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胃不全まひとは?

アメリカの研究によると、1型糖尿病患者の約40%、2型糖尿病患者の約10%が胃不全まひと報告されている。日本では残念ながら把握されていない。

胃不全まひ&機能性ディスペプシア
胃不全まひは、胃がまひして動きが悪くなる病気。通常は胃で消化して十二指腸へ送り出すまでが約1時間程度、胃不全まひの患者は3~4時間で排出されるという。

症状としては、食後の胃もたれ、早期満腹感、胃の痛み、吐き気やおう吐などが挙げられる。

原因は胃の動きをコントロールしている神経の異常によるものと考えられている。胃の神経には、全体の運動をコントロールする神経(迷走神経)と胃の中に埋め込まれていて胃を実際に収縮させている神経がある。

胃不全まひでは迷走神経の働きが悪かったり、胃の筋肉の中に埋め込まれている胃を収縮させる神経が傷ついていたりして、胃の働きが悪くなっている可能性が高いと考えられている。

機能性ディスペプシアは胃の形に異常がないのに働かなくなる。その結果、十二指腸へ送り出しが遅くなる。

胃不全まひはの1/3は、糖尿病によるものとアメリカの研究では報告されている。その他としては、パーキンソン病、胃・食道・肺の手術で分布する自律神経が傷ついた場合などに発症すると知られている。

なぜ糖尿病で胃の不調!?
糖尿病は様々な病気を引き起こすことが知られているが、その中に神経障害がある。自律神経は小さな血管の横に寄り添うような形で走っていて、その血管から栄養素や酸素を受け取っている。

糖尿病では血糖値のコントロールが正常にできなくなり、血管にダメージが生じてしまう。すると血管から受け取る栄養素や酸素が少なくなり、自律神経が傷つき胃不全まひが引き起こされると考えられている。

血糖コントロールが悪い場合は、薬を調節したり食事の内容を調節したりするなど、糖尿病の治療をしっかり行う。血糖コントロールが良くなれば、症状も治まりやすいといわれている。そして、症状に応じて対症療法として薬を使い、症状の改善を図っていく。

胃不全まひかどうかの診断は胃排出時間の検査を行って調べる必要がある。信頼性の高いアイソトープ法(シンチグラフィー)という検査法がある。

まず少量の放射性物質を含む食べものを摂取する。その後ガンマカメラを使って放射性物質が胃から出ていく速度を観察する。放射性物質が体のどの場所にあるかを観察することで、食物がどの位の速さで胃から出ていくのかが分かるという。

但し、放射性の物質を口にするということに対して日本では抵抗のある人も多く、現状はほとんど広まっていない。最近では放射性物質を使用しない新たな検査方法も開発されているという。

胃の不調を乗り切る食事術
胃不全まひでは、胃に負担のかかる食事は避けることが大事。できるだけよく噛んで、ゆっくりと食べることが推奨されている。

食べ物が2mm以下になると、胃から十二指腸へ流れやすくなるといわれている。1日3食と決めず、4~5回に分けて食べるのもよい方法と考えられる。

食べる品目としては、脂肪の多いものは胃からの排出を遅らせるので脂っぽいものを避け、低脂肪のものを選ぶことが推奨される。

日本食の場合、おかゆ、豆腐、味噌汁など元々胃にやさしい食べ物が沢山あるので、それらを上手に取り入れるようにしよう。