澤田泰宏氏の研究によると、脳に微細な衝撃を与えることで血圧が下がることが明らかになりました。

これは速めのウォーキングなどで生じる脳への刺激を再現するもので、週3回、30分の実践で1か月後には平均9mmHgの血圧低下が確認されました。

3.推奨される運動法
*バランスボールを使った上下運動
足を地面につけて垂直に弾むことで脳に衝撃を伝えます。

足腰に不安がある方は避けてください。

*かかと上げ落とし運動
両足のかかとを3cmほど上げてストンと落とす運動です。

姿勢を正して10~30分続けると効果が期待できます。

転倒が心配な場合は、壁や机に手をついて行いましょう。

4.良質な睡眠と血圧の関係
適切な睡眠時間に加え、深い眠りが血圧安定には重要です。

深い睡眠時には副交感神経が優位となり、血管が拡張して血圧が10~20mmHg低下します。

これを「ディッパーパターン」と呼びますが、夜間に十分な深い眠りが取れないと、朝の血圧が異常に高くなり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが増します。

5.夏に質の良い睡眠をとるための方法
*寝酒は避ける
アルコールは最初は眠気を誘いますが、分解される際に眠りを浅くします。

*寝だめは避ける
睡眠リズムが乱れ、その日の夜の睡眠が妨げられます。

*就寝前の入浴
体温が下がることで副交感神経が優位になり、深い眠りに入りやすくなります。

入浴後1時間~1.5時間後に寝るのが理想です。

*冷房の適切な使用
体内の熱を放出しやすくするため、28度前後の設定で冷房や扇風機を併用するのがおすすめです。

これらの方法を取り入れ、夏でも効果的に高血圧対策を実践しましょう。