動脈硬化は血管が硬くなり血液の通り道が狭くなる40歳を過ぎた頃から注意が必要。そして心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気の引き金になるのが動脈硬化といわれている。
内臓脂肪型肥満や生活習慣病があると更に進行すると考えられている。その動脈硬化には全身の血管の炎症「慢性炎症」が関わっていることが分かってきている。
動脈硬化はなぜ怖い
加齢などにより血管の壁が硬くなると、壁に小さな傷ができそこに血液中のコレステロールが溜まりやすくなる。
すると異物を排除する細胞がやってくる。それが傷の中に入り込んでマクロファージに変化し、コレステロールを取り込んでいく。それがどんどん増えてプラークになる。
そうなると壁が薄くなり、破れるとそこに血栓ができる。血栓が大きくなると血管を詰まらせてしまう。心筋梗塞、脳梗塞など命に関わる病気になってしまう。
動脈硬化の危険因子として、内臓脂肪型肥満、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、喫煙、高尿酸血症、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群、家族や近親者が若くして狭心症や心筋梗塞になったことなどが挙げられる。
このような危険因子を1つで持っている人は、国内に数千万人いると考えられている。
慢性炎症で加速する
慢性炎症は、内臓の周りに脂肪が貯まり過ぎると炎症を悪化させる「炎症性物質」が慢性的に放出される。炎症性物質は血液によって全身に広がる。
そして血管に炎症を引き起こして血管にダメージを与える。更に炎症性物質はマクロファージの働きを活発化させコレステロールをどんどん取り込んでいく。
そしてプラークが次第に大きくなって知らないうちに動脈硬化が進んでしまう。太った体型でなくても内臓脂肪が多い隠れ肥満の人は、動脈硬化を悪化させる。
隠れ肥満は、お腹がぽこっと出ていて表面の皮下脂肪が摘まみやすい場合は、内臓脂肪が多い可能性がある。
動脈硬化が進行している人が新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすい。動脈硬化の危険因子がある人は特に感染に注意する必要がある。
脂質異常症の目標値を知る
LDLコレステロール(悪玉)が増えると、動脈硬化が進行する。
HDLコレステロール(善玉)はLDLコレステロールを回収してくれる。HDLが減り過ぎると、脈硬化が進行する。
中性脂肪が増え過ぎると、LDLコレステロールが小型化して長悪玉コレステロールになり、血管壁に入りやすくなる。
LDLコレステロール 140mg/dl以上
HDLコレステロール 40mg/dl未満
中性脂肪 150mg/以上(空腹時)
※1つでも当てはまれば脂質異常症。
動脈硬化の危険因子から予測する、10年以内での心筋梗塞や狭心症の発症率を元に目標値が決められている。
【例1】
LDLコレステロール 140mg/dl
40歳
他に危険因子ない
※10年以内の狭心症・心筋梗塞の発症率 1%
【目標値】
LDLコレステロール 160mg/dl
【例2】
LDLコレステロール 140mg/dl
55歳
他に危険因子ない
※10年以内の狭心症・心筋梗塞の発症率 5%
【目標値】
LDLコレステロール 140mg/dl
【例3】
LDLコレステロール 140mg/dl
55歳
高血圧
※10年以内の狭心症・心筋梗塞の発症率 9%
【目標値】
LDLコレステロール 120mg/dl
※日本動脈硬化学会 ホームページでは
https://www.j-athero.org/jp/
自分のリスクを確認することができる。