脂質異常症とは血液中の脂質のバランスが崩れた状態で、他の病気と違って自覚症状がない。
そのまま放置してしまうと動脈硬化を引き起こす危険性がある。
動脈硬化が進行すると、心筋梗塞、脳梗塞などの発症リスクが高まると考えられている。
日本人で亡くなる人の4~5人は、動脈硬化の進行による心疾患、脳血管疾患といわれている。
予防するためには、健康診断で血液の状態をチェック。
脂質異常症で気づけば動脈硬化を防ぐことができる。
非空腹時中性脂肪
2022年7月に動脈硬化予防ガイドラインが改訂された。
【2017年】
1.LDL 140mg/dl以上
2.中性脂肪 空腹時150mg/dl以上
3.HDL 40mg/dl未満
【2022年】
2.中性脂肪 空腹時150mg/dl以上
非空腹時175mg/dl以上
今まで脂質異常症の診断基準には空腹時の基準しかなかった。
しかし食後の中性脂肪の値が新基準値を超える患者で、心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクが高まることが分かってきた。
中性脂肪は体を動かすエネルギー源の1つ。食事の影響を受けやすい。
コレステロールは食事の影響ををすぐには受けない。
中性脂肪が増えると、小型化LDLコレステロールも増えて血管の隙間に入りやすくなる。
また酸化しやすく、長時間ただよう。
進行すると中性脂肪は吸収されて、小型化LDLコレステロールが残る。
空腹時と非空腹時の検査は同時にはできないため、空腹時の中性脂肪が高めの方は非空腹時の検査も医師にご相談下さい。
小型化LDLコレステロールを少なくするためには、食事でとる中性脂肪の量に注意する。
バター、クリーム、肉類など脂質の多いもの、果物、はちみつ、菓子、ジュースなど糖質の多いもの、ビール、酒などのアルコール類などを摂り過ぎないことが推奨される。
2つの最新検査法
小型化LDLコレステロールが動脈硬化の強い危険因子になることか判明。
2021年10月に承認された小型化LDLコレステロールの検査試薬が使われ始めている。
45mg/dL以上 要注意。
LDLコレステロールが正常値でも、小型化LDLコレステロールが高ければ要注意。
現状では人間ドックや健康診断のオプション、保険適用にはなっていない。
<小型化LDLコレステロールのセルフチェック>
non-HDLを計算する。
総コレステロール数値 - HDL(善玉)数値=non-HDL
※170mg/dL以上は要注意。
中性脂肪の値を確認する。
LDLコレステロールが基準値より低くても、中性脂肪の値が基準値より高い場合は要注意。
家族性高コレステロール血症
遺伝性の脂質異常症、有病率300人に1人、全国で約40万人。
遺伝性なのに自覚症状がないため、治療に結びつかない。
力がかかるところに、コレステロールは溜まる性質がある。
歩く時にアキレス腱は必ず力がはいる。
そこに炎症が起きて炎症細胞が集まってきて、そこにLDLコレステロールが取り込まれてだんだん厚くなる。
アキレス腱を測ることでこの病気を診断することができる。
アキレス腱の超音波検査。
なるべく若い時に検査して、若い時からLDLコレステロールをコントロールすることで将来のリスクを下げる。
<2022年 判断基準>
X選
男性8mm以上
女性7.5mm以上
超音波
男性6mm以上
女性5.5mm以上
<家族性高コレステロール血症の診断基準>
1.LDLの数値が180mg/dL以上
2.黄色腫(特にアキレス腱)
3.両親、兄弟姉妹、子供に家族性高コレステロール血症や狭心症、心筋梗塞などを発症した人がいる。
<治療>
1.薬物治療、スタチンなど。
2.生活習慣の改善
食べ過ぎない、運動をする、禁煙する。
生活改善
運動が苦手な人こそインターバル速歩が推奨される。
通勤時のインターバル速歩だとハードルが低くやりやすいかもしれない。
主目的は、会社へ行くこと、帰宅すること。運動は二の次。
早歩きとゆっくり歩きを交互に繰り返す運動。
早歩き合計 1日15分x週4日
自分のペースで行うことが大切。
早歩きのポイントは、スピードはややきつい~きついと感じる位。
大股歩き。
ゆっくり歩きは、普段のペースで呼吸をしてリラックスしながら行う。
低血糖を避けるために空腹時には行わない。
熱中症対策はしっかりと。
目的駅の1つ手前で降りて、電柱などを目印に速歩の区間を決める。
そうすると習慣化しやすい。
食生活
活動量計で消費カロリーを知ろう。
活動量計は家電量販店などで入手できる。
1日で消費したカロリーの合計を表示してくれる。
例えば消費カロリーが2000kcalで、食事が3000kcalでは食べ過ぎ。
食生活が悪いままだと運動の効果が十分に発揮されない。
毎日実施することで、自分だけの健康指標が作れる。
LDLコレステロールが高い人は、飽和脂肪酸を控える。
脂身の多い肉、バター、洋菓子などを控える。
青魚や植物油などの不飽和脂肪酸はある程度摂るようにする。