スポンサーリンク

悪性リンパ腫 症状

悪性リンパ腫(Malignant Lymphoma)は、リンパ組織に発生するがんの一種です。

リンパ組織は、リンパ節や脾臓、扁桃腺などに存在し、免疫系の一部として体内の異物や異常な細胞と戦う役割を果たしています。

悪性リンパ腫はこのリンパ組織で発生し、異常なリンパ球が増殖して腫瘍を形成します。

悪性の症状は個人によって異なり、病気の進行具合や型によっても異なりますが、一般的な症状には以下のようなものがあります。

1.腫れたリンパ節(リンパ腫)
最も一般的な症状で、通常は無痛で触れると柔らかい腫れが感じられます。

これは典型的には首や腋の下、足の付け根などリンパ節の多いところに見られます。

2.発熱
発熱があることがあります。これはがん細胞が免疫系に対抗するために活発に増殖しているためです。

3.全身倦怠感
悪性リンパ腫の患者は、体力の低下や全身的な疲労感を経験することがあります。

4.体重減少
体重が急激に減少することがあります。

5.多発性皮膚病変
皮膚に異常が見られることがあります。

6.異常な出血や貧血
骨髄への浸潤がある場合、異常な出血や貧血の症状が現れることがあります。

7.呼吸困難や咳嗽
胸部にリンパ腫が発生すると、呼吸に関する症状が現れることがあります。

これらの症状が一般的ではありますが、必ずしも全ての患者に現れるわけではありません。

悪性リンパ腫は多様な亜型があり、それぞれが異なる症状を引き起こす可能性があります。

症状が気になる場合は、早めに医師に相談することが重要です。

診断は検査や画像診断、生検などが行われ、病状に基づいて治療計画が立てられます。

悪性リンパ腫 原因
悪性リンパ腫は、血液細胞の一種であるリンパ球ががん化する病気です。

悪性リンパ腫には、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2大分類があり、さらに細かく70種類以上の病型があります。

悪性リンパ腫の原因は、細胞の遺伝子の変異によるものですが、その変異が起こる原因については、まだよく分かっていません。

しかし、悪性リンパ腫の発症リスクを高める要因として、以下のようなものが考えられています。

1.感染性要因
エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)、C型肝炎ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、HIVウイルスなど

2.化学・物理学的要因
化学療法、放射線療法

3.免疫不全状態
先天性/後天性の免疫不全症候群、免疫抑制剤投与中の臓器移植患者、自己免疫疾患

4.染色体異常

5.飽和脂肪酸の摂取

6.年齢
悪性リンパ腫は一般的に中高年から高齢者にかかりやすく、特に60歳以上の患者が多いです。

7.性別
男性に発症することが女性よりもやや多いとされています。

8.遺伝的要因
遺伝的な傾向も関与している可能性があり、家族歴に悪性リンパ腫がある場合、リスクが高まることがあります。

悪性リンパ腫の診断は、腫れているリンパ節などの病変の組織をとって、顕微鏡などで調べる生検が必要です。

また、病気の広がりを調べるために、CTやPET-CTなどの画像検査や、骨髄検査などを行います。

悪性リンパ腫 治療
悪性リンパ腫の治療には、薬物療法、放射線治療、造血幹細胞移植などがありますが、それぞれのリンパ腫の病型によって、最適な治療法が異なります。

1.薬物療法
抗がん剤や分子標的薬を組み合わせて投与する多剤併用療法が治療の中心となります。

薬剤の組み合わせにはさまざまなパターンがあります。

例えば、非ホジキンリンパ腫の患者さんに対する初回治療には、3種類の抗がん剤(シクロフォスファミド・ドキソルビシン・ビンクリスチン)とステロイド(プレドニゾロン)の併用療法(CHOP療法)、CHOP療法に抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブを併用するR-CHOP療法、抗CD79b抗体薬物複合体であるポラツズマブ ベドチンを併用するPola-R-CHP療法、ベンダムスチンとリツキシマブを併用するBR療法などの治療法があります。

一方、ホジキンリンパ腫に対する初回治療には、4種類の抗がん剤(ドキソルビシン・ブレオマイシン・ビンブラスチン・ダカルバジン)を組み合わせるABVD療法や、ブレオマイシンの代わりに抗体薬物複合体のブレンツキシマブ ベドチンを併用するA-AVD療法などがあります。

2.放射線治療
ゆっくり進行するタイプの悪性リンパ腫で病変が狭い限られた範囲にある場合は、放射線単独で治療できる場合もあります。

リンパ腫を治す目的以外にも、一時的に症状を緩和して苦痛を和らげる目的や、造血幹細胞移植前に放射線治療を行うことがあります。

3.造血幹細胞移植
骨髄などから造血細胞のもとになる造血幹細胞を取り出し、患者さんに移植する方法です。

造血幹細胞移植には、患者さん本人の造血幹細胞をあらかじめ採取、冷凍保存しておき、大量化学療法という強力な抗がん剤治療に引き続いてそれを体に戻す「自家移植」と、提供者(ドナー)から造血幹細胞移植を提供してもらう「同種移植」があります。

リンパ腫の治療では、自家移植が主となっています。

悪性リンパ腫 予後
悪性リンパ腫の予後は、分類された病型、病勢、病期によって異なります。

予後とは、病気の治りやすさや経過の見通しのことで、生存できる確率という意味も含まれます。

一般的には、病期が早いほど、予後は良いとされています。

病期は、アン・アーバー分類という方法でⅠ~Ⅳ期に分けられます。

Ⅰ期とⅡ期は限局期、Ⅲ期とⅣ期は進行期と呼ばれます。

また、全身症状がある場合はB症状、ない場合はA症状と分類されます。

全身症状とは、原因不明の発熱、寝汗、体重減少などのことです。

B症状がある場合は、予後が悪くなると考えられています。

ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫では、予後の傾向が異なります。

1.ホジキンリンパ腫
病期がⅠ期の場合5年生存率が90%

Ⅱ期で80~90%

Ⅲ期で65~90%、

Ⅳ期で40~70%

2.非ホジキンリンパ腫
低悪性度リンパ腫(年単位で緩やかに進行するタイプ)

病期がⅠ期の場合の5年生存率は86.7%

中悪性度リンパ腫(月単位で進行するタイプ)

病期がⅠ期の場合の5年生存率は74.3%

高悪性度リンパ腫(日~週単位で急速に進行するタイプ)

病期がⅠ期の場合の5年生存率は54.6%

予後に影響する要因としては、年齢、血清LDHの値、パフォーマンスステータス(日常生活がどの程度できるか)、リンパ節外病変の数などがあります。

これらの要因をもとに、予後予測モデルが作られています。

ホジキンリンパ腫の場合は、国際予後スコア(IPS)というモデルがあります。

非ホジキンリンパ腫の場合は、国際予後指標(IPI)というモデルがあります。

これらのモデルは、予後の良し悪しを低リスク、低中間リスク、高中間リスク、高リスクという4つのグループに分けることができます。

リスクが高いほど、予後が悪くなると考えられています。