急性喉頭蓋炎は、喉頭蓋（えいとうがい）と呼ばれる喉の一部が急激に腫れる病気です。
これは通常、細菌感染によって引き起こされます。
症状や重症度は個人によって異なりますが、一般的な症状には次のようなものがあります。
1.急激な喉の痛み
喉の腫れや炎症により、激しい喉の痛みが起こります。飲み込みが困難になることもあります。
2.発熱
熱が急上昇し、高熱を伴うことがあります。
3.喉の腫れと赤み
喉頭蓋が腫れて赤くなり、喉の周りが腫れることもあります。
4.呼吸困難
喉頭蓋が腫れると、気道が狭くなり呼吸が困難になることがあります。これは重度の症状で、緊急の医療が必要です。
5.声の変化
声がかすれたり、声が出にくくなったりすることがあります。
※急性喉頭蓋炎は重篤な状態に進行する可能性があるため、急激な喉の痛みや呼吸困難を感じた場合は速やかに医療機関を受診することが重要です。
治療には抗生物質や喉の炎症を軽減するための措置が含まれることがあります。
急性喉頭蓋炎 原因
急性喉頭蓋炎の主な原因は通常、細菌感染です。
特にヘモフィルスインフルエンザ菌（Haemophilus influenzae）型Bが最も一般的な原因とされています。
この他にも、他の細菌やウイルスが原因となることもありますが、ヘモフィルスインフルエンザ菌型Bは特に注意を要する原因菌です。
ヘモフィルスインフルエンザ菌型Bは、通常、喉頭蓋の組織に侵入して炎症を引き起こします。
感染が拡大すると、喉頭蓋が腫れて喉の通り道を狭くし、呼吸困難を引き起こす可能性があります。
また、喉頭蓋炎の原因としては、免疫系の弱い幼児や未接種の子供が感染しやすいとされています。
ワクチン接種によって、ヘモフィルスインフルエンザ菌型Bによる急性喉頭蓋炎の発症率はかなり減少していますが、未接種の場合や免疫が弱い場合には依然として注意が必要です。
※その他にも、細菌感染以外の原因としては、急性喉頭蓋炎を引き起こす可能性がある外傷や化学刺激、アレルギー反応などが考えられますが、これらは比較的稀な原因です。
急性喉頭蓋炎 治療
急性喉頭蓋炎の治療は、症状の程度や原因によって異なりますが、一般的な治療手段には以下のようなものがあります。
1.抗生物質の使用
細菌感染が原因と考えられる場合、医師は通常、抗生物質を処方します。
ヘモフィルスインフルエンザ菌型Bによる感染の場合、特に抗生物質が重要です。
適切な抗生物質の使用により、感染を抑えることができます。
2.喉の炎症を軽減する措置
喉の炎症を軽減するために、湿った空気を吸うことや加湿器を使用することがすすめられることがあります。
これは喉の痛みを和らげ、喉頭蓋の腫れを軽減する効果があります。
3.経口ステロイドの使用
喉頭蓋炎が重度で呼吸困難を引き起こす場合、医師は経口ステロイドを処方することがあります。
これは炎症を抑え、呼吸を改善する助けとなります。
4.症状の管理
喉の痛みや発熱などの症状を管理するために、鎮痛剤や解熱剤が処方されることがあります。
これにより、患者の快適性が向上し、治癒を促進することが期待されます。
5.安静と飲食の注意
喉頭蓋炎の治療中は、安静にして声を掛けないようにしたり、柔らかい食事や液体の摂取を促すことが重要です。
これにより、喉の負担を軽減し、回復を促進することができます。
※急性喉頭蓋炎は重篤な状態に進行することがあるため、症状が重い場合や呼吸困難を感じる場合は、速やかに医療機関を受診することが必要です。
病院での適切な治療を受けることで、合併症や重症化を防ぐことができます。
急性喉頭蓋炎 合併症
急性喉頭蓋炎の合併症は比較的稀ですが、重篤な状態に進行すると以下のような合併症が起こる可能性があります。
1.呼吸困難
急性喉頭蓋炎の最も深刻な合併症の1つは呼吸困難です。
喉頭蓋の腫れや炎症が重篤化すると、気道が狭くなり呼吸が困難になることがあります。
これは緊急の医療介入が必要な状態です。
2.窒息
喉頭蓋炎による気道の狭窄が進行すると、窒息の危険性が高まります。
これは重度の急性喉頭蓋炎の合併症として非常に危険です。
3.声帯損傷
喉頭蓋の炎症や腫れが重度化すると、声帯にダメージを与える可能性があります。
これにより声がかすれたり、声を出しにくくなったりすることがあります。
4.喉頭蓋膿瘍
細菌感染によって喉頭蓋周囲の組織に膿瘍が形成されることがあります。
これは痛みや腫れを引き起こし、治療を必要とする合併症です。
5.敗血症
重度の細菌感染によって全身に感染が広がることがあります。
これにより敗血症が発生し、全身の症状が悪化する可能性があります。
6.喉頭蓋の壊死
炎症や感染が重篤化すると、喉頭蓋の一部が壊死することがあります。
これは重度の合併症であり、治療が困難な場合もあります。
※急性喉頭蓋炎は通常、早期に適切な治療を受けることで合併症を予防できる場合が多いです。
しかし、症状が重い場合や呼吸困難を感じる場合は速やかに医療機関を受診することが重要です。
急性喉頭蓋炎 後遺症
急性喉頭蓋炎の後遺症は通常、適切な治療を受ければほとんど起こりません。
しかし、重症な症例や合併症が発生した場合には、以下のような後遺症が残る可能性があります。
1.声帯損傷
喉頭蓋炎による炎症や腫れが声帯に影響を与えると、声がかすれたり声が出しにくくなったりすることがあります。
これは治療後も続くことがありますが、多くの場合は時間とともに回復します。
2.気道の狭窄
重度の喉頭蓋炎や合併症が気道の構造に影響を与える場合、気道が狭くなることがあります。
これは呼吸に影響を与え、息苦しさや呼吸困難を引き起こす可能性があります。
3.感染の再発
治療を受けた後でも、感染が再発する可能性があります。
特に免疫系が弱い場合や適切な治療を受けなかった場合には再発のリスクが高まります。
4.喉頭蓋の損傷
重度の喉頭蓋炎が続くと、喉頭蓋の一部が損傷したり壊死したりすることがあります。
これは治療が困難な場合があり、嚥下や呼吸に問題を引き起こす可能性があります。
5.心理的影響
重篤な喉頭蓋炎や合併症を経験した場合、患者には心理的な影響が残ることがあります。
特に呼吸困難や窒息の経験は、心的外傷を引き起こす可能性があります。
※これらの後遺症は通常、適切な治療とフォローアップケアによって最小限に抑えられることができます。
医師の指示に従い、定期的な検診や必要なケアを受けることが重要です。
