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過敏性肺炎とは?

過敏性肺炎はアレルギー反応で発症。放っておくと慢性化し、呼吸困難などを引き起こすこともある。

原因
1.鳥由来のたんぱく質
羽毛に付着している微細なたんぱく質ブルームや鳥のふんが原因。羽毛製品を使う冬に症状が現れやすい。

2.加湿器やエアコンのカビや細菌
フィルターや水のタンクで繁殖するカビや細菌が原因。

コロナ禍で在宅時間が増え、加湿器やエアコンの使用頻度が高まり、これらが原因の肺炎が増加していると考えられている。

3.トリコスポロン 白いカビ
トリコスポロンは、高温多湿な浴室や脱衣所、結露ができる窓際などで木材に発生する白いカビ。

このトリコスポロンが原因の肺炎は、カビの胞子が飛ぶ夏に発症しやすい。

その他にも牧草につく細菌、塗料に含まれる化学物質、きのこの胞子など、100~200種類の原因物質が関係するといわれている。

ブルームやカビを吸い込むと、非常に小さいので、細気管支や肺胞まで入りこむ。

それが繰り返されると、アレルギー反応が起こることがある。

ブルームやカビを異物とみなしてリンパ球が増加し、その結果、自分の細気管支や肺胞を攻撃してしまい、肺に炎症が起こるのが過敏性肺炎。

症状
肺胞に炎症が起こるとガス交換が十分に行えないので、息切れが起こるようになる。

また全身のアレルギー反応として、せきや発熱といった症状も現れる。

過敏性肺炎には、痰がほとんど出ないという特徴もある。

一般的な肺炎は、細菌感染の増殖に反応して白血球が集まり、その結果として細菌などをからめとろうとして痰ができる。

過敏性肺炎は、感染ではなく、少量の異物に対するアレルギーで起こるので、白血球が反応せず痰ができない。

また様々な研究から、慢性過敏性肺炎の患者の10%程度に肺がんが発症すると考えられている。

セルフチェック
・毎年同じ季節に 2週間以上せきが出る。

・羽毛布団やダウンジャケットなどの羽毛製品を使う。

・浴室など水回りに白カビが生えている。

・家の掃除をあまりしていない。

・旅行や出張などで家や職場を数日間離れると症状が軽減、もしくは出ない。

主な検査
画像検査
胸部エックス線検査やCT検査で、肺炎の炎症による特有な影の広がりの有無を調べる。

影は肺全体にすりガラスのように現れる。

抗体検査
羽毛に付着しているブルームや浴室や、窓際などの木材に生えるトリコスポロンなどのアレルギーの原因となる物質(抗原)に対する抗体の有無を調べる。

抗原回避試験
原因物質が生活環境の中にあるか確認するため抗原回避試験を行うこともある。

2週間程度入院して環境を変えることで、肺活量や血液検査の数値が改善すれば、過敏性肺炎と診断でる。

自分んでできる対策
鳥関連過敏性肺炎
羽毛製品の使用や鳥の飼育をやめ、駅や公園などの野鳥や鳥のフンもできるだけ避ける。

冬の満員電車など避けられない場合は、N95という規格の防塵マスクを使うことが推奨される。

夏型過敏性肺炎
風呂場など湿気の多い場所の排水や換気を改善したり、カビが生えやすい腐った木材を除去したりする。

自宅のリフォームや、それが無理な場合は引っ越しが必要になることもある。

加湿器やエアコンが原因であれば、清潔に保つようにする。

加湿器は細菌やカビが繁殖しにくい加熱式を選び、こまめに水の交換と掃除を行う。

治療
軽度
治療の基本は、原因物質を避けること。

軽度でも入院する場合、症状に合わせて炎症を抑えるステロイド薬による治療を行う。

中等度
ステロイド薬の飲み薬を短期間服用して炎症を抑える。

呼吸困難がある場合、3日間集中的に多量のステロイド薬を点滴で投与(ステロイドパルス療法)。

その後、のみ薬のステロイド薬の服用を続ける。

慢性・重症
ステロイド薬や免疫抑制薬、抗線維化薬など飲み薬を使って治療。

呼吸困難が続く場合、退院後も機器を使って酸素を吸入する在宅酸素療法を行うこともある。