これはアミロイドという異常なたんぱく質が心臓に溜まる病気。サインとして注目されているのが一見心臓とは関係なさそうな手指のしびれ、見落としがちな心不全のサインをチェックする。
心アミロイドーシス
アミロイドは加齢とともに増えやすいという特徴がある。
アミロイドが作られる過程
正常なたんぱく質は4つの構造が密着 → 加齢とともに4つがバラバラに → 糸くず状 → 糸くずが集まってアミロイド
心臓にアミロイドが溜まることで硬くなる → ふくらまない → 十分な血液を送り出せない(心不全)、心拍のリズムが乱れる(不整脈治療薬)
手指との深い関係
アミロイドは心臓だけではなく、腱や神経にも溜まる。溜まったアミロイドが手の腱や神経を圧迫して、手のしびれや痛みを起こす手根管症候群という病気の原因になる。
またアミロイドは腰にある脊柱管の周りの靱帯にも溜まって、脊柱管狭窄症という病気を起こして足腰のしびれや痛みを感じることもある。手と腰の両方に起こることもあれば、片方だけの場合もある。
高知大学医学部では、手根管症候群の手術をした79人のうち、30%以上の人が手の腱にアミロイドが溜まっていて、3人が心アミロイドーシスを発症している疑いがあったという。
手根管症候群は一般的に女性に多く片側に起こる。一方アミロイドと関係する手根管症候群は、高齢の男性で両手に出やすい。しかも心アミロイドーシス発症の数年前から手指の症状が現れる。
健康診断や定期的に心電図をとって異常がある場合は、循環器内科を受診することが推奨されている。
進歩する検査と治療法
10年ほど前は、心アミロイドーシスは極めてまれな病気だと考えられてきた。検査や薬の進歩によって、2020年心アミロイドーシス診療ガイドラインが策定された。
従来の検査
心臓の筋肉を一部採取し、顕微鏡でアミロイドが溜まっているかを確認。体への負担が大きいというデメリットあり。
ピロリン酸シンチグラフィー検査
2020年健康保険が適用。
心臓のアミロイドを視覚化する検査。放射線を出す特殊な薬を注射する。検査台に横になりカメラで確認する。アミロイドがあれば薬が心臓に取り込まれ、オレンジ色に光るので心アミロイドーシスが発見できる。
治療法
現在は心臓に溜まったアミロイドを取り除くことはできない。
アミロイドによる症状を和らげる。
→ 利尿薬
アミロイドが溜まるのを抑える。
→ タファミジス
タンパク質がバラバラになり、糸くず状になるのを抑制する。使用条件があるので専門医と要相談。
2019年3月心アミロイドーシスに対して健康保険適用。