子供の頃は苦手だった食べ物の代表がピーマンといわれている。それがなぜか大人になると好きになることもあるようだ。どうして好きになるのだろうか?
東京農業大学 岩槻教授
細胞生物学者。消化管あるいは消化器にあるセンサー細胞の研究をしている。
説:体がOKを出したから
PTCテストペーパー(特定の苦み物質を含ませた紙)を舐めて、ある苦みを調べる実験をしたところ、苦みには多様性があることが分かったという。
人間が持つ苦み受容体は26種類、この紙の苦みはそのうちの1つが感じられると機能していて、感じられないと機能していないということになる。それが遺伝子で決まっている。
自然界の苦い物は毒物が多い。毒物を回避する機能が腸管から舌に出てゲートキーパーのように機能を持ったと考えられている。赤ちゃんんは苦い物や酸っぱいものは拒否する。
人間は色々経験して苦い物も受け入れられるようになる。つまり寛容になる。
法政大学 湯澤教授
歴史地理学が専門。
説:みんなの努力が実ったから
ピーマンはいつから食べられているか?入ってきたのは明治時代だが普及しなかった。戦後GHQが、カリフォルニアワンダーというピーマンを持ち込んだが高価だったという。
一般家庭に普及し始めるのが1950~1960年代。学校給食や家庭で栄養があるピーマンという名付けがされたという。
そして品種改良が行われ、苦くなくてフルーツみたいだがピーマンの風味がありビタミンCが豊富な品種が作られていったようだ。
そのピーマンを使った、ピーマンのおひたし、ピーマンとウズラ卵の目玉焼き、ピーマンの蒸し焼きなどのレシピを考案して普及に努めていった。
ピーマンに限らず苦手なものを特異にすることは、確かに身近なところでみんなやっていることだね。
東京理科大学 森田教授
認知心理学が専門。
説:人の記憶はいいかげんだから
偽物の記憶を作ることによって、食べ物嫌いを克服できるかもしれない。心理学者エリザベス・ロフタス「アスパラガスあるラブストーリー」では、
被験者128人の大学生に対して、食べ物に関するアンケートをとりアスパラガスが嫌いな人を抽出する。
1週間後、コンピューターで解析した結果、あなたは小さい頃アスパラガスが好きでしたという嘘をつく。そしてアスパラガスを好んでいたことを思い浮かべてもらう。
間違った記憶を植え付ける。再び食べ物に関するアンケートをとると、アスパラガスに良い印象を持ったという。実際に食べたという結果も報告されている。
おふくろの味などの記憶は消さずに、嫌いなピーマンを食べられるようにできればいいのかもしれないね。
焼き鳥屋でししとうは美味しいと思い、ししとうとピーマンを混同して知らない間にピーマンが好きになることもある。
アンガーマネジメントといって、イライラや怒りの感情を自らコントロールすることもできる。ハイレベルな自分をコントロールするやり方。