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脳腫瘍 寝起きの頭痛

寝起きの頭痛が続く場合、脳腫瘍の可能性はありますが、他の原因も多数考えられます。

頭痛の症状から脳腫瘍を疑う必要があるかどうかを見極めるポイントをいくつかご説明します。

1.頭痛の強さと持続時間
脳腫瘍による頭痛は通常、徐々に強くなり、持続する傾向にあります。

朝起きた時から強い頭痛がある場合は注意が必要です。

2.頭痛の部位
脳腫瘍による頭痛は、腫瘍の位置によって頭の特定の場所に現れることが多くなります。

片頭痛のように移動する頭痛ではありません。

3.随伴症状
脳腫瘍による頭痛には、吐き気、視覚障害、感覚異常、運動障害などの神経症状を伴うことがあります。

4.危険因子
脳腫瘍の危険因子(放射線被爆歴、家族歴など)があれば、頭痛の原因として考慮する必要があります。

5.他の原因の除外
慢性的な寝起き時頭痛の原因として、睡眠時無呼吸症候群や片頭痛、緊張型頭痛などの病気も考えられます。

頭痛が2週間以上続く場合や上記のような症状がある場合は、医師に相談することが大切です。

頭痛の原因を正確に診断し、適切な治療を行うことが重要になります。

脳腫瘍 種類 悪性 良性
脳腫瘍には大きく分けて2種類があります。

1.良性脳腫瘍
良性腫瘍は増殖速度が遅く、周囲の組織を破壊しないため、手術で摘出できれば根治できる可能性があります。

代表的なものとしては、

・髄膜腫

・下垂体腺腫

・聴神経腫瘍

などがあります。

良性でも腫瘍の場所によっては重要な脳の機能に影響を与える可能性があります。

2.悪性脳腫瘍
悪性腫瘍は急速に増殖し、周囲の正常組織を破壊・浸潤する性質があるため予後が悪くなります。

代表的なものは、

・神経膠腫(グリオーマ)
グレード1-4に分類され、グレードが高いほど悪性度が高くなります。

最も悪性度の高いグレード4のグリオブラストーマは非常に予後が悪く、早期発見、治療が重要です。

・転移性脳腫瘍
肺癌や乳癌などの他の臓器の癌が脳に転移したもので、原発巣によって症状が異なります。

悪性腫瘍は手術での完全摘出が困難な場合が多く、放射線療法、化学療法、分子標的治療薬などを組み合わせた集学的治療が選択されます。

早期発見と適切な治療が重要ですが、予後は依然として厳しい状況です。

定期的な検査での経過観察が欠かせません。

転移性脳腫瘍 原発性脳腫瘍
転移性脳腫瘍と原発性脳腫瘍の違いについて説明します・

【転移性脳腫瘍】
・他の臓器の癌(原発巣)が脳に転移して生じた腫瘍。

・最も多い原発巣は肺癌、乳癌、悪性黒色腫など。

・転移経路は血行性が主で、癌細胞が血流に乗って脳に運ばれる。

・単発または複数の腫瘍が見られる。

・症状は腫瘍の大きさや位置による頭痛、てんかん、麻痺など 。

【原発性脳腫瘍】
・脳自体から発生した腫瘍。

・グリオーマ(神経膠腫)、髄膜腫、聴神経腫瘍などがある。

・良性と悪性があり、悪性グリオーマの予後は極めて不良。

・発生部位や進行速度により様々な症状(頭痛、けいれん、視力障害など)。

・手術、放射線療法、化学療法などで治療する。

転移性は他の臓器癌の転移であり、原発性は脳腫瘍そのものです。

治療法の選択は、転移性か原発性か、腫瘍の種類や進行度合いにより異なります。

早期発見と適切な治療が予後を左右する重要な要素となります。

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転移性 原発性 治療

転移性脳腫瘍と原発性脳腫瘍の治療については、以下の点が異なります。

【転移性脳腫瘍の治療】
・原発巣の治療が最優先される

手術、化学療法、放射線療法などで原発巣を治療することが重要。

・脳転移の治療
1) 全脳照射 – 多発性の転移に対して行われる。

2) 定位放射線治療 – 単発性の小さな転移に適している。

3) 手術 – 症状を引き起こす大きな単発性転移に対して行われる。

4) 分子標的治療薬 – 特定の分子を狙った治療。

・緩和治療
進行期の場合は、症状緩和を目的とした治療になる。

【原発性脳腫瘍の治療】
・手術
可能な限り腫瘍を摘出する。良性なら根治が期待できる。

・放射線療法
術後に残存腫瘍に対して行われる。

悪性グリオーマでは標準治療。

・化学療法
放射線との併用が一般的。

テモゾロミドなどが使用される。

・分子標的治療、免疫療法
近年、新規治療法として期待されている。

〇分子標的治療
*腫瘍の増殖に関与する特定の分子を標的とする治療法。

*手術、放射線、化学療法に抵抗性を示す腫瘍に対する新たな選択肢。

主な分子標的治療薬
– VEGF(血管新生因子)阻害薬
ベバシズマブなどが転移性脳腫瘍や再発グリオブラストーマに使用

– EGFR(上皮増殖因子受容体)阻害薬
ゲフィチニブ、エルロチニブなど

– mTOR阻害薬
エベロリムスなど

*腫瘍の特性に合わせて、最適な分子標的薬を選択する

*標的以外の健常細胞への影響が少ないメリットがある

*薬剤耐性が問題となる場合も

〇免疫療法
*患者自身の免疫機能を活性化し、腫瘍細胞を攻撃させる治療法。

*キイトルーダ(ペムブロリズマブ)など、免疫チェックポイント阻害剤が使用される。

– 免疫細胞(T細胞など)の活性化を阻害する制御機構を遮断し、腫瘍に対する攻撃を促進

– 再発グリオブラストーマに対する第3相治験が行われている

– 自己免疫疾患のリスクなどの課題もある

※分子標的治療と免疫療法は、従来の治療に抵抗性のある脳腫瘍に対する新たな可能性として期待されています。

しかし、さらなる改良が必要とされる分野でもあります。

・症状緩和治療
進行期では、対症療法や緩和ケアに重きが置かれる。

転移性は原発巣への治療が最優先され、脳転移に対しては様々な局所療法が行われる。

一方、原発性は手術が第一選択で、術後は放射線、化学療法を中心に集学的に治療される点が大きな違いです。

いずれも早期発見と適切な治療が重要となります。

悪性脳腫瘍 致死率
悪性脳腫瘍、特に高グレードの神経膠腫(しんけいこうしゅ=グリオーマ)は予後不良で、致死率が非常に高い腫瘍です。

グレード4のグリオブラストーマについて、
・5年生存率は約5%と報告されている。

・診断時の中央生存期間は約15ヶ月程度。

・標準治療(手術、放射線、テモゾロミド化学療法)後も、ほとんどの患者さんで2年以内に再発する。

・再発後の予後は極めて不良で、中央生存期間は約6~9ヶ月程度。

グレード3の退形成性星細胞腫も比較的予後は悪く、
・5年生存率は約27%程度。

・放射線療法などの治療を受けても、多くは10年以内に死に至る。

低グレードの神経膠腫は緩徐な経過をたどり、予後は比較的良好ですが、高グレードへと進行するリスクがあります。

脳腫瘍の致死率は、腫瘍の組織型、悪性度(グレード)、患者の年齢、全身状態等により大きく異なりますが、特に悪性グリオーマは現時点で最も予後不良な腫瘍の一つといえます。

集学的治療による延命と、新規治療法の開発が切望されています。

早期発見と適切な治療が重要となります。