年間12万人が脳卒中で亡くなるといわれている。一命をとりとめたとしても半数以上に後遺症が残ってしまうという。
2021年に脳卒中治療ガイドラインが6年ぶりに大改訂された。新たに推奨される手術や治療薬などをご紹介する。
原因は心臓
新ガイドラインは心臓が原因の脳卒中の治療強化。
脳卒中は、脳梗塞と脳出血に分けられる。
<脳の血管が詰まる脳梗塞>
脳梗塞の2割が心臓が原因。
心臓の動きが乱れる不整脈の心房細動になると、心臓の中に血栓ができて脳に運ばれ脳梗塞になることがある。心原性脳塞栓症。
重症化しやすい。心房細動ではゴルフボール位の血栓ができることもあるという。7~8人に1人死亡するといわれている。
心房細動の患者数は健診で発見される人だけで、約80万人。実際は100万人を超すと考えられている。
血栓を防ぐ治療薬の抗擬固薬血を固まりにくくする薬がある。
近年副作用の少ない薬が登場。きちんと飲めば発症を6割抑えるという。
<心房細動で抗擬固薬が勧められる人>
心不全
高血圧
糖尿病
65歳以上
心筋症
心房細動が長期
低体重
腎臓病
心臓の手術で脳梗塞を防ぐ
脳卒中のリスクが高い心房細動の患者は手術を考えて良い。
血栓ができやすい「左心耳」を切ったり埋めたりすることで、脳梗塞を防ぐことが可能。
抗擬固薬は血液の流れが良過ぎて脳出血のリスクを高めることがある。
高血圧などで抗擬固薬を使えない人は、手術が選択肢に入ってくる。
ガイドラインで推奨しているのは、他の心臓手術に併せて実施するというもの。
左心耳の手術を追加してもリスクが大幅に増えることはない。
左心耳閉鎖術といって、足の付け根からカテーテルを使って左心耳までもっていき血栓が出ないようにフタをする方法もある。
手術時間は1時間程度、リスクは比較的に低い。全国で約130病院で実施、保険適用。興味のある方は主治医にご相談下さい。
血圧、タバコ新基準
<血圧>
旧基準 140/90mmHg未満
新基準 130/80mmHg未満
75歳未満の成人 診察室血圧。
高血圧は脳卒中の最大のリスク、脳出血の死亡リスクは140/90mmHg以上で3.5倍。
1607/100mmHg以上で6倍。
<電子タバコ>
リスクを減らす十分な科学的な根拠はない。
禁煙が推奨される。