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医療の世界に革命が起きようとしている!?

エクソソーム
これまでは、脳が出す指令によって臓器が活動していると常識的に考えられてきましたが、それを覆す事実が分かってきました。

臓器同士のやりとりに使われるのがエクソソームと呼ばれるメッセージカプセルです。エクソソームは、1/10000mmの小さなカプセルで、中にはマイクロRNAと呼ばれるメッセージ物質が詰まっています。

例えば、心臓からメッセージ物質が放出されると体内を巡り腎臓へ、すると腎臓は心臓を助けるためおしっこを作って出し血圧を下げるなどの反応をします。

こうしたメッセージ物質の多くは、エクソソームに包まれて運ばれることが次々明らかになってきています。私達の体を駆け巡るエクソソームは100兆個、臓器同士は膨大なやりとりを繰り返しているといいます。

更にエクソソームがどんなメッセージを持っているかを調べると、体内で起きている病気の兆しを発見することが可能になってきます。これまでの健康常識に大変革もたらしつつあります。

心筋梗塞の治療
心筋梗塞の治療にエクソソームを活かす研究が進んでいます。心筋梗塞を発症すると瞬く間に細胞が壊死してしまいます。一命を取りとめても心臓を元通りに治すことは難しいとされています。

心臓は新しい細胞に入れ替わるペースがきわめて遅いからです。50年で入れ替わるのは3割程度といわれています。ところが心臓に潜むエクソソームには、ごくわずかですが心臓の細胞を再生するメッセージを持ったマイクロRNAが含まれていました。

これを上手く使えば、心筋梗塞の治療が可能になるかもしれません。マウスによる実験では、心筋梗塞を起こした心臓にマイクロRNAを増やすと、心臓の壁が元気な状態に戻っていきました。

ガンのの治療
人間の体の細胞数は約37兆個あるといわれています。1個の細胞がたくさんのエクソソームを分泌しているのが分かってきています。更に病気になると、病気に関わる細胞が分泌するエクソソームが何十倍にも増えることも分かっています。

私達が全く想像もつかなかった世界の言葉・メッセージが存在しているといえるかもしれません。それらが分かったのが2007年といいます。スエーデンのヤン・ロトバル博士の論文で発表されたということです。

マイクロRNAは22個の塩基の連なりで、いろいろな配列がたくさん詰まっています。配列が組み換わることでメッセージがの種類が変わっていくということになります。

新たな治療へ期待されます。ガン細胞もエクソソームを分泌しているのが分かっています。ガン細胞はエクソソームを自分自身が生き残る手段として利用しているといいます。

これを逆手にとって、ガン細胞が分泌するエクソソームを封じ込めることができれば、ガン細胞の転移を抑え込める訳です。具体的な方法は、特殊な抗体をガン細胞のエクソソームに貼り付けるということです。

すると免疫細胞は、ガン細胞のエクソソームを容易に発見できガン細胞を食べることができます。マウス実験では、この目印を付けた方はほとんどガンの転移は見られなかったといいます。

目印なしのマウスに比べて、目印ありのマウスは90%も転移を抑えられることが分かったということです。転移をくい止めるだけではありません。エクソソームを利用してガンの超早期発見が可能になるといいまう。

実はガン細胞の種類ごとにマイクロRNAの種類も異なることが分かっています。そのメッセージであるエクソソームのマイクロRNAを知ることで、どんなガンが患者さんの中に生まれたかこれを知ることができるといいます。

2019年現在では、13種類のガンを判別できることが分かっており、2020年を目途に実用化すべく急ピッチで研究が進められています。