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なぜ人は酔いたくなるのか?

朝起きたら二日酔いで苦しくて、二度とこんな飲み方はしないと反省したことありませんか?それでもその夜につい飲んでいたりします。

酔いのメカニズム
そもそも酔いのメカニズムは完全には解明されていないそうです。大阪大学の小倉名誉教授によると、おおざっぱに言うとアルコールは麻酔薬といいます。

神経科学の分野から酔いにアプローチすると、脳には興奮性の神経系と抑制性の神経系があり、酔っ払うと抑制が先に麻酔され、興奮が残るが結局興奮も麻酔されるといいます。

つまり酔うとその人の本性か現れると考えられます。例えば、変な声を出したり変顔をしたりする人いますよね。ある意味愉快なのですが、人によっては迷惑だと感じるかもしれません。

興奮と抑制のバランスというのは神経では普通にあるといわれています。実は何でもないことでも両方が働いているといいます。

カップに熱い紅茶が入っていてそれを持った時人は反射的に手を離します。ところがその紅茶カップが相当高価なものだった場合、知識で理性でその反射を抑制できるといいます。

脳の働き
通常は抗利尿ホルモンが脳下垂体後葉から分泌され、腎臓で水分の再吸収が促進されます。アルコールには利尿作用があります。

抗利尿ホルモンの働きがアルコールで抑制されると尿量が増加するということになります。体から水分と塩分が失われるので、お酒を飲むとしょっぱいものを食べたくなるのは自然な脳の働きによるものと考えられています。

脳内の報酬系は、楽しいことや面白いことに出会った時に働く神経回路。報酬物質を分泌して喜びの感情を作り出します。「罰系」は辛いことや嫌なことに出会った時に働く神経回路。罰物質を分泌して不快の感情を作り出します。

報酬系が働く時は、長期に残すべき記憶、生死に関わる種の維持に関わるものといわれています。アルコールは報酬系を働かせると考えられています。

脳の腹側被蓋野からドーパミンが出て人を快感に導きます。ですので、お酒は依存性が生じることがあります。

しかし、2010年アメリカの心理学者ギャローズの実験で、アルコールによって発想の自由度が上り、酒にはクリエイティブにする効果があるという研究結果もあります。

二日酔い
アルコールは肝臓で代謝されアセドアルデヒドに分解され、更に酢酸に分解そして炭酸ガスに分解されて体外排出されれます。

アセドアルデヒドから酢酸に分解する酵素の活性が人によって違うので、アセドアルデヒドが体内に残っている時間の関係で二日酔いになりやすい人もいるようです。

日本人はアセドアルデヒドの分解酵素の活性が弱い人が多いといわれています。迎い酒をする人がいるかもしれませんが、交感神経が亢進している状態を更にお酒で麻酔していることになるので体に悪いです。

酒をめぐる物語
「文明は蒸留から始まる」
ウィリアム・フォークナー(小説家)

「親しい友人のような美酒は人知れぬ悩みを追い払ってくれる」
ジュゼッペ・ヴェルディ(作曲家)

「酒の席においては、いかなる約束もせぬ事。これはよくよく気をつけぬととんだ事になる」
太宰治「新ハムレット」より

「酒は人間をダメにするものではない。人間はダメなのものだと確認させる」
立川談志(落語家)