腎臓がんの原因は特定されているわけではありませんが、いくつかのリスク要因が関与しています。
以下は、一般的な腎臓がんの原因やリスク要因のいくつかです。
1.喫煙
喫煙は腎臓がんの主要なリスク要因の一つとされています。
たばこの煙に含まれる有害な物質が腎臓に悪影響を与える可能性があります。
2.高血圧
長期間にわたり高血圧を抱えていると、腎臓がダメージを受けやすくなり、それががんの発生リスクを増加させる可能性があります。
3.遺伝因子
腎臓がんは遺伝的な要因も影響を与える可能性があります。
家族歴に腎臓がんがある場合、遺伝的な要素が関与している可能性があります。
4.男性での発症率
一般的に男性の方が女性よりも腎臓がんにかかりやすい傾向があります。
5.肥満
肥満は様々ながんのリスクを増加させる要因となります。
過剰な体重が腎臓に対して過度の圧力をかけ、がんの発生リスクを増加させる可能性があります。
6.特定の遺伝子変異
特定の遺伝子変異が腎臓がんのリスクを増加させることがあります。
・VHL遺伝子変異
von Hippel-Lindau（VHL）遺伝子は、腎細胞がん（腎細胞癌）の発生に関連しています。
VHL遺伝子の変異が存在すると、腎臓の血管組織や近くの組織で腫瘍が発生する可能性が高まります。
この遺伝子変異は、Von Hippel-Lindau病と呼ばれる遺伝性のがん症候群とも関連しています。
・MET遺伝子変異
MET遺伝子は、腎臓がんの一種である進行性腎細胞がんと関連しています。
MET遺伝子の変異が存在すると、がんの成長や転移に影響を与える可能性があります。
これらの遺伝子変異は、一般的な腎臓がんのごく一部を説明するものであり、他にも多くの遺伝子や分子メカニズムが関与している可能性があります。
ただし、これらの変異が必ずしも全ての腎臓がんに関連しているわけではありません。
※これらの要因は一般的な傾向であり、個々のケースには異なる要因が影響している可能性があります。
腎臓がんの発生に関して心配がある場合は、専門家に相談して詳細な情報とアドバイスを得ることが重要です。
腎臓がん 症状
腎臓がんの症状は初期段階ではほとんど現れないことがあり、進行してから症状が明らかになることがあります。
以下は、腎臓がんの一般的な症状ですが、これらが必ずしも全ての患者に当てはまるわけではありません。
1.血尿（赤い色の尿）
腎臓がんの最も一般的な症状の一つであり、腫瘍が腎臓から出血を引き起こすことがあります。
血尿は一時的である場合もありますが、持続的な場合は異常のサインとなります。
2.腰の痛みまたは腎臓領域の不快感
腫瘍が腎臓の近くの組織に圧迫をかけると、腰のあたりに痛みや不快感を引き起こすことがあります。
3.腫れや腫瘤
腎臓がんが進行すると、腫瘤が腹部や腰の領域で触れられることがあります。
ただし、腫れがあるからといって必ずしもがんであるとは限りません。
4.疲労感
腎臓がんが進行すると、体のエネルギーレベルが低下し、疲労感が生じることがあります。
5.体重減少
体重が急激に減少することがある。
6.発熱
進行した場合には、発熱が生じることがあります。
※これらの症状が出現した場合、早期に医師の診断を受けることが重要です。
ただし、これらの症状が腎臓がんを示すものではない場合もありますので、正確な診断のためには医師の詳細な検査が必要です。
腎臓がん 治療
腎臓がんの治療は、患者の状態やがんの進行度によって異なります。
以下は、一般的な腎臓がんの治療法です。
1.手術
初期段階の腎臓がんでは、腎摘出手術（腎臓全摘出または一部摘出）が一般的です。
手術によって腫瘍が取り除かれ、周囲の健康な組織も切り取られることでがんの再発を防ぎます。
最近では、腎機能を保護するために部分的な腎摘出も行われることがあります。
2.放射線療法
放射線療法は、がん細胞を破壊するために高エネルギーの放射線を使用します。
一部の患者では手術後や進行した場合に補助的に行われることがあります。
3.化学療法
化学療法は、がん細胞を攻撃するために抗がん剤を使用する治療法です。
腎臓がんに対する標準的な治療法ではあまり使用されませんが、一部の場合には考慮されることがあります。
4.標的治療薬
特定の分子や細胞を標的とする薬物を使用した治療法があります。
これには、腎臓がんに対するターゲットとなる薬物が含まれます。
例えば、ターゲット治療薬としての多様な薬物が存在します。
5.免疫療法
免疫療法は、患者の免疫系を活性化させ、がん細胞に対する攻撃を増強する治療法です。
腎臓がんにおいて、免疫チェックポイント阻害薬が使用されることがあります。
※治療の選択は個々のケースに依存し、患者の年齢、一般的な健康状態、腫瘍の大きさや進行度によって異なります。
医師との十分な相談と検査が治療計画の立案に欠かせません。
腎臓がん 生存率
腎臓がんの生存率は、がんの進行度や種類によって異なりますが、一般的には早期に発見されれば高いといわれています。
5年生存率という指標で表すと、以下のような数値になります。
・ステージ1：94.9%
がんが腎臓の中だけにあり、直径が7cm以下です。治癒率が高く、手術で完全切除が可能な場合が多いです。
・ステージ2：87.9%
がんが腎臓の中にとどまり、直径が7cmより大きいです。手術で腎臓を全摘する必要がありますが、予後は比較的良好です。
・ステージ3：76.5%
がんが腎臓の外に広がっていますが、周囲の脂肪には到達していません。
または、近くのリンパ節に1個だけ転移があります。
手術で腫瘍を切除することができますが、薬物療法や放射線療法などの補助治療が必要な場合があります。
・ステージ4：18.7%
がんが最も外側の膜を超え、他の臓器に広がっているか、リンパ節転移が2個以上あります。
根治的な手術は困難で、薬物療法や放射線療法などの集学的治療が中心となります。
予後は不良です。
腎臓がんになるリスクを減らす方法
・喫煙をやめる。
喫煙は腎臓がんの危険因子であり、禁煙することでリスクを低下させることができます。
・高血圧をコントロールする。
高血圧は腎臓がんの発症に関係しており、血圧を正常に保つことでリスクを減らすことができます。
・肥満を防ぐ。
肥満は腎臓がんの発生に影響すると考えられており、適正な体重を維持することでリスクを下げることができます。
・バランスの良い食事をとる。
野菜や果物などの食物繊維やビタミンが豊富な食品を摂取することで、がんの予防に効果があるとされています。
・長期間のNSAID服用を避ける
NSAIDは炎症を抑える効果がある鎮痛剤ですが、4年以上服用すると腎臓がんのリスクが上がるという報告があります。
以上が、腎臓がんのリスクを減らす方法です。
定期的な健康診断や人間ドックなどで腎臓の状態をチェックすることも大切です。
腎臓がん 合併症
腎臓がんの合併症は、主に手術や薬物療法によって起こる可能性があります。
手術の合併症としては、以下のようなものがあります1234。
1.出血
手術中に腎臓の周囲の大きな血管を傷つけてしまうと、大量の出血が起こり、輸血や塞栓術（血管を塞ぐ手術）が必要になることがあります。
2.周囲臓器の損傷
手術中に腎臓の近くにある臓器（脾臓、胆嚢、腸、膵臓など）を傷つけてしまうと、感染や腹膜炎などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。
3.腸閉塞
手術の際に腸管が癒着してしまい、術後に腸の通りが悪くなることがあります。
腸閉塞になると、腹痛や吐き気などの症状が出て、再手術が必要になることがあります。
4.縫合不全
腎部分切除術を行った場合、腎臓の縫合部分が十分に癒着しないと、出血や尿漏れなどの合併症を起こすことがあります。
薬物療法の合併症としては、以下のようなものがあります。
1.分子標的薬
高血圧、発疹、下痢、疲労感、甲状腺機能低下症などの副作用が起こることがあります。
また、肝臓や心臓などの臓器に障害を引き起こすこともあります。
2.免疫療法
発熱、関節痛、発疹、下痢などの副作用が起こることがあります。
また、自己免疫疾患（自分の免疫が正常な組織を攻撃する病気）を引き起こすこともあります。
