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かなわない欲望にイライラする?

古代ローマ時代の哲学者エピクテトス(西暦50年頃~135年頃)がその問題のヒントを与えてくれるかもしれません。彼は奴隷出身ということです。不自由な身分だったからこそ、欲望について深く考察しストア派を代表する哲学者となったといわれています。

ローマ帝国が戦争で領土拡大していた当時は、負けた国の兵士や住民はローマ帝国の奴隷にされたといいます。エピクテトスの親が奴隷で、彼も子供の頃奴隷として売られたといいます。過酷な労働を強いられたり、権力者の召使いなど様々な役割の奴隷がいたといいます。

エピクテトスは皇帝の秘書の召使いになったといいます。雑用に追われ自由のない日々送っていたエピクテトスでしたが、利発な少年は哲学の講義だけは受けに行ってもいいということになります。

やがて転機が訪れます。それは奴隷から解放されたのです。そして本格的に哲学者の道を歩んで行くようになります。ストア派は禁欲主義、ストイックという言葉がありますが、ストア派に由来するといいます。

目標のために、自分を厳しく律し欲望を抑える。しかしエピクテトスは、欲望そのものを禁じていたわけではありません。大事なのは上手に欲望をコントロールすること。そうすれば心が自由になるといいます。

これまでに持った欲望
踊りが上手になりたい、踊りたい。つけまつけて、カラコンつけるのをやりたい。モテたい。大学に入りたい。

温泉に行きたい。ご馳走を食べたい。出世したい。営業成績を上げたい等々、欲望はつきません。叶わなかった時はイライラするのでしょうか。

欲望をコントロールするには?
専門的により高みを目指して進んでいく場合、他人を嫉妬したりする無駄なことは止めて割り切りがないと駄目。

欲望を2種類に分けてみましょう。自分次第と周り次第の欲望を混同せずに分けて考えることで、欲望との付き合い方が分かってくると考えられます。

欲望をコントロールするヒントは、宴会にあるといいます。奴隷が大皿で運んできた料理を順番に回す。

あなたとエピクテトスが隣同士だとします。あなたが食べたい美味しそうなお肉が遠いところにあり、早く回ってこないかなと思っていました。

ところが回ってくるまでに全部食べられてしまいました。エピクテトス曰く「遠くから欲望を投げかけるな」「目の前のサラダを食べなさい」

これはこれで美味しい。遠くの欲望ではなく、近くで得られるちょっとした満足感が大事だというのです。できなかったことを悔やむより、今できることを味わった方がいい。

ストア派の理想の境地が、アパテイア(apatheia)=情念を否定する → 究極的な心の平穏、どんな欲望も究極の目的は満足を得て心の平穏に至ること。

自分次第:ちょっとした満足感を心の満足貯金箱に少しづつ溜めていけば、アパテイアに近づく。

出世したい欲望
自分次第;何をしていくか、結果を出す、営業成績を上げる、努力する、資格を取る。

周り次第;評価、上司に好かれる、部下に好かれる。

※自分次第のことを積み重ねるのが欲望との上手な付き合い方になるのかもしれません。