悪性脳腫瘍は、脳や脊髄など中枢神経系に発生する悪性の腫瘍であり、がんの一種です。
これらの腫瘍は脳や脊髄の正常な組織に影響を与え、機能の障害や症状を引き起こす可能性があります。
悪性脳腫瘍の主な種類について説明します。
1.グリオーマ(Glioma)
グリオーマは、脳や脊髄のグリア細胞から発生する腫瘍の総称です。
グリア細胞は、脳や脊髄で神経細胞を支持し、栄養を提供する役割を担っています。
グリオーマには、アストロサイトーマ、オリゴデンドログリオーマ、エピメンジオーマなどがあります。
2.アストロサイトーマ(Astrocytoma)
アストロサイトーマは、アストロサイトと呼ばれるグリア細胞から発生する腫瘍で、一般的な脳腫瘍の一種です。
グレードによって分類され、グレードが高いほど悪性度が高くなります。
3.オリゴデンドログリオーマ(Oligodendroglioma)
オリゴデンドログリオーマは、オリゴデンドロサイトと呼ばれるグリア細胞から発生する腫瘍です。
一般的に、頭痛やてんかんなどの症状を引き起こします。
4.エピメンジオーマ(Ependymoma)
エピメンジオーマは、脳室周囲のエピメンジオーサイトから発生する腫瘍です。
主に小児に発生することが多く、脳脊髄液の循環を妨げることがあります。
※これら以外にも、中枢神経系にはさまざまな悪性脳腫瘍が存在し、それぞれが異なる特徴や治療法を持っています。
診断や治療は専門の医師や専門機関で行われるべきであり、症状や病状に応じて適切なアプローチが選択されます。
悪性脳腫瘍 症状
悪性脳腫瘍の症状は、脳の位置や腫瘍の大きさ、成長の速さなどによって異なります。
一般的な症状は次のとおりですが、個人によって経験する症状は異なる可能性があります。
1.頭痛(脳圧亢進症状)
頭痛は、脳腫瘍の最も一般的な症状の一つです。
腫瘍が圧迫して脳の周囲の組織に影響を与えるために生じるもので、痛みの程度や頻度は状況によって異なります。
2.てんかん発作
脳腫瘍が神経細胞や神経組織に影響を与えることで、てんかん発作が発生することがあります。
てんかんは、意識や筋肉の制御が失われる短期的な状態を含みます。
3.神経学的症状
脳腫瘍が特定の脳領域に圧迫を与えることで、様々な神経学的症状が現れる可能性があります。
例えば、感覚の異常、運動障害、視覚・言語障害などがあります。
4.認知機能の変化
脳腫瘍が脳の機能を妨害することで、認知機能に変化が現れることがあります。
これには、記憶の悪化、集中力の低下、意識の混濁、判断力の低下などが含まれます。
5.吐き気や嘔吐
脳腫瘍が脳脊髄液の流れを妨害することで、吐き気や嘔吐が生じることがあります。
これは、頭痛と共に頭蓋内圧の増加に関連して起こることが多いです。
6.感情や行動の変化
脳腫瘍が特定の脳領域を影響することで、感情や行動に変化が現れることがあります。
不安、うつ症状、興奮状態、過度の情緒的反応などが報告されています。
※これらの症状が複数同時に現れる場合もあり、症状の進行や重症度は腫瘍の種類や進行状況によって異なります。
重要なのは、これらの症状が現れた場合には早期に医療専門家に相談し、適切な検査と治療を受けることです。
悪性脳腫瘍 治療法
悪性脳腫瘍の治療法は、腫瘍の種類、大きさ、位置、進行度合い、患者の年齢や健康状態などによって異なります。
複数の治療法を組み合わせることが一般的です。
悪性脳腫瘍の主な治療法を説明します。
1.手術(腫瘍摘出)
脳腫瘍の手術は、腫瘍を摘出するための主要な治療法です。
外科医は腫瘍の種類や位置、周囲の脳組織への影響を考慮しながら、腫瘍を可能な限り取り除きます。
手術の目的は腫瘍の一部または大部分を取り除き、症状の緩和と生存期間の延長を図ることです。
2.放射線療法
放射線療法は、手術後の残存腫瘍組織を縮小したり、腫瘍の再発を抑制したりするために使用されます。
高エネルギーの放射線を腫瘍に照射することで、腫瘍細胞の増殖を抑制します。
3.化学療法
化学療法は、抗がん剤を使用して腫瘍の成長を抑制する治療法です。
通常は放射線療法と併用されることがあり、予防的な治療や転移した腫瘍の制御に用いられます。
4.ターゲット治療
特定の分子や細胞の機能を標的にするターゲット治療薬があります。
これらの治療薬は、腫瘍細胞に対して選択的に作用し、正常細胞への影響を最小限に抑えます。
5.免疫療法
免疫療法は、悪性脳腫瘍の治療にも応用されています。
これには、免疫チェックポイント阻害剤やがんワクチンなどが含まれます。
6.対症療法
症状の軽減や患者の生活の質を向上させるための対症療法も重要です。
これには、疼痛管理、てんかんの管理、身体療法、リハビリテーションなどが含まれます。
※治療計画は、専門の医師チーム(神経外科医、放射線腫瘍科医、腫瘍内科医など)が患者の状態を評価し、最適な治療法を決定するために協力します。
個々の症例に応じて最適な治療法を選択することが重要です。
悪性脳腫瘍 最新の治療法
悪性脳腫瘍は、脳の細胞や神経などにできるがんで、手術や放射線治療、化学療法などの従来の治療法では効果が限られることが多いとされています。
そのため、新たな治療法の開発が求められています。
最新の治療法としては、以下のようなものがあります。
・ウイルスを使った治療法
がん細胞だけで増えて破壊する特殊なウイルスを使った薬「テセルパツレブ」が2021年11月に日本で承認されました。
この薬は、手術で摘出した腫瘍部位に直接注入し、ウイルスががん細胞を感染させて死滅させる仕組みです。
この治療法は、再発した悪性星細胞腫(グリオブラストーマ)に対して有効であることが臨床試験で示されています。
・免疫チェックポイント阻害剤
免疫チェックポイント阻害剤は、がん細胞に対する免疫応答を強化することでがんを攻撃する薬です。
悪性脳腫瘍に対しても、免疫チェックポイント阻害剤を放射線治療や化学療法と併用することで、生存期間の延長や腫瘍の縮小などの効果が期待されています。
現在、日本ではニボルマブやペムブロリズマブなどの免疫チェックポイント阻害剤が悪性脳腫瘍に対する適応外使用として行われています。
・遺伝子治療
遺伝子治療は、遺伝子を操作してがん細胞を死滅させたり、免疫細胞を活性化させたりすることでがんを治す方法です。
悪性脳腫瘍に対しても、遺伝子治療の開発が進められています。
例えば、Toca 511というウイルスベクターによって自殺遺伝子をがん細胞に送り込み、その後にToca FCという化学物質を投与することで、自殺遺伝子が活性化してがん細胞を死滅させる仕組みです。
※これらの最新治療法はまだ確立されたものではありませんが、今後の臨床試験や基礎研究によってさらに改善される可能性があります。
参考になれば幸いです。


