突発性難聴の前兆として考えられる症状は、以下のようなものがありますが、必ずしもこれらの症状が現れるとは限りません。
突発性難聴は、突然耳の聴力が急激に低下する症状であり、原因は不明確な場合が多いです。
1.耳鳴りや耳の詰まり感
耳に異常を感じることがあります。耳鳴りがあったり、耳の奥が詰まったような感覚が現れることがあります。
2.聴力の一時的な低下
聴力が突然一時的に低下することがあります。これは突然起こることがあり、一般的には片耳に影響が出ますが、両耳の低下もあります。
3.頭痛やめまい
突発性難聴には頭痛やめまいといった症状が先行することがあります。これらの症状が出ることで、難聴が発覚することもあります。
4.耳からの異常な感覚
耳から液体が出る、耳の中が痛むなどの感覚がある場合も、突発性難聴の前兆と考えられることがあります。
※突発性難聴の前兆がある場合でも、それが必ずしも突発性難聴を示すわけではないため、このような症状が出た場合には早めに医師の診察を受けることが重要です。
早期の診断と治療が、難聴の進行を遅らせたり、改善させる上で役立つことがあります。
突発性難聴 やってはいけないこと
突発性難聴の場合、以下のような行動は避けるべきです。
これらの行動は、症状を悪化させたり、回復を妨げる可能性があります。
1.耳を刺激する行動
耳に刺激を与える行動は避けるべきです。
例えば、耳掃除棒などで耳を掻いたり、耳栓を深く挿入したりすることは避けましょう。
また、大音量の音楽を聞くことも避けるべきです。
2.耳に圧力を加える
突発性難聴の場合、耳に圧力を加えることで症状が悪化することがあります。
例えば、高高度の場所に行く、急激な気圧の変化がある場所に行く、航空機に乗るなど、耳に圧力がかかる状況を避けるべきです。
3.ストレスを溜め込む
ストレスは身体の状態に影響を与えることがあります。
突発性難聴の症状が出た場合でも、ストレスを溜め込まず、リラックスすることが大切です。
ストレスを軽減するためには、適切な休息やストレス発散法を取り入れることが役立ちます。
4.自己治療を試みる
突発性難聴は医師の診察と適切な治療が必要です。
自己判断で薬を服用するなどの自己治療は避け、必ず専門家の指導を仰ぎましょう。
5.放置する
突発性難聴の症状が現れた場合は、放置せずに早めに医師の診察を受けることが重要です。
早期の診断と適切な治療が、症状の進行を遅らせるのに役立ちます。
※突発性難聴は、早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
自己判断や自己治療は症状を悪化させる可能性があるため、避けるようにしましょう。
突発性難聴 改善しない経過
突発性難聴の症状が改善しない経過については、いくつかの可能性が考えられます。
以下に、その主な要因として考えられるものをいくつか挙げます。
1.原因不明のまま治療
突発性難聴の原因は不明確なことが多く、そのため適切な治療が難しい場合があります。
原因が特定できないまま適切な治療が行われない場合、症状が改善しない可能性があります。
2.適切な治療が行われない
突発性難聴の場合、早期の診断と適切な治療が重要です。
適切な治療が行われない場合、症状が悪化したり、改善しない可能性があります。
例えば、ステロイド薬や血管拡張薬を用いた治療が効果的であることが知られていますが、これらの治療が適切に行われない場合、改善しないことがあります。
3.治療抵抗性の突発性難聴
一部の患者では、突発性難聴が治療に抵抗性を示す場合があります。
これは、治療に対する個人差や病態の違いによるものであり、特定の治療法が効果を発揮しないことがあります。
4.合併症や慢性化
突発性難聴が改善しない場合、合併症が発生したり、慢性化する可能性があります。
例えば、耳鳴りやめまいが持続する場合があります。
また、一部の患者では、突発性難聴が再発することもあります。
※突発性難聴が改善しない場合は、症状の進行や合併症のリスクを考慮し、医師との定期的なフォローアップや治療方法の見直しが必要です。
また、専門家の意見を求め、症状の管理や生活の質の向上に向けたアプローチを検討することも重要です。
突発性難聴 最新治療法
突発性難聴の治療は、時間との勝負になる部分もあり、できるだけ早期の治療が重要です。標準的な治療法に加え、新たな治療法も研究されています。以下に、突発性難聴の治療法について詳しく説明します。
1.標準治療方法
突発性難聴の治療は、基本的に外来で行われますが、重症例では入院治療もあります。
重症例やめまいを伴う場合、生活習慣病のリスクファクターがある場合、糖尿病の合併で副腎皮質ステロイド点滴ができない場合などは入院治療が選択されます。
治療方法には、副腎皮質ステロイド＋ビタミンB12、循環改善剤などの投与が含まれます。
治療期間は1週間～10日程度で、3日間隔で徐々に減らしていくのが一般的です。
ウイルス感染に関しては、ウイルス血症が起こる可能性がある発症初期であれば抗ウイルス剤治療を行います。
2.特殊な治療方法
・ヘビ毒（バトロキソビン治療）
大阪など一部の地域で施行されています。
血液をサラサラにする薬でフィブリノーゲンを分解し、血流改善を促します。
・アミドトリゾ酸（造影剤）治療
突発性難聴の患者さんに造影検査のためアミドトリゾ酸を投与したところ、難聴が改善したという経緯から行われています。
3.新しい治療法
・Rhoキナーゼ阻害剤
現在、研究が進められている治療法で、突発性難聴に対する有効性が高いとされています。
発症から1週間以上が経過すると効果は落ちますが、早期治療例ではグレード3、4の重症例でも優れた効果が確認されています。
この治療法は血管の拡張や血流の改善作用、神経、シナプス再生作用を持ち、内耳微小血管の血流障害を改善させます。
・京都大学での研究ーゼラチンハイドロゲル
引用「突発性難聴という急激に片耳の聴力が失われる疾患では、約半数の症例で標準的な治療法であるステロイド全身投与で十分な聴力改善が認められません。
このような難治性突発性難聴に対する新しい治療法として、ゼラチンハイドロゲルを用いて内耳にIGF1を徐放する治療の有効性と安全性を調べ、これまでに用いられてきたステロイドの鼓膜内注入よりも優れた安全性と有効性が期待できることが分かった」ということです。
4.治療期間に注意
入院治療では安静が保たれますが、外来治療中も日常生活でストレスを減らすことが大切です。
喫煙は血管収縮に影響するため、控えることをおすすめします。
ゼラチンハイドロゲルについて
ゼラチンハイドロゲルは、生体吸収性のゼラチン製剤で、医療分野で幅広く研究されています。以下に詳細を説明します。
1.概要
ゼラチンハイドロゲルは、ゼラチンを架橋して不溶化させたものです。
静電的相互作用を中心とする分子間相互作用により、生理活性物質を保持します。
生体内に埋入されると、内因性の分解酵素によって徐々に分解され、生理活性物質が徐放されます。
完全に分解吸収されるため、徐放終了後に取り出す必要はありません。
2.材料と製造
ゼラチンハイドロゲルは、ブタの皮膚から抽出したコラーゲンから作られています。
コラーゲンは完全に無菌的な状態にした後、非常に薄いシート状に加工されます。
このシートに生理活性物質（例：成長因子）をあらかじめしみこませ、徐放化されるような加工を施します。
3.安全性と応用
ゼラチンはアレルギーやアナフィラキシーが起こらない限り、体内で溶けてアミノ酸に分解されます。
この治療法は、心筋再生や他の組織再生の促進に応用されています。
例として、心臓幹細胞を移植した後にゼラチンハイドロゲルシートで心臓の表面を覆い、生理活性物質を徐放することで再生を促進する研究が行われています。
4.注意点
この治療法はまだ研究段階であり、科学的に有効と認められていません。
臨床試験により、人間の体内で心筋組織が増え、心臓の力が強くなり、心不全が治療できるかどうかを調査しています。
※この新しい治療法は、将来的に難治性の心不全患者に希望をもたらす可能性がありますが、さらなる研究と臨床試験が必要です。
突発性難聴 後遺症
突発性難聴の後遺症には、以下のようなものがありますが、必ずしもこれらの症状がすべての患者に現れるわけではありません。
また、後遺症の程度や影響は個人によって異なります。
1.聴力の持続的な低下
突発性難聴の症状が持続し、聴力が完全に回復しない場合があります。
これにより、日常生活において耳が聞こえにくい状態が続くことがあります。
2.耳鳴り
突発性難聴の後、耳鳴りが持続することがあります。
耳鳴りは耳に不快感をもたらし、睡眠障害や集中力の低下などの問題を引き起こすことがあります。
3.めまいや平衡感覚の障害
突発性難聴がめまいや平衡感覚の障害を引き起こすことがあります。
これは、内耳の機能が損なわれることによるもので、立ちくらみや回転感、不安定な歩行などが現れることがあります。
4.精神的な影響
突発性難聴の後、不安やうつ症状が現れることがあります。
聴力の低下や耳鳴りなどの症状が日常生活に影響を与え、精神的な負担を引き起こすことがあります。
5.生活の制限
聴力の低下やめまいなどの症状により、患者の生活に制限が生じることがあります。
例えば、騒音の多い場所や高い場所への行動を避ける、運転を控えるなどの制限が生じることがあります。
※突発性難聴の後遺症は、患者の生活に大きな影響を与える可能性があります。
そのため、適切な治療や支援を受けることが重要です。
定期的な医師のフォローアップや、必要に応じてリハビリテーションプログラムや精神的なサポートを受けることが、後遺症の管理に役立ちます。
