余命とは、ある病気にかかった人があとどれくらい生きられるかという期間のことです。
平均余命とは、同じ病気の人が100人いたとき、半分の50人が亡くなる時期を示します。
平均余命はあくまで目安であり、個人差があることに注意が必要です。
食道がんの余命は、食道がんの進行度（ステージ）や治療法によって大きく異なります。
食道がんのステージは0から4まであり、数字が大きくなるほど病気が進んでいることを表します。
ステージ4はさらにaとbに分けられ、遠隔転移（食道から離れた臓器にがんが広がること）がある場合はステージ4bとなります。
食道がんのステージ別の5年生存率は、以下のようになっています。
・ステージ0：80.4%
・ステージ1：78.8%
・ステージ2：51.3%
・ステージ3：26.8%
・ステージ4a：9.2%
・ステージ4b：9.2%
5年生存率とは、その病気になった人が5年後に生きている確率のことです。
5年生存率が高ければ高いほど、治療効果が高いと考えられます。
食道がんの5年生存率は、がん全体と比べて低い数値になっています。
食道がんのステージ4の平均余命は、ある大学病院のグラフによると約7カ月というデータがあります。
このデータは食道がん以外で死亡した人も含んでいます。
手術を受けることができた人に限定するとステージ4の平均余命は約1年と考えられます。
食道がんの余命は、ステージや治療法だけでなく、個人の年齢や体力、合併症の有無、精神状態などにも影響されます。
また、食道がんの治療は日々進歩しており、新しい治療法や薬が開発される可能性もあります。
統計は参考になりますが、一人ひとりの状況や経過は異なります。
医師や看護師とよく相談しながら、自分にとって最善の治療やケアを選択してください。
食道がん 症状
食道がんは、食道（食べ物が口から胃に移動する管状の器官）に発生するがんのことです。
一般的な食道がんの症状ですが、個人によって異なる場合があります。
もし症状が疑われる場合は、早期に医師の診察を受けることが重要です。
1.嚥下困難（飲み込みの障害）
食道がんが進行すると、食べ物や飲み物を飲み込む際に苦痛や困難を感じることがあります。
特に大きなかたまりや堅い食べ物を飲み込むのが難しくなります。
2.胸痛や胸部不快感
食道がんが進行すると、胸部に痛みや不快感が生じることがあります。
これはしばしば食道がんの主な症状の一つとされています。
3.体重減少
食道がん患者は、嚥下が難しくなるために食事が制限され、体重が減少することがあります。
4.慢性的な咳
食道がんが気管に近づくと、慢性的な咳や呼吸困難が生じることがあります。
5.声の変化
食道がんが進行すると、声帯や周辺組織に影響を与え、声がかすれるか変わることがあります。
6.吐血
食道がんが進行すると、食道の血管が損傷され、吐血が発生する可能性があります。
※これらの症状が単独または複数同時に現れる場合、専門家の評価が不可欠です。
食道がんは早期に発見されると治療の成功率が高まりますので、症状が現れた場合は迅速な医療相談が重要です。
食道がん 予後
食道がんの予後とは、食道がんの診断後にどれくらい生きられるか、または治癒する可能性があるかということです。
食道がんの予後は、食道がんの種類や進行度（ステージ）によって大きく異なります。
一般的に、食道がんは早期に発見されれば治療効果が高く、予後も良好ですが、進行してしまうと治療が困難になり、予後も悪化します。
食道がんの種類には、扁平上皮がんと腺がんの2つがあります。
・扁平上皮がん
食道の内側の粘膜から発生するがんで、日本人の食道がんの約9割を占めます。
扁平上皮がんは飲酒や喫煙と関連していると言われています。
・腺がん
食道の下部に発生するがんで、食道胃逆流症から発生するバレット食道に現れやすいタイプです。
腺がんは胃酸の分泌が多くなりやすいヘリコバクターピロリ陰性の人、肥満の人、食事内容が欧米化している人になりやすいと言われています。
・ステージ
食道がんの進行度（ステージ）は、がんの食道壁での深さ、周りのリンパ節への転移の有無や個数、遠隔転移の有無の3つの因子で決定されます。
ステージは0から4まであり、数字が大きくなるほどがんのひろがり具合が進んでいることを表します。
ステージ4はさらにaとbに分けられ、遠隔転移がある場合はステージ4bとなります。
・5年生存率と平均余命
食道がんの予後を表す指標として、5年生存率と平均余命があります。
5年生存率とは、食道がんと診断された人のうち、5年後までに生きている確率のことです。
平均余命とは、食道がんと診断された人のうち、半分の人が亡くなる時期のことです。
これらの数値はあくまで目安であり、個人差があることに注意が必要です。
食道がん全体の5年生存率は、男性で40.6%、女性で45.9%、男女合計では41.5%となっています。
これはがん全体の5年生存率（64.1%）と比べて低い数値です。
しかし、ステージ別に見ると、ステージ0やステージ1の場合は5年生存率が80%以上と高くなります。
逆に、ステージ4の場合は5年生存率が10%以下と低くなります。
ステージ4の平均余命は約7カ月と言われています。
※食道がんの予後は、食道がんの種類や進行度によって大きく異なりますが、早期発見が重要です。
食道がんの症状としては、食べ物が飲み込みにくい、胸や喉に違和感がある、体重が減る、咳や声がれが続くなどがあります。
これらの症状に気づいたら、早めに医師に相談しましょう。
食道がんの予防としては、飲酒や喫煙を控える、野菜や果物を多く摂る、肥満を避ける、食道胃逆流症の治療を受けるなどが有効です。
食道がん サバイバー
食道がんサバイバーとは、食道がんと診断された後に5年以上生き続けている人のことを指します。
食道がんは、食道の粘膜や筋肉にできる悪性腫瘍のことで、日本では男性に多く見られるがんの一つです。
食道がんは早期に発見されれば治療効果が高く、予後も良好ですが、進行してしまうと治療が困難になり、予後も悪化します。
食道がんの予後は、食道がんの種類や進行度（ステージ）によって大きく異なります。
食道がんサバイバーの数は、日本では正確には分かっていませんが、食道がんの診断時の5年相対生存率は、男性で40.6%、女性で45.9%、男女合計では41.5%となっています。
これは、がん全体の5年相対生存率（64.1%）と比べて低い数値です。
食道がんサバイバーの方々は、治療後も様々な困難に直面することがあります。
例えば、食道の狭窄や瘻孔（ふうこう）の形成、ダンピング症候群、栄養不足、体重減少、嚥下障害、胸や喉の違和感、咳や声がれなどの症状が残ることがあります。
また、精神的なストレスや不安、孤立感、自己肯定感の低下などの心理的な問題も抱えることがあります。
食道がんサバイバーの方々は、これらの問題に対処するために、医療者や栄養士、看護師、心理士などの専門家のサポートを受けることが重要です。
食道がんサバイバーの方々は、自分の経験や知識を他の食道がん患者や家族に共有することで、互いに励まし合ったり、情報交換したり、支え合ったりすることができます。
日本では、食道がんサバイバーの方々が中心となって、食道がん患者支援団体「食がんリングス」を立ち上げたり、ブログやSNSで自分の体験を発信したりしています。
これらの活動は、食道がんの早期発見や予防、治療や生活の改善、社会的な認知度の向上などに貢献しています。
食道がんサバイバーの方々は、食道がんと闘う勇気と希望の象徴と言えるでしょう。
