慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome、CFS)は、持続的な疲労や体力の低下、集中力や記憶力の低下など、身体的および精神的な症状が特徴的な疾患です。
以下に、一般的な慢性疲労症候群の症状をいくつか挙げますが、個々の症状やその程度は人によって異なる場合があります。
1.持続的な疲労感
他の休息や睡眠によって解消されない、持続的な疲労感が特徴です。
この疲労感は、通常の身体的または精神的な活動によっても引き起こされます。
2.睡眠障害
CFS患者は、不眠症、過眠症、深い睡眠の欠如など、さまざまな睡眠障害を経験することがあります。
また、睡眠が不十分であっても、疲労感が改善されないこともあります。
3.筋肉痛や関節痛
慢性的な筋肉痛や関節痛が生じることがあります。
これは、筋肉や関節の炎症によるものである場合もありますが、その原因は完全には理解されていません。
4.認知機能の障害
集中力の低下、記憶力の低下、情報処理の遅れなど、認知機能の障害が現れることがあります。
これは、通常の日常生活や仕事に支障をきたすことがあります。
5.自律神経系の異常
心拍数の変化、血圧の変動、めまい、発汗の異常など、自律神経系の異常が見られることがあります。
6.免疫機能の異常
免疫機能の変化が起こり、患者が感染症にかかりやすくなることがあります。
また、体内に慢性的な炎症が生じることもあります。
※これらの症状は、しばしば日常生活において患者の機能や生活の質を著しく低下させることがあります。
慢性疲労症候群は、現在まだ完全に理解されていない部分が多く、診断や治療には専門的なアプローチが必要です。
診断は他の医学的疾患と区別するために、症状の経時的な継続性や他の診断基準に基づいて行われることが一般的です。
慢性疲労症候群 原因
慢性疲労症候群(CFS)の原因は、まだ完全には解明されていませんが、複数の要因が関与している可能性があります。
以下に、一般的に考えられている慢性疲労症候群の原因に関するいくつかの仮説を挙げます。
1.ウイルスや細菌感染
ウイルス(エプスタイン・バールウイルスやヒトヘルペスウイルス6など)や細菌(マイコプラズマ、クラミジアなど)による感染が引き金となることがあるという仮説があります。
しかし、これらの感染が必ずしもCFSを引き起こすとは限りません。
2.免疫系の異常
免疫系の機能が異常を示すことがあり、これがCFSの発症に関与している可能性があります。
ただし、これが原因か結果か、またどのようにしてCFSの症状が引き起こされるのかはまだよく理解されていません。
3.神経内分泌系の異常
神経内分泌系(自律神経系やホルモンなど)の異常がCFSの原因である可能性があります。
特にストレス応答に関連したホルモンの異常が関与する可能性が指摘されています。
4.遺伝子や遺伝的要因
CFSが家族間で発生しやすい傾向があることから、遺伝的要因が関与している可能性があります。
特定の遺伝子の変異がCFSのリスクを増加させる可能性があります。
5.身体的・精神的ストレス
長期間にわたる身体的または精神的なストレスがCFSの発症に関連している可能性があります。
特にストレスが免疫系や神経内分泌系に影響を与え、CFSの症状を引き起こす可能性があります。
※これらの要因が単独でCFSを引き起こすのではなく、複数の要因が相互作用してCFSの発症に関与する可能性があります。
ただし、まだ確定的な原因は特定されておらず、研究は依然として進行中です。
慢性疲労症候群 診断基準
慢性疲労症候群(CFS)の診断基準は以下のようになっています。
大クライテリア(大基準)
1. 生活が著しく損なわれるような強い疲労を主症状とし、少なくとも6ヶ月以上の期間持続ないし再発を繰り返す(50%以上の期間認められること)。
2. 病歴、身体所見、検査所見で表2に挙げられている疾患を除外する。
小クライテリア(小基準)
・症状クライテリア(症状基準):以下の症状が6カ月以上にわたり持続または繰り返し生ずること
1.微熱(腋窩温37.2~38.3℃)ないし悪寒
2.咽頭痛
3.頚部あるいは腋窩リンパ節の腫張
4.原因不明の筋力低下
5.筋肉痛ないし不快感
6.軽い労作後に24時間以上続く全身倦怠感
7.頭痛
8.腫脹や発赤を伴わない移動性関節痛
9.精神神経症状(いずれか1つ以上)
10.睡眠障害(過眠、不眠)
・身体所見クライテリア(身体所見基準):2回以上、医師が確認
1.微熱
2.非浸出性咽頭炎
3.リンパ節の腫大(頚部、腋窩リンパ節)
大基準2項目に加えて、小基準の「症状基準8項目」以上か、「症状基準6項目+身体基準2項目」以上を満たすと「CFS」と診断されます。
また、大クライテリアで意味する“強い疲労”の程度をより明確にするために、performance status(PS)が定められており、CFSと診断されるためにはPS “全身倦怠感の為、月に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息が必要である”以上の疲労程度であることが求められています。
なお、CFSと鑑別すべき疾患としては、悪性腫瘍、自己免疫疾患、急性・慢性細菌感染症、HIV感染症、慢性炎症性疾患、神経筋疾患、内分泌疾患、呼吸器疾患、循環器疾患、消化器疾患などがあげられています。
※このような疾患の有無を確認するため、診断には専門的な医療機関での評価が必要となります。
具体的な診断基準や治療法については、医療専門家との相談をおすすめします。
慢性疲労症候群 治療
慢性疲労症候群(CFS)の治療は、症状の管理と患者の生活の質の向上を目指すことが一般的です。
治療計画は個々の患者に合わせて立案されるべきであり、総合的なアプローチが重要です。
以下に、CFSの治療に用いられるいくつかのアプローチを示します。
1.症状の管理
疲労感や筋肉痛、睡眠障害などの症状を管理するために、患者には適切な薬物療法が提供される場合があります。例えば、抗うつ薬や睡眠薬、抗不安薬などが処方されることがあります。
2.身体活動と運動療法
CFSの患者には、適切な身体活動や運動療法が勧められることがあります。ただし、過度の運動は症状を悪化させる可能性があるため、患者の状態に合わせた運動計画が必要です。
3.認知行動療法(CBT)
認知行動療法は、CFS患者が症状に対処し、生活の質を改善するための効果的なアプローチの一つです。CBTは、患者が疲労や痛みなどの症状に対する反応や行動パターンを変えることを通じて、症状を管理することを目指します。
4.薬物療法
症状の緩和を目指して、ビタミン剤、漢方薬、抗不安薬などが使用されます
5.栄養療法
健康的な食事や栄養補助食品を摂取することは、CFSの症状を管理するのに役立つことがあります。栄養バランスの良い食事は、免疫機能の強化やエネルギーレベルの調整に役立ちます。
6.ストレス管理
ストレスがCFSの症状を悪化させる可能性があるため、ストレス管理技術の習得が重要です。リラクセーション法、瞑想、深呼吸、ストレス軽減のための活動などが有効です。
6.医学的サポート
CFSの治療は専門家の監視下で行われるべきであり、必要に応じて医師、精神科医、栄養士、理学療法士などの医療専門家との協力が重要です。
※治療プランは個々の患者に合わせて調整されるべきであり、症状の重症度や日常生活への影響など、患者の個々の状況に応じてカスタマイズされるべきです。


