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EBウイルス 成人までに感染

EBウイルスとは、Epstein-Barrウイルス(Epstein-Barr Virus:EBV)のことで、ヘルペスウイルス科に属するDNAウイルスです。

主な特徴は以下の通りです。

1. 感染経路
唾液を介して感染します。

口付けや飲食物の共有などで感染が広がります。

初感染は乳幼児期や学童期に多く、成人期の初感染は比較的まれです。

2. 症状
初感染時は無症状のことが多いですが、一部の人では伝染性単核球症(キッシング病)を発症します。

発熱、のどの痛み、リンパ節の腫れなどが見られます。

一度感染するとウイルスは体内に潜伏し、免疫抑制状態になると再活性化して病気を引き起こす可能性があります。

3. 合併症
ウイルスの再活性化は、ホジキンリンパ腫やバーキットリンパ腫、鼻咽頭がんなどの発症リスクを高めます。

移植患者や AIDS患者などの免疫抑制状態の人では、重症の合併症が出やすくなります。

EBウイルスは世界中に広く存在し、大半の人が乳幼児期に無症状で感染していますが、免疫抑制状態では注意が必要なウイルスです。

EBウイルス キスで広がる
EBウイルス(Epstein-Barrウイルス)は、唾液を介して感染するため、キッシング病(伝染性単核球症)という別名があります。

キスによる感染が代表的な感染経路の1つとされています。

キスによる感染について詳しく説明しますと、

・深いキスをすると、お互いの唾液が口の中に入り、ウイルスが体内に侵入します。

・キスでなくても、唾液の付着した食器や飲み物を共有すれば感染の可能性があります。

・初感染時に伝染性単核球症を発症すると、発熱やのどの痛み、倦怠感などの症状が出ます。

・思春期やティーンエイジャーの間でキスによる感染が多く見られます。

・一度感染するとほとんどの人で終生免疫ができるため、再感染は稀です。

つまり、キスは唾液の交換を伴うため、EBウイルス感染の代表的なハイリスク行為といえます。

特にウイルスに対する免疫がない若年層において、キスによる感染が多く報告されています。

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EBウイルス さまざまながんの原因

EBウイルス(Epstein-Barrウイルス)は、いくつかのがん種の発症リスクを高める原因ウイルスとして知られています。

主な関連があるがんは以下の通りです。

1.バーキットリンパ腫
小児期に好発するリンパ系の悪性腫瘍です。

EBウイルスが発症に深く関与していることが分かっています。

2.ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫
EBウイルスは成人のホジキンリンパ腫や一部の非ホジキンリンパ腫の発症にも関連していると考えられています。

ホジキンリンパ腫は、リード・シュテルンベルク細胞と呼ばれる特徴的な細胞の存在によって診断されます。

非ホジキンリンパ腫は、より多様な細胞学的特徴を示し、50種類以上の病型に分類されます。

日本人に多いのは非ホジキンリンパ腫で、悪性リンパ腫全体の90%以上を占めます。

3.鼻咽頭がん
東南アジアを中心に発症する上咽頭がんの大半で、EBウイルスの関与が示唆されています。

4.がんリスク上昇
EBウイルス感染者では、胃がん、肺がん、乳がんなどのリスクも高くなるとの報告があります。

EBウイルスは免疫機能が低下すると再活性化し、発がんに関連する遺伝子の働きを促進したり、発がん性の物質を産生したりすると考えられています。

特に免疫抑制状態の患者や移植患者、AIDS患者などでは、EBウイルス関連のリンパ腫やがんの発症リスクが高くなります。

このように、EBウイルスは発がんプロセスを助長する重要な因子と位置付けられ、がん予防の観点からも注目されているウイルスです。

EBウイルス 治療
EBウイルス(Epstein-Barrウイルス)自体に対する特異的な治療薬はありませんが、EBウイルス関連疾患に対しては以下のような治療が行われています。

1. 伝染性単核球症(キッシング病)
通常は対症療法で経過観察が中心となります。

休息、解熱剤、経口補水などで症状をコントロールします。

重症化した場合は抗ウイルス薬の投与や、ステロイド剤の使用が検討されます。

2. EBウイルス関連リンパ腫
白血病や悪性リンパ腫に準じた化学療法が中心になります。

抗がん剤による集学的治療が行われます。

重症例では造血幹細胞移植も検討されます。

3. EBウイルス関連上咽頭がん
がんの進行度に応じて、放射線療法、化学療法、手術療法を組み合わせた集学的治療が選択されます。

早期がんであれば根治が期待できます。

4. 予防的治療
臓器移植患者などのハイリスク患者では、EBウイルスの再活性化を抑えるため、抗ウイルス薬の予防投与が行われる場合があります。

5. 対症療法
発熱、倦怠感などの全身症状が出た場合は対症療法で経過をみます。

必要に応じて解熱剤や対がん剤の投与が検討されます。

総じてEBウイルス感染症の治療は、発症した疾患の種類と重症度を見極めた上で、適切な治療法を選択する必要があります。

根治を目指せる場合もありますが、対症療法に留まる症例も多くあります。

EBウイルス 予防
EBウイルス(Epstein-Barrウイルス)感染の予防策として、以下のようなことが重要となります。

1. 唾液との接触を避ける
EBウイルスは主に唾液を介して感染するため、キスや飲食物の共有を避けることが最も重要です。

特に学童期や思春期の子供たちへの注意喚起が必要です。

2. 手洗いの徹底
唾液が付着した可能性のある手で口や鼻を触らないよう、こまめな手洗いを心がける必要があります。

3. 適切な咳エチケットの実践
咳やくしゃみの際は、ティッシュやハンカチ、袖で口を押さえるなどのマナーを守り、飛沫の拡散を防ぎます。

4. 患者との接触を控える
伝染性単核球症の患者とは、一定期間接触を控えることが推奨されます。

5. 免疫力の維持
バランスの良い食事と十分な休息で免疫力を高め維持することも、EBウイルスの活性化を抑える一助となります。

6. 医療機関での対策
臓器移植や化学療法での免疫抑制状態では、EBウイルスの再活性化リスクが高まるため、適切な予防処置が求められます。

一方で、EBウイルスに対する特異的なワクチンはまだ開発されていないのが現状です。

唾液との接触を避けることが、現時点での最良の予防策といえます。