スポンサーリンク

膀胱がんの最新治療とは?

早期がんの治療
早期がん:がんが膀胱の壁の最も内側の粘膜や粘膜下層に留まっている。

早期がんの場合、尿道から膀胱に内視鏡を入れて、がんを切除する経尿道的切除術(TURBT)という手術が治療の中心になるといいます。

全身麻酔または脊椎麻酔をした上で、筒状の内視鏡を尿道から膀胱に挿入し、電気メスで組織を切除します。手術時間は約1時間、入院期間は4~6日程度。

最近では、PDD(光力学診断)という診断方法を使ったTURBTが行われるようになってきているといいます。

患者さんにあらかじめがんを光らせる物質を飲んでもらい、膀胱内に青色の光を当てると、がんだけが赤く光って見えるといいます。

従来のTURBTでは見えにくかった病変もはっきり分かり、より確実にがんを切除することができるようになったといいます。

膀胱がんは再発しやすいため、TURBT終了後24間以内に膀胱内に抗がん剤を注入するといいます。また、切除したがんを詳しく調べて再発の危険度を判定するといいます。

がんが粘膜下層に届いている、がんの数が多いなどに当てはまる場合は、再発のリスクが高いと判断されます。

その場合は、4~8週間後にセカンドTURBT(再びTURBT)が行われるといいます。再発のリスクが高い場合、BCG注入療法などを行うといいます。

BCGは免疫を高める作用がある物質で、結核を予防するワクチンとして広く使われていますが、早期の膀胱がんに対しても効果があることが分かっています。

BCG注入療法は、カテーテルという細い管を使ってBCGを膀胱に注入し、約2時間排尿しないようにします。それを週に1回、計6~8回行うといいます。

局所進行がんの手術
局所進行がん:がんが粘膜下層より深い筋層に達していたり、筋層を越えて広がったりしている。

局所進行がんは、膀胱と前立腺を全て切除する膀胱全摘除術という手術が行われ、必要に応じて尿道も切除するといいます。

まずはじめに、点滴による抗がん剤治療を一定期間続けるといいます。それによってがんが縮小すると、より切除しやすくなるといいます。

手術方法には、お腹を大きく開いて行う開腹手術と腹腔鏡手術があります。腹腔鏡手術は、お腹に小さな穴を複数開けて、そこから腹腔鏡(カメラがついた細い棒)や手術器具を入れて行う方法です。

最近では、2018年から健康保険が適用となったロボット支援による腹腔鏡手術が膀胱がんの治療でも急速に広まってきているといいます。開腹手術と比べると、出血量が大幅に減るというメリットがあるといいます。

膀胱全摘除術を行った場合、同時に膀胱の代わりをつくる手術も行われるといいます。

ストーマ(人口膀胱)
体の外に尿をためる方法。小腸の一部を切り取って、尿管と、お腹の表面につなぎます。お腹から出ている部分をストーマと呼ぶ。

パウチにはのりがついていて、ストーマを覆うように体に貼り付けます。尿がある程度たまったら、パウチの下側にある栓を開けて尿をトイレに流します。

自排尿型新膀胱造設術
小腸の一部を切り取って袋状に縫い、それを尿管と尿道につないで、膀胱があった場所に設置するといいます。夜間睡眠中に尿漏れすることがあるので、定期的に(2~3時間に1回)トイレに行くようにします。

この方法が行えないのは、膀胱に加えて尿道も切除した場合と、腎機能が低下している場合、小腸を使っているため、尿が溜まり過ぎると尿を再吸収することがあり、腎臓に負担がかかるからです。

新しい免疫チェックポイント阻害薬
膀胱がんが進行すると、リンパ節や肺、骨、肝臓などを中心に、全身の様々な場所へ転移するといいます。転移がんでは、手術ではなく薬による治療でがん細胞の増殖を抑えるといいます。

一次治療は、抗がん剤のゲムシタビンとプラチナ製剤の併用で、4週間を1サイクルとして点滴を行います。約6割の患者さんでがんが半分程度に縮小するといいます。

只がんが完全に消える頻度は低く、副作用も蓄積していくため、続けることが難しくなっていくといいます。また、この治療を続ける間に、がんが再発したり、進行したりした場合は二次治療となります。

2017年に登場した免疫チェックポイント阻害薬を使用するといいます。健康な場合、がん細胞が現れても免疫細胞がその増殖を抑えるため、がんには至りません。

ところが、免疫細胞に対してブレーキ信号を出すがん細胞が現れることがあり、そうするとがん細胞が増殖してしまいます。免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞がブレーキ信号を出せないようにして、がん細胞の増殖を抑える薬だといいます。

膀胱がんに対する免疫チェックポイント阻害薬は、ペムブロリズマブという薬で、3週間に1回点滴を行うといいます。がんが縮小する以上の効果が現れるのは全体の2割、効果がある人は、長期間効きやすいことが分かっています。