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紛争はどうやって解決する?

世界では未だに紛争が起こり続けています。残虐さを増してきている気さえします。どうしたらこうした状況から抜け出すことができるのでしょうか。

人と人の争いや戦争のその解決法のヒントを伝統社会から導き出せるといいます。伝統社会では日常生活の中でいつでも起こりえる戦争です。

かつてのニューギニアでは女性が重い荷物を運んでいるのに男性は弓矢だけです。ニューギニアではいつ敵に襲われるか分からないので、男性は両手を空けておくのだそうです。

現代社会では見知らぬ人にいきなり敵意を持つことはないでしょう。かつてのニューギニアでは見知らぬ人は敵です。不用意に街をうろうろするのは危険だといいます。

かつてのニューギニアでの戦争は様々な形をとるといいます。最も小さい規模は、1人で誰かの家を襲うようなことです。次の段階ではグループになります。

更に規模を大きくして戦うのは合戦です。伝統社会での戦いは、目の前の敵が人間だと分かった上で戦います。槍や弓を使ってです。それが手柄になるということです。

また、伝統社会での戦いでは捕虜を取らないのも特徴のひとつだといいます。伝統社会では現代のモラルやルールとは異なった価値観あったということですね。

伝統社会での戦争の原因は、大体は豚をめぐるトラブルだといいます。また女性が原因で戦争になったこともあったそうです。

現代の戦争では一度に何万人もの人が戦死してしまいます。一方伝統社会では、1年間で人口の1%の人が命を落とすといわれています。現代の戦争で、人口の1%の人が命を落とすことはありえません。

つまり、人口当たりの犠牲者数は伝統社会より現代の方が少ないということです。しかし、私たちが手にした現代の兵器は新たな問題とリスクをはらんでいるといえるかもしれません。

現代の戦争は死者数の割合は減ったが無差別の殺りくが増えたのには違いありません。空爆をすると兵士ばかりでなく女性やこ子供たちも巻き込まれてしまいます。

更に現代は、核兵器によって地球上の全ての人が死んでしまう可能性だってあると考えられます。現代の戦争は伝統社会の戦争より酷いといえるでしょう。

身近な争いの解決
交通事故や離婚問題を解決するために裁判が行われます。あなたの物が盗られたとしても、裁判所が代わりにこらしめてくれます。裁判所がきちんと機能することで私たちは平和に暮らせるのです。

しかし、裁判所が気にするのはどちらが法律的に正しいかどうかだけです。被害者の感情はどうしても置き去りにされてしまいます。司法の裁きで問題を解決した人は、民事訴訟でも刑事裁判でもその後不安を抱き続けます。

伝統社会では善悪よりも人の気持ちが大切になるといいます。善悪による裁きよりも和解によって共存の道を歩んでいくのだそうです。現代社会では物事の善悪には関心がありますが、人の気持ちはお構いなしというところがあります。

その結果被害者は一生苦しむことになります。それを解決する方法として修復的司法があります。加害者と被害者を対面させて和解を促すということです。加害者を残忍な人として扱うのではなく、感情を持った人として接するのです。

現代の修復的司法が始まったのは、1974年カナダのキッチナー市です。その後多くの国で取り入れられました。当事者の気持ちに寄り添いながら、争いの解決を目指す伝統社会の和解が改めて見直されるようになったといいます。

ある調査によれば、被害者にとって修復的司法の方が裁判の判決より満足度が高いことが分かっています。被害者が加害者と向き合うことで怒りが収まるのかもしれません。人の感情を修復するこの方法こそが伝統社会が教えてくれた知恵なのではないでしょうか。