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膵管内乳頭粘液性腫瘍 症状

膵管内乳頭粘液性腫瘍は、膵管の上皮細胞から発生する比較的まれな良性または悪性の腫瘍です。

主な症状と経過は以下の通りです。

1.症状
・初期には無症状のことが多い

・腫瘍が大きくなると上腹部痛や背部痛が出現する

・閉塞性黄疸(皮膚や粘膜の黄染)

・体重減少

・下痢

・発熱

・膵臓炎の症状(激しい上腹部痛、嘔吐など)

2.経過
・無症状で進行し、偶然CT検査などで発見されることが多い

・良性の場合は緩やかに大きくなるが、悪性化すると急速に進行する

・主膵管型は悪性化しやすく、予後不良

・分枝型は比較的良性で予後良好

3.良性、悪性の比率
膵管内乳頭粘液性腫瘍の良性と悪性の比率については、以下のように報告されています。

・主膵管型
約60~90%が悪性または悪性化する前癌病変とされています。

・分枝型
約25~30%が悪性または前癌病変で、70~75%が良性腫瘍とされています。

つまり、主膵管型膵管内乳頭粘液性腫瘍の大部分は悪性化する可能性が高く、分枝型は良性のものが多数を占めますが、一定割合で悪性化するリスクがあります。

正確な良悪性の比率は施設間や報告によりばらつきがありますが、概ね以下のような割合が一般的です。

・主膵管型
悪性/前癌病変: 60~90%
良性: 10~40%

・分枝型
悪性/前癌病変: 25~30%
良性: 70~75%

初期には良悪性の鑑別が難しいため、十分な経過観察と厳重なフォローアップが重要視されています。

早期発見が重要で、定期検査での発見や症状からの精査が必要です。

悪性化すると周辺臓器への浸潤や転移が起こり、予後は極めて不良になります。

治療は外科的切除が第一選択ですが、手術不能例では化学療法が行われます。

膵管内乳頭粘液性腫瘍 原因
膵管内乳頭粘液性腫瘍の発症原因は完全には解明されていませんが、以下のような要因が関与していると考えられています。

1.遺伝的要因
GNAS、KRAS、RNF43などの遺伝子変異が同腫瘍の発症に関与していることが分かっています。

特にGNAS遺伝子変異は、膵管内乳頭粘液性腫瘍の80%以上で認められます。

2.老化
加齢に伴う細胞の遺伝子変異の蓄積が危険因子となります。

60歳代以降で発症リスクが高まります。

3.慢性膵炎
長期にわたる膵臓の慢性炎症が発癌の引き金になる可能性があります。

4.契煙
タバコの発癌物質が関与している可能性が指摘されています。

5.肥満
肥満は様々な癌のリスクファクターとされ、膵管内乳頭粘液性腫瘍にも影響を与えるかもしれません。

6.糖尿病
一部の研究で、2型糖尿病が発症リスクを高めるとの報告があります。

まだ完全な発症メカニズムは解明されていませんが、遺伝的素因と環境・生活習慣因子が複合的に作用して発症に至ると考えられています。

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膵管内乳頭粘液性腫瘍 治療

膵管内乳頭粘液性腫瘍の治療は、主に以下のように行われます。

1.外科的切除
根治的治療として、外科的に腫瘍を切除することが第一選択となります。

・腫瘍が膵頭部にある場合は膵頭十二指腸切除術

・膵体尾部なら膵体尾部切除術

・切除可能であれば、腫瘍を含む膵臓の一部を切除

2.経過観察(フォローアップ)
一定の基準を満たす低リスク例では、定期的なCT検査や腫瘍マーカー検査により経過観察を行うこともあります。

悪性化した場合は手術が検討されます。

3.化学療法
切除不能な進行例や再発例に対しては、抗癌剤による化学療法が行われます。

ゲムシタビン、S-1などの単剤または複数剤の併用療法が選択されます。

4.放射線療法
痛みの緩和など対症療法として、局所への放射線照射が行われる場合があります。

5.緩和ケア
進行した場合は、身体的、精神的苦痛の緩和を目的とした緩和ケアが重要視されます。

治療法は症例ごとに異なり、病期、全身状態、患者年齢などを考慮して最適な治療方針が決定されます。

早期発見されれば根治切除可能ですが、進行例では予後不良となるため、適切な治療選択が重要になります。

膵管内乳頭粘液性腫瘍 予防
膵管内乳頭粘液性腫瘍の発症予防に関しては、確立された方法はありませんが、以下のようなリスク因子への対策が重要とされています。

1.喫煙リスクの低減
タバコの発癌物質が膵管内乳頭粘液性腫瘍のリスクを高めるため、禁煙が推奨されます。

2.肥満予防
肥満は様々がんのリスク因子です。

適正体重を維持することが重要視されています。

3.糖尿病のコントロール
2型糖尿病は発症リスクを高める可能性があるため、血糖コントロールに努める必要があります。

4.慢性膵炎の予防、適切な管理
長期の膵炎が危険因子となるため、過剰飲酒を避け、適切に治療することが推奨されます。

5.定期的な健康診断
無症状に進行する場合があるため、定期的な腹部画像検査などで早期発見に努めることが大切です。

6.高リスク群の把握
家族性膵癌や遺伝性腫瘍症候群の場合は、発症リスクが高いため、厳重な経過観察が必要となります。

発症原因が完全には解明されていないため、確実な予防法はありませんが、生活習慣の改善と適切な検診による早期発見が肝心とされています。

高リスク群に対しては、専門家の判断に基づく対策が求められます。

膵管内乳頭粘液性腫瘍 致死率
膵管内乳頭粘液性腫瘍の致死率については、以下のように報告されています。

主膵管型
・5年生存率が約30~60%と比較的予後不良

・悪性または境界病変の場合、5年生存率は20~50%程度

分枝型
・5年生存率は約70~90%と比較的良好

・悪性の場合でも5年生存率は40~60%程度

全体として見ると、膵管内乳頭粘液性腫瘍の5年生存率は50~70%程度とされています。

致死率に影響を与える主な因子
1.腫瘍の部位(主膵管型か分枝型か)

2.病理学的悪性度

3.手術時の病期

4.リンパ節転移の有無

5.切除度(R0、R1、R2)

切除度(R0、R1、R2)とは、手術後の残存腫瘍の程度を表す分類です。

R0 – 根治切除
腫瘍を肉眼的にも顕微鏡的にも完全に切除できた状態を指します。

腫瘍細胞が切除断端に残存していない理想的な状態です。

R1 – 非根治切除(顕微鏡的残存腫瘍あり)
肉眼的には腫瘍を切除できたものの、顕微鏡下で切除断端に腫瘍細胞が残存している状態です。

微小な残存があるため根治切除とはみなされません。

R2 – 非切除(肉眼的残存腫瘍あり)
明らかに腫瘍が残存した状態で、肉眼でも腫瘍組織が確認できる手術となったケースです。

非根治切除の中でも最も予後不良です。

R0切除ができた症例は最も予後良好で、R1、R2と残存腫瘍量が多くなるほど再発リスクが高まり、予後不良になります。

特に膵管内乳頭粘液性腫瘍の手術では、R0根治切除が目標とされ、微小な残存腫瘍細胞さえ許容されません。

手術時の切除度評価が重要な予後予測因子となっています。

特に主膵管型で切除不能例、リンパ節転移陽性例、非根治切除例では予後が非常に不良となります。

一方で、分枝型で完全に切除できれば良好な予後が期待できますが、進行すれば致死率は急上昇します。

早期発見、根治切除が重要であり、定期検診による発見や、高リスク群の経過観察が推奨されています。

進行例に対しては、化学療法による延命が試みられますが、全体として膵臓癌の一種である本腫瘍の予後は依然として厳しい状況にあります。