2016年 WHOの調べでは、アルコール依存症などの健康障害は、世界で2億8,000万人以上いる。しかしアルコール依存症は、病気の認識が薄く多くの人が治療していないことが問題になっている。
失業して家にいる間酒を飲むようになった。夫と子供がずっと家にいてそれがストレスで飲んでしまうなど、コロナ禍の中アルコールに関する電話相談が1.5倍になっという報告もある。
駄目だと分かっていてもなかなか止められないアルコールだが、それでも新たな治療法でアルコール依存を脱却する人も増えている。
コロナ禍での依存
仕事や暮らしに対する不安、自由に出歩けないストレスなどを解消するためにお酒の量が増えることが心配される。
またテレワークや失業などで在宅時間が増えて飲んでしまう。世界的にみて、アルコール依存症は失業と相関関係があるといわれている。
アルコールの消費量全体はコロナ前より減っている。心配なのが家での飲み過ぎ。自宅では飲酒にブレーキが効きにくい。
イギリスではアルコール関連死が19.6%増という報告がある。過度の飲酒はすい臓にダメージ、消化器系がんのリスクが高めることが知られている。
また過度の飲酒は、うつのリスクが高まるといわれている。うつが原因で眠れないからといって飲酒するといった悪循環が懸念される。
ストロング系に注意
ストロング系チューハイ(9%)は、アルコール度数が従来のものより高い、飲みやすい、安いので飲み過ぎのリスクが指摘されている。
350ml缶9% → 純アルコール量25g = ビールなら大瓶1本、日本酒なら1合以上に相当。
厚労省が推奨する節度ある適度な飲酒は、アルコール1日20g。40g以上になると生活習慣病のリスクが高まる。
これらは男性の基準になるので、アルコールの影響を受けやすい女性は、半分以下の量を基準にすることが望ましい。
重要なことはアルコール量をしっかりチェックすること。
新しい治療法
日本でも始まった新たな治療法は「減酒」。アルコール依存症の治療は断酒が鉄則なのだが、ドロップアウトや受診拒否になることもあるため。
断酒は入院、減酒は通院して行うことが多い。
<減酒治療の手順>
1.本人からの聞き取る。
・どのような飲酒?
・どのような問題?
2.減酒の目標を決める。
・無理のないように
・本人の表明を尊重
3.実践方法を決める
・例として
周りの人に宣言する
飲酒中に酒量をチェック
※軽度の依存症、依存症一歩手前の人に特に有効。飲酒の記録とフォローアップが大切。
受診時に飲酒の記録を確認、目標達成できたか確認してモチベーションを高めていく。
達成できなかった場合は、原因を調べる、目標の見直しなどを行う。
※減酒の見方
飲み薬:ナルメフェン 飲酒の1~2時間前に1錠。
お酒を飲むと快感を感じさせるβエンドルフィンが分泌されるが、薬がこれを抑えてくれる。
多くの患者が減酒に成功し症状が改善しているという。
重いアルコール依存症でもステップとして減酒を行うこともある。
【飲酒量を減らすコツ】
・ノンアルコール飲料を先に飲む。
・食事の時に飲む。
・ゆっくり時間をかけて飲む。
・なるべく薄いお酒を飲む。
・飲まない時間帯を決めておく。