がんになった方の多くが痩せるという経験をするかもしれない。がん悪液質は、がんが進行して体重が減少し体力がなくなる状態をいう。
そのままでは必要な治療を受けられなくなったり、生活の質も落ちてしまう。悪液質は病気なので、早く発見して治療することが大切。
悪液質の詳細
がんだから痩せるのは仕方がないと考えられてきたが、体重が減ることを病気として捉えるようになった。
効果的な治療が続けられない恐れもある。体力だけではなく、心理的にも落ち込むこともある。
がん細胞が出すサイトカインが脳に作用して食欲を抑制する。
また筋肉減少や脂肪燃焼もさせるので、エネルギーを消費させ痩せてくると考えられている。
がんによって、エネルギーの代謝に大きな異変が起きている。
<悪液質の診断基準>
半年間で5%を超える体重減少
<悪液質のサイン>
筋肉が減るため足腰が弱り、疲労感やだるさを感じる。
外出がおっくう、階段がつらい、長い間立つことができないなどが挙げられる。
<栄養療法>
栄養士の指導のもと、不足した栄養素を食事やサプリメントなどで補う。
新薬が登場
アナモレリン(2021年承認)
脳に作用して食欲増進。
成長ホルモンの分泌を促し筋肉合成を助ける。
非小細胞肺がん、すい臓がん、大腸がん、胃がんの4つの進行がんで保険適用。
副作用として、血糖値上昇、まれに不整脈、肝障害を起こすこともある。
費用は、3割負担の場合 月5,000円程度。
がんに負けない体操
低い強度で長期間続けることが目的で日々の運動習慣をつける。
1.立ち上がり運動
イスに座って腕を組んで立ち上がる。10回。
2.膝伸ばし運動
イスに座ったまま膝を伸ばす。左右10回。
3.かかと上げ運動。
立ってイスの背もたれを持ち、かかとを上げる。10回。
4.脚上げ運動。
イスに座ったまま脚を上げる。左右10回。
5.脚を開く運動。
立ってイスの背もたれを持ち、脚を開く。左右10回。
※1日3セット目標。
息切れや転倒に気をつけて行う。