糖尿病は全身の血管に影響を及ぼすといいます。腎臓は細い血管のかたまりのような臓器、糖尿病が原因で起こる腎臓病を総称してDKD(糖尿病性腎臓病)といわれています。
DKDは数ある腎臓病の中で最も多い病気、進行性で腎機能が低下していくといいます。DKDは透析治療を受ける人の約4割を占めており、毎年約16,000人が透析治療を開始しているといいます。
DKD(糖尿病性腎臓病)
アルブミン尿タイプ
腎臓の糸球体は血液中の余分な水分や塩分、老廃物などをろ過しています。ろ過されたものは尿細管から尿管を通って尿として排せつされます。
糖尿病があると糸球体の入り口につながる血管が拡張し、出口につながる血管が収縮するいいます。そのため糸球体内に高い圧力がかかって、糸球体が壊れるそうです。
その結果、血液中に含まれるたんぱくの一種であるアルブミンが尿中にもれ出るようになると考えられています。
アルブミン尿が出ないタイプ
糖尿病があると血管の動脈硬化が進行していていくといいます。この動脈硬化により腎臓全体の機能が低下しDKDが起こると考えられています。
但しこのタイプの場合、糸球体は壊れないためアルブミンは尿中にもれ出ることはないといいます。
2型糖尿病でアルブミン尿が出ない人たちの11.4%が腎機能低下という報告があるそうです。動脈硬化タイプのDKDが多くなってきているようなのです。
糖尿病がある人は、アルブミン尿がなくても腎臓病を発症している可能性があるということを知っておく必要があるのではないでしょうか。
血液検査のeGFRをチェック
eGFRは腎機能の状態を示す数値です。腎機能が低下すると老廃物が体に溜まるといいます。この老廃物の1つがクレアチニンで、eGFRは血液中のクレアチニン値などから換算されます。
血液検査の結果、eGFRの値が60未満場合は腎臓病を疑う必要があるといわれています。アルブミンが正常でも必ずDKDを疑いましょう。糖尿病の主治医に相談の上、腎臓の詳しい検査を受けるようにしましょう。
発症や進行を防ぐ治療
DKD(糖尿病性腎臓病)治療の基本
血糖 HbA1c 7.0%未満
血圧 130/80mmHg未満
脂質 LDLコレステロール 120mg/dL未満、HDLコレステロール 40mg/dL以上、中性脂肪 150mg/dL未満
体重 BMI22(標準)
こうした数値をコントロ-ルするためには、適適度な運動、減塩といった食生活の改善、禁煙などの生活習慣の見直しが欠かせないと考えられています。
薬による治療も行われるといいます。第一選択薬とされているのが、ACE阻害薬やARBなどのレニン・アンジオテンシン系阻害薬です。
これらの薬は血圧を下げる薬なのですが、それだけでなく糸球体を守ったり、たんぱく尿を減らしたりする効果があると考えられています。
但し動脈硬化タイプのDKDの場合は、これらの薬で血圧が下がった結果、糸球体にかかる圧力が下がり過ぎると急性腎障害などが起こることがあるといいます。
そのため血液検査でeGFRを定期的にチェックし、急激な低下がみられれば他の降圧薬に替えたりして対処していくといいます。
また高齢者特に75歳以上は、血糖値や血圧が下がり過ぎると、起立性低血圧による立ちくらみや、脱水による急性腎障害の危険性が高くなるといいます。
血糖 HbA1c 8.0%未満、血圧 150/90mmHg未満、あるいは血圧 140/80mmHg未満が推奨されています。血圧が下がりすぎる場合は、カルシウム拮抗薬に変更することがあるといいます。


