がん治療の副作用で多くの人が経験するつらい見た目の変化、最小限にとどめる方法はないのだろうか?
脱毛や爪、肌荒れなどの悩みについて、最新のアピアランスガイドラインに沿った対処法をご紹介する。
何が起こる?その対処法
脱毛
髪の毛ばかりではなく、治療によっては眉毛やまつ毛、体毛に及ぶこともある。
全員が脱毛する訳ではないので慌てないこと。
ウイッグ(かつら)利用、自分の予算、かぶり心地、自分が似合うと思えることがポイント。
医療用ウイッグでも、1~数十万円まであり、1年にかける美容院の費用が目安。
頭皮冷却装置は、頭皮の毛細血管を収縮させ抗がん剤が到達する量を減らして脱毛を抑える。
海外の研究では、その装置を使うと完全脱毛が予測される場合に、52%の人に半分以上の髪が残る効果があるという報告がある。
日本の場合は同様の研究で28%に効果、但し導入している医療機関が少ないし、保険適用でないため高額。
薄毛の場合は頭皮用ファンデーション、パウダータイプの増毛剤を使う場合もある。
ミノキシジル外用薬に再発毛の期間を短縮できたとする報告がある。
ビマトプラストがまつ毛の再生に有効だとの報告もある。
爪への影響
分子標的薬など新しい薬の開発によって、爪が変色したり、もろくなったり、割れたりする。
タキサン系の抗がん剤を使用している場合、爪を冷却すると予防効果があったとの報告もある。
日常のケアは保湿することが基本。ハンドクリームを塗る際は爪にも塗ると良い。
もろくなった爪の先は、マニュキアを塗ってネイルシールなどを貼ると良い。
変色には普通のマニュキアで対処。爪障害から回復する目安は、手が半年、足が1年。
肌への影響
抗がん剤や放射線のよって、湿疹、炎症、乾燥による痒み、色素の沈着による黒ずみ、ざ瘡様皮疹などが現れる。
色素の沈着にはファンデーションを使う。日焼け止めが重症化の予防に有効という報告もある。
化粧品メーカーのHPやがんの情報サイトに、スキンケアの方法が掲載されているので参考にすると良い。
社会と繋がるために
外見の悩みは症状というより、社会との関連性で悩むことが多い。
無人島では外見を気にしない。
外見の悩みは社会が消えるとなくなる。
外見からがんが人にばれて、可哀想な人と思われるのが嫌だ。
対等な人間関係が壊れる不安。
外見を気にする時には、具体的なシーンを心配している。
家族に心配かけたくないという思いと逆の結果になりかねない。
子供に病気のことをどう伝えるか担当医と一緒に考える。
不安に思っていたシーンにゴールが見えてくると、外見のことは気にならなくなる。
病気の情報は重要なプライバシーなので言う必要がない。