年間10万人以上発症するといわれている、アルコール依存症や薬物依存症、ギャンブル依存症など。かつて依存症だった人がその経験から独自の支援策を構築し、多くの人の人生を支えてきた。
依存症は脳の働きに異常が生じて欲求をコントロールできなくなる病気、本人の力だけで回復するのは難しい。
生きづらさを生きやすさに変える。今までアルコールだったり、薬物だったり、ギャンブルだったり、いわば人生の負を繰り返した。
それをひっくり返せばその経験をひっくり返せば、それを役に立てれば自己肯定感が湧いてくる。
仲間としてともに歩む
Kさんは母親から相談があったアルコール依存症の息子さんに「飲むと人格が変わってしまう。それが病気だということが分かった」と自分の経験を話す。
「酒を止めていこうとする仲間が教えてくれた。それで仲間を信じられるようになって、この人達と一緒なら止めていける」と続ける。
そのアルコール依存症の男性は施設の寮に入ることになった。彼は酒が切れると手が震えてくる。仲間はそれを我慢して乗り越えていけ、皆経験していると激励する。
2週間後
アルコールの離脱症状が落ち着いた頃、男性は施設を出て仕事を直ぐにでもしたいと言い出す。
しかし、今施設を出れば再び酒にはしってしまう可能性が高い。まだ飲みたいから出たいのだ。
「アルコールを飲んでいたら社会生活はうまくいかない。飲まないような生き方をしていった方がいい」と諭す。
アルコールを飲んで仕事に行けなくなったとかを何度も経験しているはず。そういうことを自覚してほしい。
止めていこうという仲間の中にいれば、自然にやめる方向に向かっていく。「私たちは見捨てない。常に支援しています」と繰り返す。
3週間後
「立ち直ったほうがいいのではないか。回復プログラムを進めたい?」の問いに「はい」
「重症化しないうちに取り組めば、回復も難しくない」「はいお願いします」明らかに変わった。
男性は引き続き施設に留まって回復に専念することになった。
ミーティング
<アルコール依存症の入所者>
今までアルコール依存症で2回入院したことがある。会社も辞めて離婚もして困った人生だ。
借金が膨らんだ。自分では手が付けられないから、放り投げたこともある。そういうことは誰にもいえなかった。
アルコールと薬物によって生きづらさの真っただ中、どん底まで落ちてしまった。
薬を使えば精神病院か刑務所へ行く。アルコールを飲み過ぎれば仕事ができなくなる。生きづらさに突き当たる。
社会の中に居場所を作る
社会の中で足りないものをできる人がそれを作り上げていけばいい。
・農業をするための畑
・食堂
・工務店
・薬局
・納豆用の稲わら加工作業所
・ボランティア:地域の雑草取りなど
依存を繰り返すことは、社会の人を考えると完全な裏切りかもしれない。それは裏切りではなくてそれだけ病気が重いのだ。何歳からでもいい、過去にどんなことがあってもいい。
どこからでもやり直せる。自分の生き方を逆転しようとしていれば、何度でも挑戦してほしい。どこからでもやり直せる。
どんな過去を背負っていようと突き進んでいけば門戸は開かれる。無理だからって何もしなければ何も起きない。だからアクションを起こそう。
K(栗原豊)さんが代表の支援施設は、潮騒アディクションビレッジ、他の施設や病院で断られた人も受け入れている。