スポンサーリンク

茶色の宝石と表現するくらい大事です

便は宝石並みの価値があるといいます。まずは分析の下準備、密閉した容器に-800℃で凍結した便を入れ、真空ポンプで中の空気を抜き便を乾燥させていきます。

更に別の機械にかけて便を細かく砕いていきます。振ること1分間に1500回、パウダーのようになります。これに有機溶媒を加え、それを遠視分離機を使い2層に分離するといいます。

上の層だけを抽出しエタノールを投入して上下に振ります。そうすると白いモヤモヤが見えてきます。実はこれが遺伝子(DNA)、便の中には凄い量のDNAが入っているということです。

腸内細菌
このDNAを分析します。すると便の中にいる腸内細菌のDNAを調べた結果が分かるというのです。腸内細菌は、人及び動物の腸内に常駐する細菌の総称といわれています。

腸内細菌が研究されてきたのは僅か十数年といいます。研究は始まったばかりで、まだまだ謎に包まれた分野なんだそうです。腸は体の外側だというのですが、そこに色々な菌を住まわせているといいます。

私達は食べたものと一緒に腸内細菌を排出していることになります。成人の場合、腸内細菌は約1000種類で約40兆ほど生息しているといいます。重量にすると1.5kgになるといいます。腸内細菌が我々の健康や病気の発症に影響を与えることが、近年の研究で分かってきています。

しかし、人類はまだ腸内細菌のことを全て分かっているわかではありません。腸内細菌は腸にやってくる食べ物の成分をエサとして分解し、代謝物質を生み出しています。それが腸で吸収され、人の健康と深く関わってくると考えられています。

腸内細菌が作る代謝物
その中で短鎖脂肪酸は、腸内細菌が作る代謝物質の一種で肥満、アレルギー、感染症などの抑制に効果があるといわれています。それにしても腸内細菌は人によって何故違うのでしょうか。

腸内細菌は人間の遺伝子に大きく影響されることはないといいますが、生活習慣や運動などが影響を及ぼすといわれています。一番大きいのは食べ物になるといいます。

お腹の中は、腸内細菌が生存競争を繰り広げる場所で、増えるためには栄養素が大事になってきます。腸内細菌が人によって違う要因は、食生活が人によって違うからだと考えられています。

食べ物の好みがあると思いますが、本当に自分自身で決めているものなのでしょうか。腸内細菌が指令を出して食べろといっていると考えられます。腸内細菌が脳にまで影響していることになります。

極論かもしれませんが、人間というものは腸内細菌の乗り物なのかもしれません。つまり人間の体側のことだけでは知ることができないものがあるのではないでしょうか。

腸内細菌は人間とは全然違う生き物ですが、それが合わさって作られているのですから、腸内細菌のことも含めて知ることが、人間が健康になっていくことや病気を予防したり更には治療まで繋がって行くのかもしれません。

便微生物移植療法
健康な人はたくさんの種類の腸内細菌いて、一方で病気の人は種類が少なくなるといいます。種類の多様性を高めるには、腸内細菌のエサとなる食物繊維を摂った方が良いということです。しかも食物繊維を継続的にとることが大事になります。

また、強制的に腸内細菌叢を変えるやり方があるといいます。腸内細菌叢のバランスの乱れが病気の発症に関与している患者に対して、腸内細菌叢を入れ替えるためにウンチを入れる方法です。このことによって、治らない病気が治るケースが出てきたといいますから驚きです。

健康な人の便を患者に移植することは、腸内細菌叢を変えることで治療していこうという最先端の治療だといいます。順天堂大学消化器内科で行われているのは、無酸素環境で便と生理食塩水を混ぜて、それをフィルターでろ過します。

そして内視鏡で確認しながら、ろ過した便を患者の大腸へ注入します。潰瘍性大腸炎の治療として注目されています。潰瘍性大腸炎は、免疫の異常反応で腸の炎症が起きる病気です。

従来の治療では感染症などの副作用がありました。便移植の場合、まず抗生物質で腸内細菌を減らします。そして健康な人の腸内細菌叢を患者の大腸へ入れます。すると生まれ変わった腸内環境が免疫の異常をコントロールすることになります。

すごく理にかなっていて自然に健康を保てる可能性があると期待されています。但し、誰の便が自分に良いのかは難しいところです。自分が健康な時の腸内細菌の情報を知っておくことが大切になってきます。

また健康な時の自分の便が保存できて、将来便移植が必要になった時に使えたらそれはかなり有用といえるではないでしょうか。