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結節性痒疹 症状

結節性痒疹は、皮膚の炎症性疾患の一種で、以下のような症状が特徴的です。

【主な症状】
・赤みを帯びた硬い丘疹(発疹)ができる

・丘疹は直径0.5-3cm程度の大きさ

・丘疹は痒みを伴う

・丘疹は主に体幹部(胸・背中など)に多発する

・発症と同時に発熱を伴うことがある

【経過】
・丘疹は数週間で自然に消退し、一時的に痂皮(かさぶた)ができる

・新しい丘疹が次々と現れるため、病変は持続する

・数ヶ月から数年と慢性的に経過する

発症すると強い痒みと体型的な皮疹のため、生活の質が著しく低下します。

原因が分かりにくい難治性の疾患ですが、適切な治療を受けることが大切です。

結節性痒疹 原因
結節性痒疹の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、以下のようなことが原因として考えられています。

1.免疫異常
・結節性痒疹は自己免疫疾患の一種と考えられている。

・何らかの要因で免疫システムが過剰に反応し、皮膚の細胞を攻撃するようになる。

・好中球やリンパ球などの免疫細胞が皮膚に集まり、炎症を引き起こす。

2.遺伝的素因
・一部の人に遺伝的な傾向があり、発症しやすい。

・特定の遺伝子変異が原因となっている可能性がある。

結節性痒疹の発症に関連する特定の遺伝子変異は、これまでのところ特定されていません。

しかしながら、いくつかの遺伝子が疾患の発症リスクと関連していることが報告されています。

* NLRP3遺伝子変異
– NLRP3はクリオピリン関連周期性症候群の原因遺伝子・

– この遺伝子の変異により、IL-1βなどの炎症性サイトカインが過剰に産生される。

– 結節性痒疹患者の一部にNLRP3変異が認められる。

*IL36RN遺伝子変異
– IL36RNはIL-36受容体アンタゴニストをコードする遺伝子。

– 変異があると炎症が過剰になりやすい。

– 一部の結節性痒疹患者でこの遺伝子変異が見つかっている。

*OSMR遺伝子変異
– OSMRはオンコスタチンM受容体をコードする。

– この受容体は皮膚の免疫応答に関与。

– 変異があると過剰な免疫反応が起こりやすくなる可能性。

※これらの遺伝子変異は、結節性痒疹の一部の患者でみられるものの、全ての患者に当てはまるわけではありません。

その他にも未知の遺伝的要因が存在すると考えられています。遺伝素因と環境要因が複合的に作用して発症に至ると推測されています。

3.感染症
・ウイルス感染や細菌感染が契機となり、発症に至る場合がある。

・感染により免疫系が過剰に刺激され、皮膚への攻撃が始まる。

4.ストレス
・強いストレスが免疫バランスを崩し、発症の引き金になる可能性。

・精神的ストレスのみならず、手術や外傷なども関与する。

5.薬剤
・特定の薬剤が原因で発症する薬剤性結節性痒疹も存在する。

結節性痒疹の発症には、複数の要因が関与していると考えられています。

遺伝的素因があり、何らかのトリガーとなる出来事が重なることで発症に至ると推測されています。

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結節性痒疹 治療

結節性痒疹の治療は主に対症療法が中心となり、症状を抑えることが目的です。

具体的な治療法は以下の通りです。

【外用療法】
・ステロイド外用剤
炎症を抑え、痒みを和らげる。強力なものから弱いものまで使い分ける。

・免疫抑制外用剤(タクロリムス、プラリア等)
ステロイド剤の代替として使用。

【内服療法】
・抗ヒスタミン剤
痒みを和らげる効果がある。第二世代が第一世代より副作用が少ない。

・ステロイド剤
中等症以上で内服が必要。長期使用には副作用の危険がある。

・免疫抑制剤
重症例や難治例に対して使用。メトトレキサート、シクロスポリンなど。

【その他】
・紫外線療法(PUVA療法など)
紫外線の炎症抑制作用を利用した治療法。

・デブリーディング
痂皮を除去し、新しい皮膚の再生を促す。

治療は患者の重症度に応じて、外用剤から開始し、内服や注射が必要な場合は追加されていきます。

難治性の場合は、免疫抑制剤や生物学的製剤の使用が検討されます。総合的な対症療法が必要な疾患と言えます。

結節性痒疹 新薬
デュピルマブとネモリズマブは、結節性痒疹の治療において比較的新しい生物学的製剤です。

【デュピルマブ】
・一般名はデュピルマブ。

・IL-4受容体αサブユニットとIL-13に対する完全ヒトモノクローナル抗体。

・Th2免疫反応を抑制することで、結節性痒疹の症状改善が期待される。

・2017年に欧州で承認された世界初の結節性痒疹治療薬。日本では2023年承認された。

・重症の結節性痒疹患者を対象に、2週間に1回の皮下注射が行われる。

【ネモリズマブ】
・一般名はネモリズマブ 。

・IL-31受容体Aに対する完全ヒトモノクローナル抗体。

・IL-31は強い痒みの原因となるサイトカインなので、これを阻害することで痒みが改善される。

・2021年に欧米で承認された結節性痒疹治療薬。日本では2024年承認された。

・中等症から重症の患者を対象に、4週間に1回の皮下注射が行われる。

これらの分子標的治療薬は、従来の対症療法薬に比べ、より根本的な免疫学的アプローチで結節性痒疹の症状コントロールを目指します。

重症例や難治性例において、新たな治療選択肢になると期待されています。

ただし、高額な治療費がネックとなる可能性があります。