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薬剤性大腸炎とは?

抗菌薬、解熱鎮痛薬(非ステロイド系抗炎症薬・NSAIDs)、

血液をサラサラにする低用量アスピリン(抗血小板薬)、

経口避妊薬など身近な薬の服用によって起こる大腸炎がある。

薬剤性大腸炎を放置すると、全身状態が悪くなる恐れがある。

不快な症状が現れたら、かかりつけ医に飲んでいる薬や服用期間を伝える。

非ステロイド系抗炎症薬
ケース1:80代の男性。

膝が痛いので非ステロイド系抗炎症薬を服用している。

高血圧でもあるので動脈硬化の予防のために、低用量アスピリンを服用6か月後、軟便になり排便の回数が増える。

受診したところ、大腸に潰瘍ができていて薬剤性大腸炎と診断される。

非ステロイド系抗炎症薬と低用量アスピリは、大腸の粘膜の働きを弱らせると考えられている。

非ステロイド系抗炎症薬と低用量アスピリンの副作用として、

胃、十二指腸、小腸、大腸の粘膜のただれ、潰瘍、出血などが挙げられる。

非ステロイド系抗炎症薬の潰瘍のリスクとして、
高齢者
潰瘍の既住歴
抗血小板薬(低用量アスピリン)
抗凝固薬
ビスホスホネート

※高齢になると2つの薬を併用することが多くなる。リスクが高まる。

胃が傷害されると、
胃潰瘍、胃の痛み、胸やけ、黒い便などが起こる。

小腸が傷害されると黒い便が出る。

大腸が傷害されると、
下痢、血便、腹痛、貧血などが起こる。

<対策>
非ステロイド系抗炎症薬の中止、または服用頻度を減らす。

プロトンポンプ阻害剤、プロスタグランジン製剤を併用することが推奨される。

低用量アスピリンは、不快な症状が現れたらできるだけ服用を中止。他の薬への変更を検討。

抗菌薬
ケース2:20代男性 副鼻腔炎
処方された抗菌薬を服用2日後、下痢、血便が起こる。

受診したところ、抗菌薬による急性出血性大腸炎と診断される。

これは服用して2~3日後に発症することが多いといわれている。

急性出血性大腸炎を起こしやすい抗菌薬は、セフェム系、ペニシリン系。

10~20歳代、基礎疾患がのない人が起こりやすい。

薬に対するアレルギーが原因の場合が多いといわれている。

<治療>
原因となった抗菌薬の服用を中止し、別のタイプの抗菌薬に変更を検討。

再び抗菌薬を使うときは、どの抗菌薬で大腸炎を起こしたか医師に伝えることが重要。

ケース3:75歳女性 糖尿病歴25年

かぜの症状がありかかりつけ医に受。、

肺炎予防のため抗菌薬を2週間毎日服用。

10日後頻繁に粘性便、お腹が張る。

検査したところ、抗菌薬による偽膜性大腸炎と診断される。

抗菌薬によって多くの腸内細菌が死滅し薬に強い菌だけが生き残る。

クロストリジウ・ディフィジルムが毒素を出し腸内が炎症を起こす。

クロストリジウ・ディフィジルムは、約5%の人は腸の中に持っている。普段は症状が現れない。

抗菌薬によって腸内細菌のバランスが乱れると、突然暴れ出して症状が現れることがある。

抗菌薬を飲んで1~2週間経ってから症状が出る。

服用が終わってから症状が出る場合もある。

偽膜性大腸炎を起こしやすい抗菌薬は、セフェム系、クリンダマイシン、アンピシリンなどが挙げられる。

高齢者、腎機能障害、がん、など重篤な病気を持っている人が起こしやすいいわれている。

<治療>
抗菌薬を中止。

治らない場合、メトロニダゾール、バンコマイシンなどを使う。最近はフィダキソマイシンを使えるようになった。